4輪レースの世界最高峰カテゴリーであるF1。そのシートは並大抵の才能では手にできません。そんな素晴らしい才能を開花させ、シートをつかみ取ったF1ドライバー達。しかし、マシンの性能やチームの規模によっては上位を争う機会に恵まれないままキャリアを終える選手も少なくありません。そんなドライバーたちはF1を離れた後どのような活躍を見せているのでしょうか。今回は現在様々なカテゴリーで活躍する元F1ドライバーたちをご紹介したいと思います。
ルーカス・ディグラッシ
2010年にヴァージンからF1参戦を果たしたディグラッシ。
F1では1度も入賞を果たせず、1年限りで姿を消す事になりましたが、その後はどのようなシリーズで戦っているのでしょうか。
2012年よりアウディへ所属し、WEC(世界耐久選手権)に参戦した彼は、加入当初はスポット参戦でしたが、徐々に頭角を現し近年は目覚ましい活躍を見せています。
2014年よりレギュラードライバーに就任すると、安定した走りを見せチームの信頼を勝ち取りました。
そして成績は徐々に上向き始め、2016年には2度の優勝を手にし、ドライバーズランキング2位という好成績を収めたのです。
今年は王座も期待されたのですが、アウディの撤退に伴ってWECではシートを失ってしまいました。
そして、現在は以前から並行して参戦していたフォーミュラEで活躍を見せています。
フォーミュラーEカテゴリーが公式に創設される以前から開発ドライバーを担当した彼は、フォーミュラ―Eの記念すべき初代チャンピオンとして知られ、初年度から上位争いを繰り広げているのです。
なかでも2015-16年シリーズは最終戦までセバスチャン・ブエミと王座を争い、わずか2ポイント差で及ばずも3勝を挙げるなど、シーズンを通して活躍し続けました。
今季も3戦を終えた時点で2度の表彰台を獲得しており、今季こそフォーミュラE王者へ大きな期待が寄せられています。
ジェローム・ダンブロジオ
2011年にヴァージンからF1に参戦したダンブロジオ。
翌2012年はわずか1戦のみでしたが、ロータスのマシンを走らせたことのある彼は、現在どのような活躍を見せているのでしょうか。
2013年までロータスのリザーブドライバーを務めたダンブロジオは2014年にF1を離れ、ドラゴンレーシングへ移籍します。
そして、新たに創設されたフォーミュラEへ参戦を開始しました。
F1では一度も入賞を果たせませんでしたが、フォーミュラEでは抜群の安定感で、参戦初年度から11戦中9度の入賞を手にしたのです。
また安定感だけではなく、速さも兼ね備えており参戦以来2年連続で勝ちを収めるなど、王座も十分狙える実力を示しました。
参戦経験が豊富な彼はチームの起爆剤となり、上位勢の常連となることが望まれています。
アレクサンダー・ロッシ
2015年にマノーからわずか5戦限りF1に参戦したロッシ。2012年からケータハムのテストドライバーを務めるなど、4年間に渡ってF1に関わるも、そのシートには恵まれませんでした。
彼は戦いの場を求め、2016年よりアンドレッティ・オートスポートへ移籍しインディカーシリーズへ参戦を開始します。
すると、わずか参戦6戦目にして、世界三大レースに数えられるインディアナポリス500マイルで、新人ドライバーとしては15年ぶりとなる優勝を飾るという快挙を成し遂げたのです。
レース終盤には燃費に気を配った走りを見せ、フルタンクでも33周が限界と予想される中、それを超える36周のスティントを敢行するという無謀な戦略を見事に遂行しました。
まだ25歳ながらも母国アメリカの大舞台で技ありの勝利を飾ったロッシは、次はシリーズチャンピオンという大きな目標に向かって奮闘を続けています。
マックス・チルトン
2013年から2年間に渡ってマルシャに在籍したチルトンも、F1を去った後にインディカーで活躍している選手の1人です。
マルシャを離れた彼はGP2参戦時に在籍したカーリン・モータースポーツへ復帰し、それ以降はアメリカに渡りレース活動を展開しています。
2015年からインディ・ライツに参戦を始めると、すぐさま速さを見せつけ何度も上位フィニッシュを達成します。
第12戦アイオワでは優勝も飾り、初年度ながらランキング5位という好成績を収めると、再び大舞台で戦うチャンスが巡ってきました。
彼はチップガナッシ・レーシングに招かれると、翌年からはインディカーシリーズへ参戦することとなったのです。
参戦直後の第2戦フェニックスでは、初のシングルフィニッシュを達成し勢いに乗るかと思われましたが、その後は上位フィニッシュを達成出来ず、初年度は19位で終えることとなりました。
少年時代から、チルトンは「F1で戦うことしかインディへの興味は無かった」と語っていましたが、インディカーへ参戦した後はその魅力に気付いたようで、2017年はさらなる飛躍を誓っています。
まだ25歳という若さに1年間の経験が加わった今季は、一層大きな注目を集める存在になるかもしれません。
ウィル・スティーブンス
2014年のブラジルGPで小林可夢偉のチームメイトを務め、その翌年にマノーのレギュラードライバーを獲得したスティーブンス。
彼のF1キャリアも華々しいとは言えませんでしたが、その後はどのような活躍を見せているのでしょうか。
2016年もマノーに所属していましたが、その際に参戦したのではF1ではなく、新たに立ち上げられたWECのLMP2クラスにチームと共に転向することとなりました。
開幕から2戦に渡って同チームから参戦すると、それ以降はG-ドライブ・レーシングへ移籍します。
そして、この移籍をきっかけに飛躍を遂げる活躍を見せるようになったのです。
移籍後初のレースでは早くも自身初の表彰台を飾ると、次に出走した第7戦富士ではなんと優勝を達成しました。
これはチームにとっても初優勝となりました。
そして、続く第8戦上海に出走するとここでも優勝を飾り、移籍後は表彰台獲得率100%という素晴らしい成績を収めています。
今季は既にブランパンGT選手権へエントリーしており、ツーリングカーでも彼の素晴らしい走りが見られるかもしれません。
まとめ
F1では決して目立った存在ではなかった彼らでしたが、現在はそれぞれのシリーズで活躍を見せています。
その多くはインディカーやWEC、さらにはフォーミュラEといったトップカテゴリーであり、まだ若い選手も多いことから、さらなる活躍が期待できる選手たちばかりです。
シリーズによって求められる能力も異なりますが、やはりF1に参戦したドライバーというだけの事はあり、高い順応性や速さを発揮してるのです。
やはりF1まで登り詰めた選手はその知名度から、他シリーズに移っても大きな重圧と隣り合わせとなりますが、その重圧に屈さず第二のレース人生で奮闘を続けているのです。
もし、これらのレースを見る機会があれば、是非彼らの走りに注目してみてはいかがでしょうか。
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