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WTCC名物「MAC3」!世界唯一の団体タイムアタックとは?

2016年からWTCCでは「MAC3(マック・スリー)」という新しいタイムアタック合戦が行われている。通常、予選のタイム計測といえば1台ずつの争いになるのだが、このMAC3は各マニュファクチャラーごとに3台連なってタイム計測をするという団体でのタイムアタック勝負。先日ツインリンクもてぎで行われた日本ラウンドでも、大いに注目を集めた。今回はそのルールと見どころを紹介していこうと思う。

Photo by Tomohiro Yoshita

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業界初の試み?3台による団体タイムアタック

©FIA WTCC

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まずMAC3とは「マニュファクチャラー・アゲンスト・ザ・クロック」の略。つまり個人戦というよりかはマニュファクチャラー対抗の団体戦という意味合いが強い。

予選Q3が終了した後、各マニュファクチャラーごとに3台がコースインし、グリッドに整列。ここでも通常のグリッドにつくのではなく、スタートラインに3台横一列に並ぶ。

シグナルでの合図でスタートし、コースを2周(ニュルブルクリンク北コース戦は全長が長いため1周のみ)して、3台目のマシンが計測ラインを越えたところでのタイムが採用。それで順位が決められることになる。

なので、前の2台がどんなに早くても、3台目がスタートで誰かがミスをしたり、途中でコースオフしてしまうと、大きなタイムロスとなってしまい結果に大きく影響する。

そのため、通常なら個人個人でタイムアタックをして順位が決まるのだが、自分のミスがマニュファクチャラー全体に影響してしまうという部分では、また違った緊張感のあるタイムアタック合戦が見られる。

 

結果に応じてマニュファクチャラーポイントが加算されるシステム

©FIA WTCC

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このMAC3は通常の予選直後に行われるため、何か決勝に向けてアドバンテージが得られるものなのか?と勘違いしてしまいやすいが、これだけで完結する「もう一つのレース」という位置付けになっている。

MAC3の結果に応じて与えられるのはマニュファクチャラーポイント。1位は10ポイント、2位8ポイント。3位6ポイントだ。なお、ここでのポイントはドライバーズポイントには追加されない。

今年はシトロエン、ホンダ、ラーダが参加。なおボルボも来年は参加を目指しているとのこと。シボレー勢はワークス体制ではないため参加はしていない。

 

チームごとの作戦も重要に

©FIA WTCC

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これまでにはなかった団体でのタイムアタックなので、もちろん作戦も重要になる。

誰が先頭に入って、誰が最後尾につくのか。しかも1周ではなく2周続けて走り、その合計タイムで決まるため、それぞれのペース配分なども重要になってくる。誰かが引っかかってリズムを崩してはいけないし、かといって先頭だけ速すぎても結果にダイレクトにつながるわけでもない。

またストレートではスリップストリームを使って最後尾のマシンを引っ張っていくという方法もあり、MAC3の間はまさに「団体戦」という雰囲気になるのも特徴であり、見どころの一つ。

ちなみに予選後に許されている作業は、新品のフロントタイヤへの交換と給油のみだ。

 

日本ラウンドでのMAC3はどうだったのか?

Photo by Tomohiro Yoshita

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注目の日本初開催となるMAC3。予選を終えて16時を過ぎていたが、ファンも興味津々でスタンドを離れずMAC3を観戦していた。

アタック順はランキング下位のマニュファクチャラーからということで、最初はラーダの黄色いマシン3台がコースイン。グリッドに整列しスタートが切られた。

今季から同チームに所属しているガブリエル・タルキーニが先頭を切り、ヒューゴ・バレンテ、ニッキー・キャッツバーグが続く展開。タルキーニのペースは良かったが後ろ2台のスピードがやや伸びず、タイムは4分00秒966だった。

Photo by Tomohiro Yoshita

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続いてはホンダ。ロブ・ハフ、ティアゴ・モンテイロ、ノルベルト・ミケリスの順で1コーナーに入っていくが、最後尾のミケリスが1周目の4コーナーを立ち上がったところでコースオフしてしまう。それでも後半はしっかり巻き返し4分00秒539、これで暫定トップに立った。

Photo by Tomohiro Yoshita

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最後はシトロエン。今回は少し工夫した作戦をとってきたのかイヴァン・ミューラーが先頭。

予選では断トツの速さをみせていたエースのホセ・マリア・ロペスが真ん中に入る形。最後尾にはトム・チルトンがついた。

3台とも1周目から付かず離れずの感覚を保ちノーミス。タイムは3分59秒494。2位に対して1秒もの大差をつける圧勝だった。

これでシトロエンは今季5回目のMAC3勝利となった。

 

プロモーター代表に聞いた「ぶっちゃけMAC3どうなの?」

Photo by Tomohiro Yoshita

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もてぎでのレースウィーク中、WTCCのプロモーターであるユーロスポーツイベントのフランソワ・リベイロ代表を囲んでのグループインタビューに参加させてもらった。

そこで、ここまでのMAC3の成果について聞いてみた。

「素晴らしいと思うよ。みんなは最初バカにしていて、私が提案した時もまともに取り合ってくれなかったが、でもやってよかったと思うよ。この選手権に新しいものを持ち込めたし、マニュファクチャラーも気に入っている。ドライバーも楽しんでいるよね」

「来年に関しては、ポイントを増やしてマニュファクチャラー争いにも大きく影響するようにしていきたい

。今は1位と2位の差が2ポイントしかないが、これを来年は5~7ポイントぐらい開くような変更を目指している。来年はマニュファクチャラータイトル争いを左右する鍵になるようにしたい」

「もてぎでは1位と2位の差が1秒と、シーズンの中で最も差がついたMAC3だった。他のサーキットでは0.1秒や0.2秒の争いになるし、同タイムで写真判定するくらい僅差になったこともあった。本当に素晴らしいことだ」

来年はボルボも参加予定ということもあり、さらに面白いバトルが期待できそうだ。

まとめ

©FIA WTCC

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実際に現地でも取材させてもらったが、このMAC3は今までの「予選タイムアタック」という概念を打ち破る、新しくて画期的な試みだと感じた。

この勝負を勝つのに重要なのは「3台がバランス良く走れるか」というところ。

それが今回のもてぎで出来ていたのが、シトロエンだった。

ただ、欲を言えば、これだけ面白いコンテンツなので将来的にはもっと多くのチーム(マニュファクチャラー)が参戦し、1位から5、6位ぐらいまで順位がつくようになると、もっと盛り上がると思う。

それを実現させるためには、純粋に参戦マニュファクチャラーが増えないといけないので、簡単にはいかないと思うが、いずれにしても、今後注目して観ていきたいイベントの一つであることは間違いない。

 

Writer Introduction
Tomohiro Yoshita

フリーのモータースポーツジャーナリスト。サーキット取材は2011年からスタートし、最近ではSUPER GTスーパーフォーミュラを全戦取材。この他にもF1をはじめとする海外レースや、2輪レースもカバー。レースに関する記事だけでなく、サーキットに来場するファンに役立つ情報発信も展開しています。

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