皆さんは「フィギュア」という自動車の競技を知っていますか?普通だと「フィギュアスケート」とか模型や人形のことを連想する人が多いと思います。ここからクルマのことを想像する人はほとんどいないと思いますが、そんな超絶マイナーなモータースポーツであるフィギュアをこの記事ではご紹介します。

Photo by 法政大学自動車部

Photo by 法政大学自動車部 競技中の小型貨物クラスの2tトラック

自動車運転競技、俗称”フィギュア”ってどんな競技?

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Photo by 法政大学自動車部 競技中の小型乗用車の部

フィギュアという競技は、学生自動車部が参加するジムカーナ、ダートラ、そしてエコランに続く選手権大会のひとつで、大会の特性上、知名度は非常に低いものになっています。

では一体フィギュアとは何をする競技なのかを一言で表すと「運転の正確さを競う競技」。

狭路でのスラロームや6m四方のボックス内での転回、縦列駐車やクランクにS字など、ギリギリのスペースの中で如何に素早くクルマを操れるかというのが肝に。

小型乗用車の部(5ナンバーハッチバック)と小型貨物の部(2tトラック)のクラスがあり、それぞれ違ったコースに違ったテクニックが必要とされます。

駐車場での転回から駐車、狭路でのすれ違いなど、普段の運転技術に直結する運転技術が非常に多いのです。

教習所から普段の運転に必要なスピードレンジの運転技術を突き詰めた競技、それがフィギュアであり、フィギュアの持つ魅力!

と言ってもルールやコースが分からなければその魅力は伝わりませんので、そんな魅力の数々をご紹介しましょう。

 

フィギュアってどんなルールなの?

Photo by 法政大学自動車部

Photo by 法政大学自動車部 インペクの厳しい審査に見守られてのスラローム

フィギュアは単純にタイムを競う競技ではありません。

もちろんタイムが速いということも重要な要素のひとつですが、「接脱缶」と「同乗減点」というフィギュアならではのルールも非常に重要なのです。

コースには減点基準時間というものが設けられており、いわば制限時間のようなもので、減点基準時間を2秒過ぎるごとに1点減点されていきます。

スタートからゴールまでにかかった合計時間-減点基準時間がベースのポイントに。

そしてそこに「接脱缶」と「同乗減点」のポイントが加算された総減点でリザルトが決定するのです。

「接脱缶」とは減点の種類であり「接」がコースの枠である紐や縁石にタイヤが触れてしまうことを言い、「脱」はコースの枠から完全に脱輪してしまうこと、そして「缶」はスラロームなどのコース上に障害物として設置された缶にタイヤが触れてしまうことを言います。

加えてコース内での走行中は、完全停止していない状態でのギアチェンジ、急発進急停止、発進手順の間違いなどの操作ミスが「同乗減点」としてカウントされます。

 

実際の大会のコース図を使って競技の流れを解説!

Photo by 全日本学生自動車連盟

Photo by 全日本学生自動車連盟 これは小型商用(2tトラック)のコースになっており、減点基準時間は4分。

上の画像は今年度の全日本学生運転競技大会の小型貨物の部のコースになります。

選手が乗る車両には、過去の大会で好成績を収めた大学自動車部OBの審判が同乗し、4人のインペクと呼ばれる審判が車両の四方に配置されます。

画像左側がコースの流れになっていて、S&Gと書かれているボックスからスタートし、6m四方のボックスに進入。

このボックスは紐で囲い作られており、紐にタイヤが接触した場合「接脱缶」の中の「接」の減点に該当します。

タイヤが完全にボックスから脱輪し、紐にタイヤが接触していない状態が「脱」になりそれぞれ「接」が一輪ごとに10点、「脱」が20点が加算となってしまうのです。

そして更にそれぞれ「接」と「脱」は接輪し続けた場合、1mごとに10点、脱輪ならば20点加算されていきます。

ボックスの中で紐に接触したり脱輪しないよう気をつけクルマを転回させながら、次はR2輪確①と書いてある横1.8m×縦0.4mのボックスにリアタイヤ2輪を収めます。

実線は前進、点線は後退を表しています。

実線は前進、点線は後退を表しています。

輪確とは、R2輪確ならばリアタイヤ2輪をボックス内に収め完全停止、左F1輪確なら左フロントタイヤを0.5m×0.5mのボックスに収めて完全停止しなければいけないポイントのことを言います。

R2輪確①にタイヤを収め、インペクが完全停止及びリア二輪が輪確にしっかり収まっていることを確認すると、走行再開です。

再びボックス内で転回し、バックの状態でスラロームに突入。

R2輪確から前進し、幅寄せした後に後退のままスラロームに入ります。

R2輪確から前進し、幅寄せした後に後退のままスラロームに入ります。

スラロームは、コース図に○で表している箇所に缶が設置されており、これにタイヤが接触してしまうと「缶」の減点をされてしまいます。

缶に一輪が接触するごとに20点を加算されてしまい、缶に接触するリスクを負ってでもタイムを優先し攻めるか、それとも減点を最小限に抑えるため慎重に走行するかの駆け引きが見どころに。

コース図で見ると大したことないように見えますが、実際に走行しているところを見ると非常に狭いのです。

Photo by 法政大学自動車部

Photo by 法政大学自動車部 小型乗用車にてスラロームの練習中

バックスラローム区間が終了すると、その先で再びR2輪確。

R2輪確②を確認次第そのまま前進しスラローム区間を通過し、そしてボックス内に進入します。

フィギュア コース図③

ボックス内で転回し、今度はS字区間へバックで進入し、左F1輪確。

ボックス内で転回後、バックのままS字に進入します。

ボックス内で転回後バックのままS字へ。

左F1輪確の確認後、S字を出てそのままボックスへ進入。

その後バックでS&Gに向けてボックスを出てゴールです。

フィギュア コース図⑥

以上が減点と競技の流れの解説になります。

点数計算の例を挙げると、スタートからゴールまで6分04秒かかり接1缶2急停止1だった場合、図のコースの減点基準時間は4分ですから、364秒-240秒=124秒でベースのポイントは62点。

そこに接1が10点、缶2で20×2で40点、そしてタイヤ鳴り(急停止)1で3点の同乗減点が加算され、総減点は115点となります。

 

フィギュアの様子がわかる映像

競技の様子がよくわかる動画はこちら。

競技中は、車両の4方にオフィシャルが立ち接脱缶のチェックを、そして助手席に同乗のオフィシャルが座ります。

これによって公正なジャッジが行われているのです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

学生選手権でのみ開催され、絵面も地味で非常にマイナーな競技ですが、ちゃんと見てみると中々複雑で奥が深いのです。

ジムカーナやダートラほど派手さはありませんが、水面下では身近なテクニックを駆使した熱い闘いが繰り広げられています!

全日本学生運転競技大会は毎年教習所で開催されており、去年は大阪府松原市の近鉄自動車学校で開催され、今年度は杉並区の日通自動車学校にて開催されました。

隔年で東京大阪と開催場所を移しつつサーキットと違いアクセスの良い教習所で開催されていますので、興味のある方は是非一度観戦に行ってみては如何でしょうか!

 

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