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競技ベースやクロスオーバー、4WSなどラインナップ豊富だったダイハツL200系ミラとは

通称「新規格」と呼ばれる現在の軽自動車規格が登場したのは1998年10月。それ以前の軽自動車は「旧規格」と通称されますが、排気量上限が550ccから660ccに引き上げられたのは1990年1月のことでした。軽自動車メーカー各社のほとんどは550cc車のエンジンを660cc化するなどマイナーチェンジで乗り切りましたが、フルモデルチェンジで660cc化した数少ないモデルが、3代目L200系ダイハツ ミラです。

ダイハツ L210S ミラX4-R / 出典:http://storia-x4.com/X4-history3.htm

 

 

660cc時代初のフルモデルチェンジで登場した、ダイハツ L200系ミラ

 

ダイハツ L200系ミラ(3代目) /  出典:http://gazoo.com/car/newcar/vehicle_info/Pages/detail.aspx?MAKER_CD=H&CARTYPE_CD=911&GENERATION=-4&CARNAME=%E3%83%9F%E3%83%A9

 

軽自動車は1989年4月の税制変更(消費税導入と自動車物品税の廃止)により、税金の安さから初代スズキ アルト以降爆発的ヒットとなっていた、商用登録(4ナンバー)のボンネット・バンにメリットが少なくなり、乗用登録(5ナンバー)がメインになりました。

さらに1990年1月には軽自動車規格の改定でエンジンの排気量上限が550ccから660ccへ、全長も100mm延長可能になったのです。

それに伴い、軽自動車を生産していた各メーカーではほとんどの場合、エンジンを載せ替えバンパーを拡大する程度のマイナーチェンジで660cc規格に対応しました。

しかし、中には不人気車ゆえ、あるいはモデルサイクル的にちょうど良いという理由で660cc化とほぼ同時にモデルチェンジを行った車種もあり、後者の典型的な例が、1990年3月にデビューした3代目ダイハツ ミラ、L200系です。

軽自動車へさまざまな付加価値を追加していこうという時代に登場したこともあり、単なる「新型ミラ」に留まらず、新たな試みや質感の向上が図られることとなりました。

 

競技ベース車や4WS車、クロスオーバー型など多彩なラインナップ

 

ダイハツ L200系ミラ(3代目) / 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8F%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A9

 

L200系ミラは、大別して以下の7種類が存在します。

・商用モデル(バン、ウォークスルーバン、ミチート)

・乗用ベーシックモデル(パルコ、J、グランなど)

・乗用高級モデル(モデルノ)

・スポーツモデル(TR-XX、TR-XXアヴァンツァート、TR-XXアヴァンツァートR)

・競技ベースモデル(X4R)

・4WSモデル(TR-4 / TR-4 EFI / TR-XXアヴァンツァート4WS)

・クロスオーバーモデル(RV-4)

特異だったのは軽自動車で唯一の4WS(4輪操舵機構)が設定されていたことで、2017年現在に至るまで軽4WSはこの代のミラのみ。

FF(フロントエンジン・前輪駆動)の2WD車がL200S(乗用) / L200V(商用)、4WD車がL210S(乗用) / L210V(商用)という型式を持つ中、4WS車のみはL220Sと型式も特異です。

また、ブーンX4(2006年3月登場)まで続いた競技ベース車「X4」シリーズもこの代が初設定ですが、初のX4(TR-XXアヴァンツァートX4)は通常の4WDターボ車で、クロスミッションや専用エンジンを搭載したモデルはX4-Rでした。

さらに、最低地上高を上げて外観をクロスオーバー風としたRV-4も登場。

当時は「形だけRV(現在のSUV)化した、行き過ぎたブーム便乗車」と言われて珍車扱いされましたが、現在のSUVブームの中でむしろクロスオーバー風グレードの設定が相次いでいるのを考えれば、「時代を先取りしすぎた車」だったのかもしれません。

L200系ミラ全体で考えれば、ホンダを除くライバル各社がNA、ターボやスーパーチャージャーともにDOHC(ツインカム)エンジンを設定する中で全車SOHCエンジンを搭載しており、「カタログ映えはしないが不要な高級化は避ける」実直な方針だったのが伺えます。

なお、スポーツ仕様の最上級グレードではリアブレーキのみABSのASB(アンチスピンブレーキ)を設定、確かにスピンはしないもののフロントブレーキはしっかりロックするので、「障害物突撃システム」とも言われた珍装備でした。

 

ダートラやラリーで活躍、ダイハツチャレンジカップにも多数登場したL200系ミラ

 

ダイハツ L210S ミラX4-R / 出典:http://storia-x4.com/X4-history3.htm

 

先代のL70系ミラから全日本ラリーAクラスでスズキスポーツの初代 / 2代目アルトワークスと激闘を繰り広げていたダイハツワークス、DRS(ダイハツレーシングサービス)ですが、L200系ミラには当初4WDターボ車が無かったので苦戦を強いられます。

2代目アルトワークスがマイナーチェンジで660cc化、4WDターボも設定されましたが1990年の全日本ラリーでは活躍できませんでした。

しかし同年11月に4WDターボ車「X4」が、翌年2月には競技ベース車の「X4-R」が登場したため戦闘力は格段に向上。

1991年シーズンは9戦5勝とアルトワークスを上回る成績を上げ、スズキも対抗して1992年6月にクロスミッションなどを組んだ競技ベース車、アルトワークスRを投入しますが、1992年シーズンも8戦5勝とアルトワークスを撃破したのです。

残念ながら、1993年以降はスバル ヴィヴィオRX-RAの登場でトップの座を譲りますが、一時期ミラX4-Rが全日本ラリーAクラス最強だった時期が確かにありました。

 

ダイハツ L210S ミラX4-R / 出典:http://storia-x4.com/X4-history3.htm

 

全日本ダートトライアルにも事実上軽4WDターボクラスとなったA1クラスや改造車のC1クラスにミラX4-Rを投入。

ラリーほどの活躍はできませんでしたが、後に対アルトワークス用決戦マシン、ストーリアX4誕生の礎となったのです。

また、4WDターボ車以外でもFFのTR-XXアヴァンツァートRが1995年の全日本ラリー2輪駆動部門に投入され、新型(L500系)のFF競技ベース車、ミラX2登場までのギャップを埋めただけでなく、旧型マシンながら1勝を上げるという快挙を達成。

安価で軽量な事からモデルチェンジ後もダートトライアルやダイハツ車専門のジムカーナイベント「ダイハツチャレンジカップ」では数多くのL200系ミラ各型が長く使われ、アルトワークスやヴィヴィオと共に「軽スポーツの定番」でした。

 

ダイハツ L200系ミラ 代表的なモデルのスペックと中古車相場

 

ダイハツ L210S ミラX4-R  / 出典:http://storia-x4.com/X4-history3.htm

 

ダイハツ L210S ミラ X4-R 1991年式

全長×全幅×全高(mm):3,295×1,395×1,435

ホイールベース(mm):2,280

車両重量(kg):690

エンジン仕様・型式:EF-JL 水冷直列3気筒SOHC12バルブ ICターボ

総排気量(cc):659cc

最高出力:64ps/7,500rpm

最大トルク:9.4kgm/4,000rpm

トランスミッション:5MT

駆動方式:4WD

中古車相場:3万~80万円(L200系ミラ各型)

 

まとめ

 

L200系ミラはデザインこそ先代L70系ミラの角を落としてやや丸くしたようなキープコンセプトでしたが、エンジンは排気量アップだけでなくEFI(電子制御燃料噴射装置)の採用や4バルブ化で、SOHCのまま大幅に品質を向上。

さらに4速ATの採用による高級化、左右ドアに軽自動車としては初めてサイドインパクトビームを採用するなど安全面でも大きく進歩したモデルでした。

4WSやクロスオーバーモデルのように1代限りとなった新機軸もありましたが、高級版のモデルでは思い切った前後デザイン変更を行うなど、「1車種で2つ以上のデザインを持つ」という、後のダイハツ車の定番コンセプトを最初に実現しています。

そして何より、他メーカーが550cc時代のマイナーチェンジで済ませていた時期の数少ないブランニューモデルということで、ライバルに対して大きなアドバンテージを持っていたのです。

この次の世代からはワゴンRやムーヴといった軽トールワゴンのヒット作が登場、軽自動車に求められるものが大きく変わっていったので、L200系は「ダイハツの主力車種」としては最後のミラになりました。

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。
現在はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっています。

http://dctm.info/

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