中古車市場ではさまざまなスポーツカー、あるいはスポーツモデルの車が販売されていますが、「平均販売価格が現実的で、コスパの優れた国産スポーツといえば、どの車だろう?」という事で、調べてみました。車両本体価格300万円以下で、流通台数が2ケタ以上、おおむね1990年代以降に販売された、2ドアクーペやオープンスポーツ、3/5ドアのホットハッチか4WDスポーツに絞り、「最高出力÷平均価格(万円)=コストパフォーマンス」で計算してみます。

今回は車両価格で計算したが、安く楽しみ尽くせるかはトータルコストで決まる。画像は2代目スイフトスポーツの海外版3ドア(ZA31S) / photo by Mark Seymour

タマ数なければコスパが良くても探すのが大変!流通台数3ケタ以上の車ベスト10!

タマ数豊富な登録車スポーツNo.1コスパ、マツダRX-8 / Photo by www.twin-loc.fr

※最高出力については同じ車の同じエンジンでも、時期やグレードにより微妙に異なる場合があるため、平均値としています。

1位:マツダ RX-8(コスパ度2.27)・最高出力227.5馬力・平均価格100万円・流通384台

2位:日産 CV36スカイラインクーペ(1.98)・333馬力・169万円・128台

3位:スズキ ZC31Sスイフトスポーツ(1.97)・125馬力・64万円・227台

4位:ホンダ CR-Z(1.77)・(システム出力)130馬力・74万円・601台

5位:日産 Z33フェアレディZ(1.59)・297馬力・186万円・486台

6位:トヨタ MR-S(1.49)・140馬力・94万円・174台

7位:スバル GDB インプレッサWRX STI(1.35)・280馬力・207万円・121台

8位:スズキ ZC32Sスイフトスポーツ(1.28)・136馬力・106万円・355台

9位:日産 Z34 フェアレディZ(1.27)・336馬力・263万円・292台(※NISMO除く)

10位:マツダ NBロードスター(1.23)・138.1馬力・112万円・240台(ターボとクーペ除く)

車両本体価格の平均が300万円以下でコスパが良いと言っても、タマ数があまりにも少なく、探すのに難儀するようでは、紹介されても購入するのが大変です。

そんなわけでまずは、タマ数が豊富な車からのベスト10ですが、傑出しているのはRX-8で、続いてCV36スカイラインクーペに、ZC31Sスイフトスポーツ(2代目)という結果になりました。

一般論として、燃費の悪い車や自動車税が高い車は中古車価格の下落が著しいため、ロータリースポーツと大排気量クーペがハイパワーモデルに比べて安いという事になり、上位に来るのは納得ですが、ハンドリングに優れたFFスポーツとして脚光を浴びたZC31スイフトスポーツが大健闘し他店には驚きです。

これは同じテンロクスポーツの中でも、6速MTがラインナップされたZC32Sスイフトスポーツ(3代目)や、1.4リッターターボの現行ZC33Sスイフトスポーツ(4代目)の登場に加え、2モデルとも型落ちであることが理由だと思われます。

高効率エンジン時代の新世代テンロクスポーツ第1弾として絶賛され、アフターパーツもまだまだ豊富で維持費も安いという意味で、買ってからもコスパがよいモデルです。

ここからは2ケタ以上流通でOK!FFスポーツのコスパベスト10!

日本での人気は今ひとつながら「イグニス」の名でJWRCにも出ていた、スズキHT81S初代スイフトスポーツ / Photo by Ben

1位:スズキ HT81S スイフトスポーツ(2.61)・115馬力・44万円・26台

2位:トヨタ ZZT231 セリカ(2.46)・190馬力・77万円・89台

3位:スズキ ZC31S スイフトスポーツ(1.97)・125馬力・64万円・227台

4位:三菱 FTO(1.88)・190馬力・101万円・17台(※2リッターV6車のみ)

5位:ホンダ CR-Z(1.77)・130馬力・74万円・601台

6位:ホンダ EP3 シビックタイプR(1.33)・215馬力・162万円・33台

7位:スズキ ZC32S スイフトスポーツ(1.28)・136馬力・106万円・355台

8位:ホンダ DC5 インテグラタイプR(1.05) ・220馬力・211万円・72台

9位:ホンダ EK4 シビックSiR(1.03)・170馬力・164万円・13台

10位:ホンダ FN2 シビックタイプRユーロ(0.98)・ 201馬力・206万円・78台

駆動別ランキングの第1弾はFFスポーツでしたが、流通台数が2ケタと気象なモデルまで含めると、トップになったのはHT81Sスイフトスポーツ(初代)です。

おそらく2代目以降は高品質コンパクトスポーツ以前に、エンジンの吹け上がりも不評で高い評価を得られなかっただけに、3つ型落ちという以上の値落ちとなり、トップになってしまった印象。

満足感も含めたコスパでは、5ナンバーサイズにダウンサイジングされ、190馬力のスポーツツインカム2ZZ-GEで気持ち良い走りが楽しめる2位のT230系セリカ(7代目)や、3位の前項でも高い評価だったZC31Sスイフトスポーツが妥当でしょう。

それにしてもスイフトスポーツが10台中3台もランクインしている点をみると、まだ新しい4代目は高価なため、今回は最下位(13位)とはいえ、コスパ良好ホットハッチとして今後も長く親しまれそうです。

また、意外なところではEP3シビックタイプR(2代目)、FN2シビックタイプRユーロ、さらにDC5インテグラタイプR(2代目)までランクインしていますが、K20Aエンジンを搭載したタイプRの人気は、今でもジムカーナなどモータースポーツで現役なFD2シビックタイプR(3代目)に集中しており、あぶれた同世代3台の価格が手頃となっています。

意外?妥当?FR&MRスポーツのコスパベスト10!

フェアレディZに代わって日産の2+2スポーツクーペを受け持ったCV35スカイラインクーペ / Photo by Mark Seymour

1位:日産 CV35スカイラインクーペ(2.91)・280馬力・96万円・56台

2位:トヨタ Z40ソアラ(2.64)・280馬力・106万円・94台

3位:マツダ RX-8(2.27)・227.5馬力・100万円・384台

4位:日産 CV36スカイラインクーペ(1.98)・333馬力・169万円・128台

5位:レクサス SC430(1.85)・280馬力・151万円・65台

6位:レクサス IS F(1.63)・423馬力・260万円・51台

7位:日産 Z33フェアレディZ(1.59)・297馬力・187万円・486台

8位:トヨタ MR-S(1.49)・140馬力・94万円・174台

9位:トヨタ SW20 MR2(1.38)・190馬力・138万円・29台(※NAモデルのみ)

10位:トヨタ Z30ソアラ2.5ツインターボ(1.34 )・280馬力・209万円・29台

FR&MR部門では、今回スポーツセダンは含めていませんが、仮に含めていればレガシィやスカイライン、さらにアルテッツァなどもかなり上位に入ったでしょう。

2ドアクーペ及びオープンスポーツによるランキングでは、順当にCV35スカイラインクーペ、Z40ソアラ、レクサスSC430、レクサスIS F、日産Z33といずれも3.5リッター超のちょっと古い車、自動車税が高い上に重加算税で苦しみそうな車齢13年超の面々が勢揃いする結果となりました。

特にIS Fなどは5リッターV8エンジン搭載のため、まだ初期型以外は重加算税対象ではないとはいえ、普通に自動車税や重量税、タイヤ代などが高額です。

比較的新しく、高級高性能とはいえ、GS FやRC Fに比べれば型落ち感もあるためか、「馬力の割に安い」ためのランクインということでしょう。

これらの車は購入するだけなら安くてコスパ良好とも言えますが、買ってからのガソリン代や毎年の維持費といった意味では、コスパ良好とはちょっと言い難いところ。

そういう意味で注目なのは8位のMR-S、そして9位のSW20型MR2(2代目)自然吸気エンジンモデルで、いずれも10~20年前の車なため、燃費がいいとは言い難く重加算税は加算されるものの、2リッター以下で燃費も大排気量車やロータリーよりマシと言えるモデルです。

そもそもコスパがよくて安い車なんかそうそうない!4WDスポーツのコスパベスト8!

WRCで活躍しても4WDスポーツのコスパ1位。スバルGDB 2代目インプレッサWRX STI / Photo by sagesolar

1位:スバル GDB インプレッサWRX STI(1.35)・280馬力・207万円・121台

2位:三菱 ランサーエボリューションVII(1.30)・280馬力・216万円・24台(※GT-A除く)

3位:三菱 GTOツインターボ(1.18)・280馬力・237万円・20台

4位:ダイハツ M312S ブーンX4(1.16)・133馬力・115万円・10台

5位:三菱 ランサーエボリューションV(1.08)・280馬力・260万円・12台

6位:トヨタ ST205 セリカGT-FOUR(1.04)・255馬力・245万円・11台

7位:スバル GRB/GVB インプレッサWRX STI(1.02)・300馬力・293万円・289台

8位:三菱 ランサーエボリューションVIII(0.99)・280馬力・284万円・38台

登録車の最後は4WDスポーツですが、ハッキリ言えば300万円以下でコスパに優れた4WDスポーツというのは、なかなかありません。

新しかったり人気があるとプレミア価格がついてしまうため、たとえばWRX STIやランエボX、そして2リッター4WDスポーツとしては最強クラスのランエボIXなどは、平均価格がとても300万円では収まりません。

もちろんスカイラインGT-RやR35GT-Rも価格を見た瞬間に「ダメだコリャ」というレベルで、R34GT-Rなど最低価格が1,000万円ほど。

ならば上位に来るのは必然的に、かなり型落ちのランサーエボリューション系とインプレッサWRX STI系で、さすがに現役車種としては旬が過ぎたGDB、第3世代GT9Aランエボでは最初期のエボVIIがツートップなのは納得です。

かと思えばラリーに関係ない車で唯一、三菱 GTOのツインターボが3位につけているのは、ある意味オトクと考えていいのかもしれませんが、スカイラインGT-Rのなかで最も不人気とされるBCNR33でも最低360万円からとなっているところや、GTOは最高でも330万円と、同世代のスーパー4WDスポーツとしては少々寂しいところです。

ちょっと面白いのは4位のブーンX4で、ダイハツの競技用モデル「X4シリーズ」はストーリアでもブーンでも一時は車格を考えれば高額な特殊モデルだったのですが、最近はラリーやダートトライアルに出場する姿もあまり見なくなって知名度が下がり、だいぶ安くなっているため、過激でレアでもコスパのいいコンパクトスポーツを求める人にはオススメかもしれません。

64馬力自主規制なので別枠!軽スポーツのコスパベスト10!

keiスポーツRというレース用モデルでワンメイクレースも行っていたスズキ / 出典:https://www.suzuki.co.jp/dom4/motor/2002/onemake/1020.htm

1位:スズキ keiスポーツ(2.66)・64馬力・24万円・15台

2位:ダイハツ L250SミラアヴィRS(1.60)・64馬力・40万円・19台

3位:スズキ keiワークス(1.39)・64馬力・46万円・113台

4位:ダイハツ L500SミラTR-XX(1.28)・64馬力・50万円・23台

5位:ダイハツ L700SミラTR/CR(1.16)・64馬力・55万円・11台

6位:スズキ HA/HB21Sアルトワークス(1.14)・64馬力・56万円・74台

7位:スズキ HA22Sアルトワークス(1.11)・64馬力・58万円・60台

8位:スズキ ラパンSS(0.96)・64馬力・67万円・156台

9位:ダイハツ L700Sジーノターボ(0.86)・64馬力・75万円・127台

10位:スバル ヴィヴィオRX-R(0.79)・64馬力・81万円・18台

最後に、64馬力自主規制により国産スポーツは全て64馬力固定!よって平均販売価格の安さで勝負が決まる軽自動車だけを、別枠で紹介します。

最新のアルトワークスやS660,コペンなどはもちろん、1990年代の軽スポーツABC(AZ-1、ビート、カプチーノ、キャラ)はいずれも高額すぎてランク外(ビートが意外に値落ちしており、11位とランクイン寸前ではありました)。

必然的に数世代前の軽ホットハッチ対決になるわけですが、コスパ良好、つまりもっとも平均価格が安かった順から3台はkeiスポーツ、ミラアヴィRS、keiワークスと、いずれもレースやジムカーナで使われた割にはセミハイルーフで、見た目がやや腰高なモデルです。

keiはまだサーキット走行でも見かけますが、ミラアヴィなどMTのターボ車は現在知名度も低いと思われ、意外な「穴場」かもしれません。

その他のモデルは旧規格最終、あるいは新規格第1世代の軽ホットハッチが並んでおり、少々新しいものの、ガラスエリアが広くてやや腰高なラパンSSも含め、それなりに納得の顔ぶれに思えます。

コスパの良さならkeiスポーツ、タマ数の豊富さならkeiワークスやラパンSS、ミラジーノターボが探しやすくてオススメですが、スポーツ派が一番喜びそうな3ドアのミラジーノSやL700SミラTR、HA22SアルトワークスRS/Zはなかなかのレア車で、大抵は少し重たい5ドアになってしまのがちょっと残念なところです。

コスパが良さそうに見える車に「ワケあり感」が目立つ中、際立つのはスイスポ!

あらゆるステージで、ZC31S2代目スイフトスポーツはまだまだ楽しめる車だ(画像は海外向け3ドアのZA31S) / Photo by Bernd Sieker

以上、中古車の車両本体価格からコスパの高そうなスポーツモデルを紹介しましたが、いずれも大抵は、「古い、税金が高い、ガス食い、大きすぎる」など、新車ではともかく、経済性も重視される中古車では少々厳しい車ばかりが、結果的には「馬力の割に安い」という理由でランクインする結果になりました。

今回たまたまスポーツモデルで紹介していますが、おそらくはどんなカテゴリーでランキングを作っても、似たような結果になると思います。

そんな中で今回光るのはスズキのスイフトスポーツで、平均販売価格の安さからランクインし、比較的新しい小型軽量テンロクスポーツなため維持費やガソリン代も安いという意味では、「本当にコストパフォーマンスに優れた車」と言えるでしょう。

今回は1.5リッタースポーツモデルまではカウントしませんでしたが、おそらくヴィッツRSやフィットRSなども、同様の結果が出ると思われます。

軽自動車のコスパがカタログ馬力の自主規制で少々残念な事になっているため、安くスポーツモデルを楽しみたいなら目先の車両本体価格だけに流されず、各社の1.5~1.6リッタークラス、あるいはマーチ12SRやブーンX4のようにもっと小型小排気量のコンパクトスポーツがオススメです。