極端に高く跳ね上がったハンドルやロケットカウル、爆音マフラーなど、違反改造としか思えないバイクに遭遇することがありますが、堂々と公道を走っているという事は、車検に適合しているのでしょうか?そんな、改造バイクの車検について解説します。

掲載日:2020/05/19

Photo by akira asakura

暴走族や旧車會のバイクは違法改造なのか

出典:イラストAC

暴走族や旧車會のメンバーが乗っているバイクを見ると、かなりイカつい改造が施され、傍から見れば明らかに違法改造だとしか思えません。

かつて、夜間に暴走族メンバーがバイクで危険走行をしていたり、近隣住民に騒音被害を及ぼすなど、社会問題となりましたが、年々グループ数やメンバー数は減少し、街中で見かける機会も少なくなりました。

旧車會/ ©Chiba Prefectural Police.

暴走族を引退し成人となった方が集い、現役時代に乗っていた旧式のバイクで集団走行するグループ『旧車會(きゅうしゃかい)』というのが存在します。

旧車會のメンバーが乗るバイクは、ホンダ・CBX400Fヤマハ・RZ250/350といった1980年代に人気だったバイクに派手な塗装や改造を施しています。

乗っているバイクは、彼らが暴走族の時代に乗っているバイクをそのまま蘇らせた改造ですが、暴走族と異なるのは、夜間ではなく日中に集団走行していること。

ツーリングと称して集団走行をしているため、無茶な蛇行運転やパトカーを威嚇(イカク)するような走行までは行いませんが、乗っているバイクはいわゆる族車。

中には、パトカーや白バイが近くにいないことを確認し、コールと呼ばれる故意にアクセルをふかして爆音のエンジン音を出したり、蛇行運転などを行っている旧車會チームもいます。

バイクを見れば確実に違法改造に思えますが、白昼堂々公道を走行している点で中には合法改造されたバイクに乗っているメンバーもいるということです。

車検適合の条件とは

出典:写真AC

ここで社外パーツに変更した際に、保安基準をおさらいしてみましょう。

マフラー

社外マフラーは認定日と製造年月日により基準値が異なります。

排気量 移行期間
平成10年度以前 平成10年度 平成13年度 平成22年度
近接排気騒音基準 125cc~250cc 95dB 95dB 90dB 90dB
(加速走行騒音基準は82dB)
251cc~ 99dB 99dB 94dB 94dB
(加速走行騒音基準は82dB)

ハンドル

車検証記載の数値と比較し、ハンドル高さ±4cm、幅が±2cmの範囲であれば変更可能です。

ウインカー

レンズ色 オレンジのみ
電球がオレンジ色であればクリアレンズでも適合
点滅回数 1分あたり60回以上120回以下
レンズの大きさ サイズは7cm2以上、左右対称、左右の間隔が前で30cm、後ろで15cm以上
発光面 中心より内側45°、外側80°から見える場所

ヘッドランプ

ヘッドランプは明るさや色温度だけでなく、光軸調整もテスターで測定されます。

このとき、光軸調整の基準は左右で27cm以内、上で10cm以内、下で地上からライトまでの距離のうち20%以内のずれに収まっていれば適合します。

平成10年3月31日以前に製造されたバイクであれば、走行中に消灯できない仕組みである必要があり、平成17年12月31日以前に製造されたバイクは、白色または淡黄色に統一していれば基準に適合します。

明るさ 2灯式:15,000cd(カンデラ)から225,000cdまで
4灯式:12,000cdから225,000cdまで
色温度 3,500Kから6,000Kまで

ミラー

ミラーは後方が明確に確認できることと、ひび割れやひずみなどがあれば不適合です。

大きさは面積は69cm2以上、直径78mmの円、または、120mm×200mm未満で直径78mmの円を内包できれば円形以外でも適合。

設置位置はハンドルの中心から280mm以上外側に設置し、左右対称であることが条件です。

極端にサイズオーバーする場合は構造変更

陸運局に行くと、稀に極端に改造されたバイクに遭遇することがあります。

明らかに上記で解説した保安基準から外れるため「こんなの絶対車検に通らないだろう。」と思っても、記載変更または構造変更することで車検に通すことが可能です。

記載変更と構造変更とは

記載変更とは、改造したことで全長、全幅、全高、車重が変わったとき、陸運局に申請することで、再測定・車検証の再発行をしてもらえます。

しかし、諸元記載変更とは「検査をともなわない変更」であるため、軽微な改造のみ適応されます。

具体的には全長が±3cm、全幅が±2cm、全高が±4cm、車重が±50kgを超える変更があると構造変更の手続きが必要になります。

構造変更とは、大幅な車両サイズ/重量の変更、フレームを切ったり加工する、またエンジンを車検証の原動機型式と異なるエンジンに変えたりするような大掛かりな改造の場合に必要な申請で、強度計算書の提出など諸元記載変更に比べれば難しい申請手続きになります。

車検を必要とする251cc以上のバイクが対象で、車検のない250cc以下のバイクだと『改造申請』になります。

ロケットカウルや三段シートの変更は合法?

© 1996-2020, Amazon.com, Inc. or its affiliates

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ロケットカウルやアンダーカウルを取り付けることは、違反ではありませんが、スクリーンの可視透過率が25%以上であることが条件であることと、ライトの取り付け位置も極端に変更するとNGです。

極端に跳ね上がったハンドルや三段シートを装着しても、構造変更をすることで合法化可能です。

爆音マフラーは確実にNG

保安基準を満たしている RPMマフラー / © 1996-2020, Amazon.com, Inc. or its affiliates

爆音のカスタムマフラーは確実にNGと考えたほうがいいでしょう。

族車仕様のバイクには、消音器(サイレンサー)がない、いわゆる直管マフラーを取り付けているをがあります。

基本的に、消音器や触媒装置のないマフラーは車検に通りません。

しかし、社外マフラーのなかには、消音器部分を小さくして見た目を直管に近づけ、かつ保安基準に適合したものも販売され、RPMのマフラーは人気です。

RPMの公式ホームページはこちら

不正クラクションやホーンは不正改造とみなされる場合も

クラクション以外に、ラッパのようなホーンを取り付けているバイクを見かけることがありますが、『ミュージックホーン』と呼ばれます。

音は『パラリラパラリア♪』や1970年代に流行った『ゴッドファーザーのテーマ音』といった音色ですが、ホーンは保安基準においては『警音器』または『警報音発生装置』と呼ばれます。

保安基準第141条では「音が、連続するものであり、かつ、音の大きさ及び音色が一定なものであることとする」とされます。

つまり、音楽のようなホーンは保安基準に適合しないということから、『パラリラパラリア♪』や『ゴッドファーザーのテーマ音』は不適合となります。

まとめ

出典:イラストAC

旧車會のバイクは、すべてが車検適合であるとは言い難いですが、記載変更や構造変更で車検適合車両にしている族車もあり、こういったバイクを専門に扱うショップもあります。

しかし、実際は車検のときに適合させるための整備を行い、車検が終われば違法の改造を施す方も少なくありません。

違法改造は見た目はカッコよくなるもの安全性を損ない、さらに同じ道を走る他車に対しても安全を損なわせます。

暴走族のグループやメンバー数が少なくなったとはいえ、警察は旧車會の集団走行に警戒し、旧車會のメンバーが道交法違反(共同危険行為)容疑で逮捕検挙されることは尽きません。

「警察に捕まらなければいい」と考えは無くすべきです。

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