MOMO(モモ)といえば、ピンと来る車好きも多いと思います。今回はそんなMOMOから、昨今注目を集めているオールシーズンタイヤ「4RUN M-4 ALL SEASON(フォーランエムフォーオールシーズン)」が登場したとのこと。新物の筆者として、これは放って置けないということで、早速マイカーであるBMW Z4(E85型)に装着し、その実力を検証していきます。
Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA
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モモステで有名なMOMOが放つ「お洒落カッコいい」オールシーズンタイヤ
MOMO(モモ)は、イタリアに本拠地を置くパーツメーカーで、日本では通称“モモステ”と呼ばれるスポーツステアリングが有名です。
そのほか、シートベルトカバーやフロアマット、シフトノブといったパーツが有名で、車好きなら誰しも「おっ!?」と反応してしまうのではないでしょうか。
筆者もその例に漏れず、MOMOという名前に反応してしまい「これはぜひ試してみたい!」と思ったわけです。
しかも、近年注目されているオールシーズンタイヤとなれば、愛車に装着してその実力を試してみるしかありません。
日本ではあまり知られていませんが、実はこのMOMO、近年タイヤ事業に力を入れており、グローバルで見れば十分な知名度を誇っています。
サイドウォールには、誇らしく「ENGINEERED IN ITALY」と「MADE IN HUNGARY」の文字。
BWM Z4がドイツなので、なんだか国際色豊かな雰囲気になってしまいましたが、明らかに国産タイヤにはないデザインで見た目がかなりオシャレになりました。
また、通常の夏タイヤと比べてやや割高感のあるオールシーズンタイヤでありながら、販売元であるオートウェイさんに掲載された価格は、10,140円〜とお買い得な点も注目していただきたいポイントです。(装着サイズ225/45R17は12,690円)※価格は2024年2月現在
しかし、タイヤは安全と快適性に直結する重要なパーツであるため、見た目がいいだけではおすすめできません。
そこで、市街地や高速道路での実力に加え、本当に雪道でも走れるのか?身をもってテストしていこうと思います。
市街地では想像以上の乗り心地の良さを実感
交換を終え走り始めてすぐに感じたのは、当たりが柔らかいということ。
交換前に履いていた夏タイヤがややスポーツに寄っていたこともあり、乗り心地が数段アップした感触です。
市街地の道にありがちなマンホールや舗装の継ぎ目を無駄に拾うようなことはなく、ちょっと大きめな段差では発生するショックも角が丸められたような印象を受けます。
とはいえ、柔らかすぎるといったことはなく、スポーツカーであるZ4らしいキビキビとした動きを阻害することはありません。
もちろん、法定速度内の低速ではありますが、第一印象としてはかなり良いというのが正直な感想です。
BMWの良さを損なわない直進安定性と静粛性
記録的に雪が少ない2024シーズンということもあり、雪を求めて関東近郊から高速道路を北上し、4RUN M-4 ALL SEASONの高速インプレッションを行います。
BMWといえば、直進安定性が高いことでも有名ですが、ランフラットタイヤが純正採用され始めたころ、その評判が崩れてしまったことがあります。
つまり、どれだけシャシー性能が優れていても、タイヤの特性次第で車の性能は大きく左右されてしまうという証拠です。
さて、肝心の4RUN M-4 ALL SEASONとZ4の相性はどうだったかというと、お世辞抜きにバッチリでした。
クローズドボディのモデルに比べ、オープンのZ4はややボディのヨレを感じるものです。しかし、微妙にボディがネジレるレーンチェンジや轍でも、はっきりとリアタイヤから前に進める力を感じます。
これはタイヤ自体の剛性がしっかりしていることと、特徴的なV字型シェイプのトレッドパターンの効果かもしれません。
そして、意外だったのは走行音の静かさ。
スポーツタイヤのようなゴーという音はもちろん、スタッドレスタイヤにありがちなシャーという高周波な音もほとんど感じません。
今回のテスト車両がオープンカーのZ4なので当然と言えば当然ですが、注意して聞き分けなければわからない音量レベルだったのは驚きです。
冬タイヤ規制下でも使用可能
車窓に見える山々に雪が見え始め、いよいよワインディングから雪が残る山地へと進んでいきます。
今回テストしている4RUN M-4 ALL SEASONは、その名の通り夏から冬まで全てのシーズンで使えるオールシーズンタイヤ。
その証拠としてサイドウォールには、日本で冬用タイヤに分類される「スリーピースマウンテン・スノーフレークマーク(以下、3PMSF)」が刻印されています。似たようなマークで「M+S(マッド&スノー)」がありますが、M+Sだけでは冬用タイヤにはならないので注意してください。
この3PMSFがあるタイヤは、一部の高速道路や幹線道路で出される「冬用タイヤ規制」に対応。
もちろん、災害レベルの降雪時に出される「チェーン規制」で使用することはできませんが、冬道における一定以上の性能は保証されています。
拍子抜けするほどしっかりと雪道を走れる
ついに雪が残る地域に入ってきましたが、「ふわふわの新雪」は勘弁してもらいました。
それでも路面はガッチリ踏み固められた圧雪路と、表面が溶けたシャーベット路。いくらオールシーズンタイヤを履いているとはいえ、ローダウンしたFR車にはなかなか厳しい条件です。
こういった滑りやすい路面の場合、急のつく運転は厳禁のため30〜40km/hを上限に走ってみますが、緊張していた自分が恥ずかしくなるほど普通に走れます。
特に前進方向のトラクションがしっかりしていて、坂道発進も問題ありません。
当然リアタイヤ(駆動輪)のトラクションを探るようなアクセルワークを心がけてはいましたが、間違いなく夏タイヤでは走れないシチュエーションであるにもかかわらず正直驚きました。
急制動もテストしてみますが、たとえ下り坂であってもしっかり止まります。もちろんABSは介入するものの、しっかりと減速Gを感じるレベルです。
ただし、夏タイヤより雪道を走れるとは言え、凍結路面ではスタッドレスタイヤほど効くわけではありません。
また、4RUN M-4 ALL SEASONに見られるV字型シェイプのトレッドパターンは、前進に比べて後進方向のトラクションはやや劣るため、特に今回のようなFR車の場合はバックでの発進は注意が必要です。
年に1〜2回しか雪が降らない地域ならかなりおすすめ!
毎年必ず雪が積もる地域にお住まいなら、スタッドレスタイヤだけじゃなく必ずチェーンも携行するのが当たり前かもしれません。
そうではなく、「今年の冬は雪降るかなぁ?積もるかなぁ?」という地域の場合、季節の変わり目のたびに夏タイヤからスタッドレスタイヤに交換するのはなかなか手間です。
交換をショップに依頼すれば当然工賃がかかりますし、交換したタイヤを家に保管するのもなかなか場所を取ります。
その点、オールシーズンタイヤなら年間を通して使えるため、そういった煩わしさがありません。
そして、今回は筆者のマイカーであるBMW Z4でテストした結果、タイヤの剛性感や素性がよく分かりました。
当然スポーツタイヤのようなグリップ感や剛性感とまではいきませんが、法定速度内でワインディングを気持ちよく走るレベルなら、オールシーズンタイヤであることを忘れるほど気持ちよく走ることができます。
さらに、一般的なオールシーズンタイヤと比較してコストパフォーマンスにも優れているため、オールシーズンタイヤに興味があるのなら選択候補にして損はありません。
興味が湧いたという方は、ぜひオートウェイさんのサイトも覗いてみてください。