本格ピックアップトラックとして高い評価を受ける三菱トライトンを、タイヤとホイールを変えるだけでさらに格好良く機能的に進化させよう!ということで選んだのは「KUMHO ロードベンチャー AT52」と「トヨタFJクルーザー純正スチールホイール」の組み合わせ。オンロードでの快適な走行性能はもちろん、絶対に外せないオフロード走破性はどうなるのか?市街地から高速道路、そして本格的なオフロードに2台のトライトンを持ち込み徹底検証しました。

Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

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リーズナブルなお手軽カスタムの実力を試す

三菱らしいオフロード感のある無骨なエクステリアと上質さを併せ持つインテリア、そして、豊かなエンジンパワーを確実に路面へ伝える強靭なシャシー。ノーマル状態でも、本格ピックアップトラックとして完成度が高い三菱 トライトンですが、タイヤとホイールだけ、しかもお手軽なカスタマイズでワンランク格好良くしてしまおう!というのが今回の目的です。

自身も複数台のジムニーを所有し、週イチで走りに行くという無類のオフロード愛好家であるMotorz編集部の内原氏が選んだのは、KUMHO ロードベンチャー AT52とトヨタFJクルーザー純正スチールホイールの組み合わせ。社外ホイールと国産メーカータイヤをチョイスした場合、優に20万円は超えるものですが、かなりリーズナブルに仕上げたというではありませんか。

KUMHO ロードベンチャー AT52は、名前に「AT」とある通り、オールテレーンタイヤです。一般的なオールテレーンタイヤは、オンからオフまで卒無く走れるオールマイティさが魅力ですが、見た目はどうしても乗用車タイヤに近くなってしまい、せっかくの無骨さが失われてしまいます。

その証拠に、純正で装着されているタイヤは、幅が265と同じであるにもかかわらず、やや貧弱な印象。対してKUMHO ロードベンチャー AT52は、一見するとMTにも似たトレッドパターンを持ち、本格MTタイヤを思わせるサイドウォールに似たパターンを採用し、トライトンの足元にどっしりとした力強さを与えています。

また、あえて18インチから17インチへ1インチダウンさせたトヨタFJクルーザーの純正スチールホイールは、プレーンでありながら立体的な所謂「深リム」。タイヤの存在感が増すとともに、視覚的なリフトアップ効果が得られています。

気にある予算ですが、程度の良い中古の純正ホイールは約4万円、KUMHO ロードベンチャー AT52は新品でネットショップ価格15,000円/本程度。(2024年12月現在)つまり、この見た目が10万円程度で手に入るということになります。ホイールはもともと安く流通しがちな純正品ではあるものの、タイヤ単体の価格も十分リーズナブルです。

ただし、いくら見た目が良くなったとしても、トライトン本来の走行性能をスポイルしてしまっては意味がありません。そこで、今回は様々なステージに2台のトライトンを持ち込み、純正タイヤとオンロード、オフロード双方での走行性能を比較していきます。

三菱トライトンのおさらい

トライトンはラダーフレーム構造を持つ本格ピックアップトラックですが、純正状態でかなり乗り心地が良く、いわゆる都会派SUVにも引けを取りません。三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」を持つフロントフェイス、凹凸感のあるフェンダー周りなど、無骨で迫力のある外装。インテリアは十分上質ながらも、オフロードを意識した無骨さも併せ持つ一台です。

三菱開発陣の話では、乗り心地にかなりこだわって車両開発をされているようで、従来のピックアップトラックのイメージとは異なります。「家族も乗せられて自分の趣味も妥協しないという点でトライトン一択だった」という、オーナーであるMotorz編集部の内原氏の言葉も納得です。

ただし、純正のアルミホイールは、ややエレガントな要素が強く、タイヤホイールもも引っ込んでいるため車全体の雰囲気に負けている印象。本当なら”悪路性能優先””乗り心地度外視”で、ゴツゴツしたMTタイヤを履きたいオフロード愛好家の内原氏にとって、純正状態で満足できるはずもありません。

はたして、KUMHO ロードベンチャー AT52+トヨタFJクルーザーの純正スチールホイールの組み合わせは走りまで満足させられるのでしょうか?

街乗り〜高速道路でオンロード性能をCHECK!

家族を乗せるという前提がある以上、まずは市街地と高速道路を使い、オンロードの性能を比較していきます。

ゴツゴツ感の無い滑らかで安定感のある乗り心地

別企画でトライトンを転がしたことのある筆者。純正状態で街中を走った印象は、十分満足できる上質な乗り心地。リーフスプリング+リジット、さらにラダーフレームを持つ本格ピックアップトラックとは思えません。車内の静粛性も高く、家族で使う車としてトライトンを選んでも、ほとんどのみなさんが満足するはずです。

対して、見た目にも迫力があるKUMHO ロードベンチャー AT52は、その見た目に反して乗り味は柔らか。MTタイヤのようなゴロゴロ感がまったくありません。タイヤホイールが外に出たおかげでトレッドが広がり、交差点やカーブでの安定感がました印象です。実測したわけではないので確かなことは言えませんが、純正のアルミホイールは決して軽量というわけではないので、スチールホイールになったとはいえ、インチダウンしたことで、結果的に軽くなった?もしくは純正と変わらない重さ故に、走りやハンドリングは想像よりも軽快です。

トレッド拡大と絶妙なトレッドパターンで高速道路も快適

次に、トライトンのような本格ピックアップが苦手とする高速道路。純正状態の印象は市街地と変わらず乗り心地が良く、さらに最新の運転支援システムが搭載されているため、長距離移動も楽にこなせそうです。

KUMHO ロードベンチャー AT52は、こちらも市街と同様に驚きの静粛性。ブロックの大きなオフロードタイヤ特有の「パターン一つ一つが路面を叩くことで発生するノイズ」がなく、むしろ風切音やエンジン音の方が耳に入ってきます。また、高速の車線変更では、市街地で感じた安定感がさらに強調され、直進安定性も良好。ラダーフレーム+リジットサスの車にありがちな不快な揺れも抑えられ、運転手だけでなく、同乗者も快適に長距離を移動できそうです。

「ガレ石・泥・砂」様々なステージでオフロード性能をCHECK!

間違いなく家族から不満を言われることのないオンロード性能を確認し、一般的なユーザーさんであればここまでのレポートで十分かもしれません。しかし、ここはこれまで数々のおもしろ企画を実行してきたMotorz。「快適だったねぇ」で許してくれるわけもなく、通常なら絶対に足を踏み入れることのないオフロードコースに行き、悪路走破性能を実際にテストすることになりました。

ガレ場で純正以上の安定感を確認

サーキットやオンロードを主戦場とする筆者。本格的な悪路はほぼ未経験のため、正直かなりビビっていましたが、さすが本格ピックアップトラックであるトライトンは、純正状態でも大きめの石がゴロゴロするいわゆる「ガレ場」を難なく走ってしまいます。

なんだか気負っていたのが恥ずかしくなるほどでしたが、KUMHO ロードベンチャー AT52装着車に乗ってビックリ。車体全体の安定感が増したのはもちろん、発進時のトラクションが明らかに向上しているではありませんか。具体的に言えば接地感が高まり、より広い面積で路面を捉えている印象。オフロード初心者の筆者ですが、なんだか運転がうまくなったのではと錯覚するほどです。

絶対踏み入りたくない泥道も楽々

続いて、これまた筆者的に未経験の泥濘(でいねい)路面。車はおろか、長靴を履いていても絶対に足を踏み入れたくないシチュエーションです。「大丈夫ですから!」と言われつつ、まずは純正状態のトライトンでアタック。グニュグニュと車が左右に動き、4輪それぞれがバラバラに滑りながらも、思いの外あっさりとクリアできてしまいました。

お次はKUMHO ロードベンチャー AT52。「道が変わった?」と思えてしまうほどの安定感に驚かされます。ガレ場で感じたトラクション性能に加え、横方向のグリップも高く、純正状態で感じたグニュグニュ感がかなり緩和されています。ハンドルを切った印象は、路面に食い込んでスパッと切り込むというより、ひとつひとつのブロックが路面を捉え、ジワ〜とグリップする感覚です。

ちなみに、泥濘路を走り終えた両者を比較すると、明らかに差が出ています。写真上(黒)の純正タイヤを履いた方は、大きく泥を跳ね上げているのに対し、写真下(オレンジ)の方は、ホイールハウスや車両後方にあまり泥が飛んでいません。ちなみにオレンジの車両はマッドガードを取り外しています。方や、黒に関してはマッドガードありでもリアフェンダーが汚れています。

念の為言っておくと、どちらも同じ道を走行し同じところで一旦停止、もちろん速度もほぼ同じ。つまり、KUMHO ロードベンチャー AT52の無駄なホイールスピンが少なく、着実に路面を捉えていることがよく分かります。

恐怖の砂地は明らかな差を実感

最終ステージとして内原氏に誘われたのは、サラサラフカフカの砂地。実際にアタックしてみると、純正状態のトライトンにとって今回用意されたシチュエーションでもっとも厳しいと感じました。ハンドルを切る、または、アクセルやブレーキを踏むたび、地面にタイヤがめり込んでいく感覚があり、「あ、これ一歩間違えるとスタックするな……」という恐怖を覚えました。

対してKUMHO ロードベンチャー AT52は、埋もれて行くような不安感が皆無。例えるならカンジキを履いて雪の上を歩いているような、沈むことなくしっかり地面を捉えている感覚です。加えてトライトンそのものの性能が良いのもあるでしょうが、1輪ごとタイヤの状態がわかりやすく「これ以上アクセル踏んだら滑りすぎる」「引っかかってしまうからハンドル操作はやめておこう」といった判断がしやすい。オフロードど初心者の筆者でも、安心して走行できました。

見た目と価格のバランスが取れたおすすめカスタマイズ

純正状態でも十分魅力的ですが、トライトンを選ぶようなこだわり派のユーザーであれば、他とは違うカスタム、より力強いオフロード感を演出したカスタムをしたいはず。今回は、他メーカーの純正スチールホイールというかなりマニアックな手法ではあるものの、かなりコスパの良い手法であることは間違いありません。

コスパという点において、KUMHO ロードベンチャー AT52の優秀さは言わずもがな。見た目はもちろん、オフロードの走行性能をさらに上げることも確認できました。そして、見た目をかなり無骨で力強いイメージに変化させつつ、普段使いのオンロード性能もスポイルすることはありません。

価格と見た目のバランスが取れたホイールに、KUMHO ロードベンチャー AT52を履かせるのは自身を持っておすすめできるカスタマイズです。

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