かつて三菱が国内外で販売していた定番ミドルクラスセダン、ギャラン。4WDターボのVR-4や世界初の量産乗用車用直噴ガソリンエンジン『GDI』で名を馳せたものの、2005年に日本市場での幕を閉じます。その後2007年に大型化して、ランサーの日本名で復活。2015年まで『ギャランフォルティス』の名で販売されてスポーツセダンのランサーエボリューションを除き、一般向けとしては日本市場における三菱最後のセダンとなりました。

 

三菱 ギャランフォルティススポーツバック / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/2000/00_29.html

 

グローバル基準のスポーティセダンとして『ギャランフォルティス』登場

 

三菱 ギャランフォルティス / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/2000/00_27.html

 

かつて三菱500に始まり、『コルト』シリーズ各型でなかなかヒット作に恵まれない1960年代を過ごした三菱がようやく最適解を見い出し、初のヒット作となったのが初代『ギャラン』(1969年12月)でした。

それから代を重ね6代目に登場したギャランVR-4(1987年12月)で『2リッター4WDターボのスポーツセダン』というジャンルを確立。

その後、長く続くスバルとの戦いが始まります。

そして8代目(1996年8月)には量産乗用車用としては世界初の直噴ガソリンエンジン『GDI』を搭載するなど、時代におけるエポックメイキング的存在だった歴代ギャランですが、いかんせん2000年代に入って日本全体に染み渡った『セダン不振』は大打撃でした。

また、当時日本市場でさまざまな問題を抱えていた三菱にはギャランを販売継続する余力は無く、輸出用こそ継続されたものの日本仕様は2005年で一旦終了。

一方、1クラス下の5ナンバーサイズ小型セダンだった『ランサー』が2007年に6代目へとモデルチェンジする際、大幅にサイズアップして3ナンバーサイズとなる事から日本市場では6代目ランサーの継続販売が決定されます(2010年春まで)。

しかし7代目ランサーも日本市場での販売が決定。

スポーツセダンの『ランサーエボリューションX』のみランサー名を冠し、通常のセダンおよび後に追加される5ドアハッチバック仕様はランサーより1クラス上の車名として『ギャラン』の復活が決まります。

そしてモデルチェンジされて継続販売していた海外仕様ギャランとの混同を避けるためかサブネームが追加され、『ギャランフォルティス』として2007年8月に発売されました(5ドアハッチバックのスポーツバックは2008年12月)。

 

全盛期を彷彿とさせるスポーツセダン、そして懐かしさを感じるスポーツバック

 

三菱 ギャランフォルティススポーツバック 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/2000/00_29.html

 

最後の『純粋なギャラン』となった8代目ギャランと比べ、全長は50~110mmほど短いものの全幅は逆に20mmほど大きく、ボンネット側が下より突き出た逆スラントノーズは6~8代目のギャランを思わせたため、日本ではむしろギャラン名がふさわしかったと言えます。

ただ、基本的にはランサーそのもので2.5リッターV6ツインターボは踏襲されず、1.8~2リッターの新世代直4エンジンを搭載。

その代わりランサーからは1.8~2リッターモデルが廃止され、1.5リッター小型セダンとして従来型が継続販売されました。

ボディは『グローバル基準のスポーティセダン』と称した4ドアセダンと、その走りの良さを継承しつつ『クーペをイメージさせるスタイリッシュなデザインと、使い勝手の良いラゲッジルームを併せ持ったプレミアム感』のスポーツバック(5ドアハッチバック)の2種類。

スポーツバックは7代目ギャランに追加(1994年9月)され、バンパーガードなど当時のRVブームに追従した装飾を施したGTグレードがCMで『GT-RV』を名乗って物議を呼んだ、『ギャランスポーツ』を彷彿とさせます。

そして、ギャランフォルティスをベースに『IX(9)』まで進んでいた『ランエボ』の後継、『ランサーエボリューションX(10)』ほど過激ではありませんでしたが、2リッターMIVECターボに電子制御4WDを組み合わせた『ラリーアート』グレードも追加されました。

そんなラリーアートは『ランエボ』ほど尖ってはいない『ランタボ』的なモデルでしたが、それでも4WDシステムやデュアルクラッチ6速セミオートマの『SST』などランサーエボリューションXに準じた装備が施されています。

そのため、同時期のランサーエボリューションX GSRのSST仕様が375万0,600円だったのに対し、ギャランフォルティス ラリーアートは298万2,000円と、5速MTの設定こそ無かったものの『70万円以上安い一般向けお買い得仕様エボX』と考えることもできました。

また、ランサーエボリューションIXに存在したステーションワゴン仕様(通称『エボワゴン』)が消滅していた事から、ギャランフォルティス スポーツバック ラリーアートは4WDスポーツワゴンの代替需要も担っています。

 

主なスペックと中古車相場

 

三菱 ギャランフォルティス ラリーアート /  出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/2000/00_27.html

 

三菱 CY4A ギャランフォルティス ラリーアート 2008年式

全長×全幅×全高(mm):4,570×1,760×1,490

ホイールベース(mm):2,635

車両重量(kg):1,530

エンジン仕様・型式:4B11 水冷直列4気筒DOHC16バルブ MIVEC ICターボ

総排気量(cc):1,998

最高出力:177kw(240ps)/6,000rpm

最大トルク:343N・m(35.0kgm)/3,000rpm

トランスミッション:6DCT

駆動方式:4WD

中古車相場:16.9万~208万円

 

まとめ

 

三菱 ギャランフォルティス / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/2000/00_27.html

 

海外向けランサーの大型化により『ギャランフォルティス』として日本での復活を果たしたギャランですが、三菱自動車を取り巻く国内情勢は非常に厳しく、結局2015年3月でギャランフォルティス(スポーツバック含む)の販売は終了。

その後も販売が続いていた高性能版ランサーエボリューションXも2016年4月で国内販売を終了し、2017年12月には海外向け『ランサー』の生産終了も公式にアナウンスされます。

 

台湾で販売中の三菱 グランドランサー / COPYRIGHT©2017 GRAND LANCER ALL RIGHT RESERVED

 

しかし、ギャランフォルティスはまだ完全に終わったわけではありません。

台湾の中華汽車ではマイナーチェンジ版の『グランドランサー』を生産しており、2018年9月現在も販売しています。

 

 

そして2017年の発売時にはサーキット試乗会も開催されており、日本の三菱ファンが「羨ましい!」と叫んでしまいそうな光景も。

今では日本での販売車種、特に独自生産モデルが激減してしまった三菱自動車ですが、ルノー・日産・三菱連合体制の中で東南アジアを中心に海外市場での発展が期待されており、その中でギャランフォルティス/ランサーの歴史はまだまだ続きそうです。

 

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