クルマのECU(コンピュータ)チューニングと聞くと、なんだか難しそうなイメージが先行しがちですよね。サブコンやフルコン、ROMチューンなどの違いについて、概要だけでも理解しておけば、実は自分でも簡単にできるものなのです!そんなECUチュー二ングにおける、サブコンやフルコンの違い、ROMチューンについて紹介していきましょう。
クルマの頭脳!ECUは何をしてる?
『エンジンコンピュータ』や、単に『コンピュータ』と呼ばれることもある『ECU』ですが、そもそも一体どのようなパーツなのでしょうか?
ECUとはエンジンコントロールユニット(engine control unit)の略記で、クルマ始動時からエンジン制御を一手に担うマイクロコンピュータのこと。
我々が運転しているときの、アクセルを踏み込んだりなどの操作は、すべてECUへと情報が送りこまれています。
電子制御システムの総称としての『エレクトロニックコントロールユニット(Electronic Control Unit)』の略記もECUとなりますが、こちらはエンジン以外にステアリング操作やブレーキ、トランスミッションなど、運転するうえで総合的な操作を制御するもので、別モノなので注意。
同じECUという名称から、エンジンコントロールユニットと混同しやすいのですが、ECU(エレクトロニックコントロールユニット)はSAEとISOで定義されているため、”エンジン操作のみを制御するECU”、もしくは、”全体的な操作の制御するECU”のどちらが正しいかというと後者です。
ちなみにSAE、ISO上ではエンジン制御のユニットのことを『ECM(エンジンコントロールモジュール:Engine Control Module)』と定めています。
しかし、それでも現在はエンジンのコンピュータチューンを、『ECUチューン』と呼ばれているのが大半です。
ECU(エンジンコントロールユニット)が制御する対象は?
クルマの、アクセルを踏んだ分エンジンの回転数が上昇する仕組みは、アクセル開度をアクセルポジションセンサーが検知し、エンジンコントロールユニットを介して、電子信号がドライブバイワイヤースロットルボディを稼働させて燃焼室内にガソリンと空気の混合気が送り込まれ、エンジンが回転します。
この過程の間、エンジンコントロールユニットは以下の機構を制御しています。
制御対象 | 内容 |
---|---|
点火機構 | 内燃機関における点火プラグの点火タイミングを制御。 |
燃料系統 | 燃料を燃焼室へ送り込むインジェクターから燃料の噴射料を制御。 |
吸気系統 | ドライブ・バイ・ワイヤー、過給圧などの制御。 |
排気系統 | 排気効率や新気の充填効率を向上させる可変排気システムやO2センサーの制御。 |
動弁機構 | 吸排気バルブの開閉タイミングやバルブリフト量の制御。 |
ROMとは
エンジンコントロールユニットには、ROM(ロム)と呼ばれるメモリが搭載されており、アクセル開度に対応した燃料噴射量や点火タイミング、バルブタイミングなどのデータが格納されています。
ROMチューンは、これらのデータを書き換えてパワーアップを測ることで、ROMチューンを専門に行うカスタムショップもありました。
しかし、現行のクルマではトラクションコントロールやVSC(車両安定制御システム)、予防安全技術などさまざまなエンジン制御のデータとプログラミングデータが組み込まれています。
そのため、エンジンコントロールユニット内のROMデータ解析が困難で、メーカーからデータの提供を受けない限りROMチューンができない場合がほとんどです。
よって最新のクルマでは、個人のチューニングショップレベルではROMの書き換えが困難で、現在はフルコンやサブコンを搭載してROMチューンだけでなくエンジンコントロルユニットそのものをチューニングするのが一般的となっています。
サブコンとフルコンの違いとは
まずサブコンはサブコンピュータの略で、ノーマルECUに追加してECUチューニングが行えるものです。
こちらは、ROMのデータを大幅に変更させることは難しいのですが、エンジンコントロールユニットに入力される情報や出力された制御信号をサブコンによって値を変更し、エンジン特性を変更させることが可能になります。
セッティングはOBDテスタまたはパソコンを介して行え、フルコンに比べ安易にECUチューニングが可能です。
一方、フルコンはフルコンピュータの略で、エンジンコントロールユニットそのものを交換する方法となります。
ユニットそのものを交換するため、ROMのパラメータやプログラミングデータも変更でき、より精密でハイパワーなチューニングが可能です。
また、カムのタイミングやリフト量やサーボモーターのコントロール、ローンチコントロールといったノーマルECUやサブコンではできなかった操作も追加できるため、競技車両の多くはフルコンが搭載されています。
サブコン、フルコン搭載で車検は大丈夫?
サブコンやフルコンを搭載したことで、車検が通らなくなると思われがちですが、結論からいうと大体のものは車検に通ります。
しかし、以下の条件では違法改造となる場合もあるので、注意です。
基本的には車検の際に、ECUを検査することはないのですが、ECU交換によりどこか不具合が発生した場合、車検を通すことができないこともあります。
特に、エンジンコントロールユニットをチューニングしたことにより、エンジン警告灯が点灯しっ放しになっていたり、排ガス制御データを書き換えたせいで排気ガス中のCO(一酸化炭素)とHC(炭化水素)の排出量が上限を超え、不適合になってしまうこともあり得ます。
また、一部のサブコンやフルコンの説明書には、『公道走行不可』と書かれたレース専用のものが売られています。
さらに、交換した場合はメーカーの保証を受けられなく場合もあり、公道走行不可のパーツを装着しているということで、車検を通すことができても、違法改造となってしまうことを意識しなければなりません。
まとめ
ECUチューンは、サブコン程度であれば、取り付けからセッティングまで、ある程度は自分で行うことが可能です。
しかしフルコン交換になれば、個人レベルで取り付けとセッティングは難しくなるため、ROMチューンと同様にショップに依頼することが無難です。
エンジンコントロールユニットは、エンジンのコントロールを一手に担う重要なパーツであるため、サブコンやフルコンの取り付けは慎重に行い、不具合が発生して事故につながるようなことがないように注意が必要!
そうすれば、ECUチューンが愛車のポテンシャルを、さらに引き出してくれる最高のものになるでしょう。
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