モデルチェンジを機にしたとんでもない変化で世間を賑わす新型車でも、走行中に純正カーナビの操作やTV視聴が行えないことには変わりありません。
ドライバーによる画面の凝視が安全性の低下を招くとはいえ、同乗者による操作や視聴もできない仕様を何となく続けている姿勢は疑問ですし不便ですが、そんな不便を解消してくれるのが、データシステム(東京都新宿区)の「TV-KIT」シリーズです。
今回は9月にモデルチェンジした16代目クラウンの第1弾、歴代初のFFベース、かつSUVモデルのクラウンクロスオーバー用TV-KITへの適合を、早くも発表というニュース!

歴史と伝統を捨てても変わらぬ仕様を解決!TV-KITがクラウンクロスオーバーに新適合

TTV430ビルトインタイプ ©データシステム

1955年の初代登場以来15代67年、国産高級セダンの代表として君臨してきたトヨタ クラウンは、その歴史の中で何度もユーザーの若返り策を繰り返してきましたが、逆にいえばそれだけ保守的なユーザーに支えられ、次世代ユーザーも取り込もうとしてきたクルマです。

それが近年はセダン市場の不振もあってついに限界、歴史と伝統をかなぐり捨てて、新しい価値観で世界へ羽ばたけ我らがクラウン…と、2022年7月に発表されたのが16代目クラウン「たち」で、数種類用意されたボディから、まずはセダンとSUVを高い次元で融合したと銘打った「クラウンクロスオーバー」が同9月に発売されました。

2種類のFFベースハイブリッド・パワーユニットを用意した、スポーティなクーペルックで全車4WDのSUV版クラウンという時点で、「どこがクラウンなんだ?」「いや、これからのクラウンを問うべきインパクトとしては最高」など、さまざまな声があります。

当然、トヨタの先進技術がこれでもかとばかり投入されていますが、なぜか「純正カーナビは走行中に操作もTV視聴もできません!」という仕様だけ変わらないのは不思議です。

トヨタの技術力をもってすれば、純正カーナビの走行中操作を運転席からできなくしたり、ドライバーによるTV画面の凝視を検知することなど朝飯前のように感じますが、開発の優先度が低いのか、そこだけは昔ながらの仕様で通っています。

そんな、「自動車メーカーがなぜか手をつけない不便」を解消するのはアフターパーツメーカーの役目で、自動車アフターパーツ総合メーカーのデータシステム(東京都新宿区)も早速「激動の新型クラウン用パーツ」に乗り出し、純正カーナビの操作やTV視聴を可能にする「TV-KIT」シリーズの適合を発表しました。

7月の発表直後に予約したユーザーは既に納車が始まっているとはいえ、クラウンクロスオーバー発売から1ヶ月半ほどでの適合確認に、同車への注目度の高さがうかがえます。

クラウンクロスオーバーに新適合したのは、切替タイプとビルトインタイプ

ビルトインタイプのスイッチ ©データシステム

クラウンクロスオーバーには、最廉価グレードの「X」が標準でディスプレイオーディオレスな以外、「RS”Advanced”」には「ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plus」、それ以外のグレードでは「ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)」(「X」ではメーカーオプション)と、2種類の純正12.3インチティスプレイオーディオが設定されています。

TV-KITシリーズが新たに適合したのはこの純正12.3インチディスプレイオーディオで、後付スイッチ式の「切り替えタイプ」と、スペアスイッチホールに空きがある場合に、純正スイッチ風にON/OFFスイッチを取り付けられる、「ビルトインタイプ」の2種類です。

いずれもスイッチでTV-KITをON/OFF可能で、後述するように機能ON時は自車位置が不正確になるなどナビの地図動作には支障が出るものの、それ以外の操作やTV視聴は可能となります。

セダンとSUVを高い次元で融合させたクラウンクロスオーバーゆえに、地図を常時多用するシティコミューター用途よりナビ機能はそれほど必要とされない、長距離高速巡航というもっとも退屈な場面で、同乗者の快適性や満足感を向上させるのに役立ちそうです。

クラウンクロスオーバーへ新たに適合した、TV-KITシリーズの適合車種や品番、価格

今回発売された、トヨタ クラウンクロスオーバー用TV-KITに適合する型式や、TV-KITの品番、価格は以下の通りです。

適合車種

トヨタ クラウン クロスオーバー:R4.9~

型式

AZSH35/TZSH35(全グレード)
※純正12.3インチディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)plus、または純正12.3インチディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)装着車

TV-KIT品番

・TTV430(切り替えタイプ)
・TTV430B-D(ビルトインタイプ)

価格

税込21,780円(税別19,800円)

注意事項

  • TV-KITの動作中はナビゲーションの自車位置が不正確になりますが、TV-KITの機能をOFFにすれば自車位置が補正されます。
  • 車両に未使用のスペアスイッチホールがない場合、ビルトインタイプは取り付けできないほか、スペアスイッチホールのサイズを必ずご確認ください。

取り付けについて

データシステムの「TV-KIT」シリーズは、カプラーオンで簡単に取付可能を売りとした製品とはいえ、内装を外してディスプレイを脱着、背面のコネクターを抜き差しして、車両側の配線を傷つけないようディスプレイや内装を違和感なく元に戻すなど、実際の取り付けにはそれなりのスキルが必要です。

クラウンクロスオーバーのように高級モデルの新車へいきなり傷をつけるリスクをおかすよりも、よほどその種の作業に手慣れているユーザー以外、TV-KIT販売店に相談するか、最寄りの整備工場などプロへ依頼するのをオススメします。