マツダの新技術『スカイアクティブX』に注目が集まるなか、マツダが100%電気で走るBEVプロトタイプの試乗会をEV先進国ノルウェーで実施しました。マツダCX-30の外装ににつつまれたその車の中身は、完全新設計の次世代ビークルアーキテクチャー。これまで究極のガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンだけを追求してきたマツダが、ここにきてEVにかける本気を見せたのです!

© Mazda Public Relations 2018

スカイアクティブだけじゃない!マツダ新型BEVプロトタイプの試乗会を敢行

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マツダは、水素ロータリーエンジンやクリーンディーゼル、そしてマツダ3に搭載されるSPCCI(火花点火制御圧縮着火)を世界で初めて実現させたスカイアクティブXなど、これまでに数多くの画期的なエンジンを開発。

そのためマツダは、内燃機関を突き詰めたエコカーを作り出すメーカーと思われがちですが、その裏で時代のトレンドである電池とバッテリーだけで走るEVの開発も進めていました。

そして、その成果が結集したプロトタイプEV『e-TPV』のプレス向け試乗会がノルウェーで実施されたのです。

BEVとは?

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BEVとは『Battery Electric Vehicle』の頭文字をとったもので、日本語では『バッテリー式電動輸送機器』、いわゆるEV(電気自動車)です。

なぜマツダは一般的な電気自動車の呼び名であるEVではなく、BEVと呼ぶのでしょうか。

それは、e-TPVの設計をEVだけでなくフルHEV、PHEVまで視野に入れた基本設計にしているからです。

マツダはTPV(Technology Prove-out Vehicle)を『マルチxEVソリューション』と呼び、e-TPVはelectric(意味:電気の)、すなわちモーターとバッテリーのみで走行するモデルであることを示しています。

2030年までにすべてのモデルを電動化

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マツダが発表した長期ビジョン『サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030』では、企業平均CO2(二酸化炭素)排出量を2010年から比較して2030年で50%、2050年で90%削減することを視野に入れ、2030年にはすべての車両を電動化すると表明しています。

といってもすべてをBEVにするわけでなく、BEVは5%、残りの95%はエンジンとモーター、バッテリーを用いたクルマにする計画です。

それでは、まだまだEV技術では後進メーカーのままだと感じるかもしれませんが、スカイアクティブテクノロジーを年々進化させているマツダは、これからも当分の間はCO2排出を徹底的に低減させた内燃機関を開発していくことに重点をおいています。

昔から電動化・水素エンジン・燃料電池車に取り組んできた

マツダ RX-8 ハイドロジェン RE / © Mazda Motor Corporation.

マツダは、1966年に鉛バッテリーを二次電池としてBEVを開発しており、50年以上前から地球環境保全を目的にCO2削減を目的とした取り組みをしてきたメーカーです。

1991年には水素を燃料とした水素ロータリーエンジン『HR-X』を開発。

さらに、燃料電池車の開発では『デミオFC-FV』(1997年)、『プレマシーTC-EV』(2001年)の公道走行テストを実施。

2006年には、水素とガソリンを切替ながら稼働可能なロータリーエンジンを搭載した『RX-8ハイドロジェンRE』、2009年に『プレマシー・ハイドロジェンREハイブリッド』のリース販売を実現させ、CO2削減のためのクルマ作りを進めてきました。

このようにマツダが内燃機関の理想を追求してきたことに対し、”電動化の否定”や”時代遅れ”と揶揄されることもありますが、ガソリンを使わないクルマの開発は絶えず行っていたのです。

外装はCX-30、中身は完全新開発の次世代ビークルアーキテクチャー

ホーコン ノルウェー王国 皇太子 / © Mazda Motor Corporation.

e-TPVの試乗会が行われたノルウェーは、欧州の中でも国民の環境意識が高く、新車販売の30%がEV、国全体でのEVシェアはなんと50%にも昇ります。

ノルウェーでは、電気自動車の購入者向けに大規模な補助金や特典制度を設け、2025年までに国内で販売されるすべてのクルマをゼロエミッション車にする目標をかかげています。

そのため、首都オスロ市内の公共駐車場に設けられた充電ステーションは全て無料で使用でき、ノルウェー国内でEVやPHEVを乗ることは他の国よりも非常に経済的。

マツダは過去にRX-8ハイドロジェンREをノルウェー国家にリース販売していたこともあり、e-TPVの試乗会にもノルウェーを選びました。

e-TPVの外装は海外で先行販売するCX-30ですが、あくまでプロトタイプカーのため外装はダミーであり、中身はすべて完全新設計の『次世代ビークルアーキテクチャー』です。

マツダは、e-TPVの正式発表をする場所を今年10月に行われる東京モーターショーを予定しており、そのときのe-PTVはオリジナルデザインになるとみられていますます。

そんなe-TPVは、電圧355V・容量35.5kWhのリチウムイオンバッテリーとフロントにモーターを搭載したFF車両であり、最高出力143PS、最大トルク265N・mを発揮。

シャシーのフロア一面にバッテリーユニットが敷き詰められ、モーターはエンジンルームの左寄りに収まります。

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そのためエンジンルーム右側はがら空きで、HVまたはPHEVにするためのエンジン格納場所となっています。

e-TPVはロータリー復活の予兆!?

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ここで気になるのは、HVやPHEVにするためのエンジンがエンジンルーム半分のスペースに収まるかという疑問。

そこで予想されるのは、コンパクトなロータリーエンジンを搭載することです。

マツダは2018年10月2日に実施した『電動化とコネクティビティの技術戦略発表会』で、ロータリーを搭載したレンジエクステンダーの開発について解説。

レンジエクステンダーとはモーターとバッテリーを主体としたパワーユニットを搭載しつつ、エンジンをバッテリーに給電するための発電機として利用する方式のPHEVの一種で、日産のe-POWERがレンジエクステンダーの代表的な技術です。

マツダはシングルタービンの小型ロータリーを発電機としたレンジエクステンダーの開発を進めており、提携先のトヨタにも同じ技術を供給する予定なのです。

そうなるとe-TPVの誕生は、ロータリー復活の予兆なのかもしれません。

まとめ

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試乗会では、e-TPVのエンジンルーム等を直接的に公開されることはなく、いくつかの画像や諸元が公開され、まだまだ謎に包まれているブラックボックスです。

しかし、2020年には小型SUVでマツダ初のEVを販売するとも噂されており、e-TPVがその序章であることは明らか。

どのようなオリジナルデザインになるか、そしてロータリー搭載のレンジエクステンダーが実現するのか、e-TPVが気になって仕方ありません。

全ては2019年10月の東京モーターショーにて明かされるはずだと目されています。

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