ツインリンクもてぎで10月14~16日に行われた2016MotoGP日本グランプリ。マルク・マルケスが3度目のワールドチャンピオンを決めるレースとなり、チェッカー後のサーキットも大いに盛り上がった。しかし、この日一番の歓声が沸き起こったのは、実はMoto2クラスだったと筆者は感じる。その立役者は同クラスにフル参戦する中上貴晶だった。母国GP挑戦6回目。手に汗握った“あの瞬間”を振り返る。

©MOBILITYLAND

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見事キャリア初勝利を獲得!好成績が続いた2016シーズン

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今シーズンでMoto2フル参戦5年目となる中上。序盤戦はトップ10が叶わず苦しい展開が多かったが、第6戦イタリアGPで予選2番手に入ると、一気に流れが変わっていく。同レースの決勝は9位だったが、翌戦バルセロナGPで3位に入り今季初表彰台を獲得。

そして第8戦オランダGPではレース中盤にトップに立つと現在ランキング首位を快走するヨハン・ザルコに攻め入る隙を与えない走りを披露。終盤に雨が降ってきたため、残り2周で赤旗終了。見事キャリア初優勝を手にした。

後半戦も安定した速さをみせ、イギリスGP、サンマリノGPと連続表彰台を獲得。母国日本でのレースでも活躍が期待され、ファンも心待ちにしたレースウィークがいよいよ始まっていった。

 

フリー走行1回目でトップタイム!調子がいいかと思われたが…

Photo by Tomohiro Yoshita

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迎えたツインリンクもてぎでの週末。金曜日のフリー走行1回目から中上は絶好調。1分51秒816をマークしトップタイム。平日にもかかわらず来場したファンも多く、いきなりの好走に期待を膨らませる人も多かった。そのまま午後のフリー走行2回目でも、トップから0.275秒差の2番手。彼自身も少なからず手応えはつかんでいた様子で、「予選では最低でもフロントロー(3番手以内)にいきたい」と意気込んでいた。

翌日の15日(土)。MotoGPクラスの予選が終わっても、多くのファンがスタンドに残りMoto2の予選を観戦。もちろん、彼らが期待しているのは“中上のポールポジション”だった。

Photo by Tomohio Yoshita

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1周目からマシンを滑らせながらターンインしていくなど、アグレッシブなライディングを披露。終盤に1分50秒522を記録するが、トップから0.5秒遅れの7番手。今季トータルでの流れをみるとまずまずの結果ではあったが、目標としていたフロントローから大きく離れた3列目グリッド。予選を終えた中上は悔しさを見せていた。

そして、いよいよ決勝レース。表彰台をかけて中上が意地の走りを見せる!