65年以上もの歴史を誇るF1世界選手権。今でも世界最先端のテクノロジーが注ぎ込まれたマシンで争われていますが、それこそ1990年代以前の大パワーで、なんのアシストシステムも付いていなかったマシンが好みというファンも多いはず。しかし同じモデルは世界で数台しかない貴重なものでもあるので、これだけ長い年月が経つと展示用として残っているものがほとんど…なんですが!今でもメーカーや個人オーナーが所有している「走行可能な往年の名車」たちがあるのをご存知でしょうか?今回は、そのうちの特に珍しいマシンを紹介します。

©︎鈴鹿サーキット

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F1マシンを動かせる状態で保存するのは超至難の技?

Photo by Tomohiro Yoshita

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前述でも触れたとおり、F1マシンというのは年々新しいモデルが登場し、型落ちモデルがレースに出ることはありません。

基本的に展示用やイベントでのデモラン用に回されるか、個人オーナーが購入するというケースも多いようです。

とは言っても、年に数台しか製作されないため、パーツも限られていますので、年月が経てば経つほど修復が難しくなるもの。

もちろん、F1マシンのパーツというのは速さを求めている分、何十年も持つほどの耐久性はありませんからね。

さらに定期的にメンテナンスし、エンジン始動や実際に走らせるなどさせないと、いけないなど維持費だけでも相当なものになってしまいます。

(ちなみに、過去10年以内に製作されたF1マシンは、電子制御など逆に複雑なものになっているため、エンジンをかけるだけで50万円ほどのコストがかかるとか、かからないとか…)

Photo by Tomohiro Yoshita

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基本的にF1チーム(特にマクラーレンやウィリアムズ)は、だいたいのマシンが走行可能な状態で保存され、毎年開催されるグッドウッドのイベントなどに登場したりもします。

それでも、日本に現存している走行可能なF1マシンは多く、代表的な例ではホンダ・コレクション・ホールにあるマシン。

マクラーレン・ホンダをはじめ数台が走行可能な状態で残されており、年に何度か行われる「動態確認テスト」も一般公開されています。

あとランボルギーニのエンジンを積んだマシン(よくデモランに登場するローラLC90など)はスーパーGTに参戦しているJLOCが管理しているものもあります。

あとは、個人オーナー所有のものがほとんど。それでも、意外とあるんです!

 

フェラーリ F2003-GA

©︎鈴鹿サーキット

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2003年にミハエル・シューマッハが歴代最多記録を更新する6度目のチャンピオンを獲得したマシン。

この頃のフェラーリマシンは、その年の西暦をそのままマシン名に使うことが多かったですが、シーズン前にFIAT会長だったジャンニ・アニエリ氏が死去。その哀悼の意を表し、彼のイニシャルであるGAが後につけられました。

甲高い3リッターV10サウンドを今でも響かせ、現役ドライバーが乗ると実際のレースと同じぐらい攻められるほどの状態の良さです。

F1日本GPやフェラーリ・レーシング・デイズでも登場しているマシン。でも「懐かしい!」とつい口にしてしまう魅力も兼ね備えています。

 

フェラーリ F310

©︎鈴鹿サーキット

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今年のF1日本GPで展示されて注目を集めた1996年のマシン。ミハエル・シューマッハがフェラーリに移籍して一番最初のマシンでもあります。

当時のフェラーリは流行だったハイノーズを使用せず、実際にF310もシーズン序盤はウイングとノーズがくっついているローノーズ型を採用していました。

しかし、さらなる成果を求めてハイノーズ化を決断したのです。

また、この頃はマールボロとのパートナーシップも、そこまで大きなものではなかったため、全盛期とは違うフェラーリレッドになっているのも特徴です。

 

フェラーリ 312T

©︎鈴鹿サーキット

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映画「RUSH」でも取り上げられた、F1レジェンドの一人であるニキ・ラウダ。

彼が初めてワールドチャンピオンを獲得したのが312Tです。

ここから、「312Tシリーズ」と呼ばれる、1970年代のフェラーリ最強パッケージが生まれるのですが、その初代となったモデル。

あの銀色の独特なフロントウイングも装着されている1台です。

現役時代から約40年近い年月な流れているのですが、実はまだ走行可能で残っているマシンがあるのです。

 

ここまでフェラーリを3台紹介してきましたが、まだまだレアなマシンがあるんです。

次のページでは、JPSカラーのあのマシンや、日本人が乗ったあのマシンも登場します!