1923年初開催されて以降、F1 モナコGP、INDYCAR Indy500と並び「世界3大レース」の一つとして位置付けされているル・マン24時間レースが6/18に迫ってきています。またデイトナ24時間レース、スパ・フランコルシャンレースとともに「世界3大耐久レース」として数々の名シーンと歴史がある伝統の一戦。今年も日本人や日本製が数多く参戦します!!
今回はそんな2016年ル・マン24時間レースのクラス分けについてご紹介します。
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ル・マン24時間レースってどこを走るの??
1923年よりフランス西部自動車クラブにより始まり、フランスのサルト県ル・マン市郊外に位置する一般公道を繋げたサーキットで行われ、「サルトサーキット(Circuit de la Sarthe)」と呼ばれています。
1周の全長が13.629kmあり、ニュルブルクリンク北コース ノルトシュライフェの20.832kmと並んで長距離コースとして有名です。
世界耐久選手権は過去に名称を変えながらも今に至り、現在はWEC(FIA世界耐久選手権)のシリーズ戦として組み込まれ、シリーズポイントは他に比べ2倍付与されます。
WECシリーズ戦参加チームはもちろんですが、ル・マン24時間レースのみのスポット参戦チームもあります。
2016年のレースは6/18 15:00~(日本時間22:00~)スタートです!!
クラス分け
簡単ではありますが、ル・マン24時間レースでのクラス分けについてご紹介します。
LMP1(LMP:Le Mans Prototype)
F1マシンにカウルを被せたような作りと速さを併せ持つLMP1クラス。
Porsche、Audi、Toyotaの3ワークス、REBELLION Racing(リベリオンレーシング)とBYCOLLES Racing(バイコレスレーシング)の2チームの計9台で争われます。
前者3ワークスはHybrid搭載で後者2チームはHybrid非搭載です。
Hybridと言えばプリウスが安易に想像できますが、世界のトップカテゴリーでもHybridが使用されているってご存知でしたか??
モーターやそれに付随するHybridシステムを要約してMGU(モータージェネレーションユニット)やERS(エネルギーリカバリーシステム:運動エネルギー回生システム)と呼ばれますが、各メーカーはそのERSの出力を選ぶことができ、それに併せてマシンメイキングがされます。
尚、LMP1の性能調整表は以下の通りです。
LMP1 Hybrid
全長×全幅×全高:4650×1900×1050mm以下
エンジン:気筒数、排気量、搭載位置が自由
駆動方式:4輪駆動可
MGU:1台あたり2基まで搭載可
ゼッケンカラー及び順位識別灯:赤(同じく赤地に白字の「HY」表記のステッカーも必要)
LMP1 non Hybrid
全長×全幅×全高:4650×1900×1050mm以下
エンジン:排気量5500cc以下、気筒数自由
駆動方式:4輪駆動禁止
ゼッケンカラー及び順位識別灯:赤
ヘッドライト:白色
順位識別灯って??
補足ですが、順位識別灯はボディ横に設置されていまして、3つあるうちのLEDが幾つ点灯しているかで、クラス順位を把握できるものです。
写真のクルマはアストンマーティンですが、リヤタイヤの前にLEDが1つ点灯しているのが確認できます。
これはそのクラスの1位を示しており、2位なら2つ、3位なら3つ点灯します。
4位以下は点灯しません。
TV観戦される方は是非この順位識別灯をチェックしてみて下さい!!
LMP2
ボディはフォーミュラ同様のオープンボディとLMP1同様のクローズドボディがあります。
量産エンジンを使用しなければならず、ほとんどのチームが日産製VK45DEを使用しています。
LMP1の速さの陰に潜みやすいLMP2クラスですが、見所はズバリ同じエンジンを積むことによりスピード差が無くなるので耐久でありながら接近戦が続くところにあります。
G-DRIVEやALPINE(アルピーヌ)などWECのシリーズポイントが懸かるチーム同士では熾烈な争いが見られます。
FIA-F4の根本悠生選手でお馴染み、KCMGもル・マンにスポット参戦しますので、是非注目してみて下さい‼︎
寸法:全長4650mm以下、全幅1900mm以下
エンジン:量産ベース、ディーゼル禁止。NAは5000cc、過給機付きは3200cc以下。
駆動方式:4輪駆動禁止
ゼッケンカラー及び順位識別灯:青
ヘッドライト:白色
LM-GTE(Le Mans-GT Endurance)PRO
外見はGT3車両とあまり変わりませんが、BoP(バランスオブパフォーマンス)の設定が通常のFIA-GT3とは違い、とある一人のドライバーが参加全車種に搭乗し決定します。
今年の新型マシンとしてFerrari 488GTEやFORD GTが参戦します。
特にLMPマシンさながらの外観を持つFORD GTは必見です。
車両重量:1245kg以下
排気量:ガソリンNA 5500cc以下、ガソリン過給機4000cc以下(但し、バイパーGTSーRのような8000ccでも特別認可有り)
駆動方式:4輪駆動禁止
ギヤボックス:フルAT・セミATの使用禁止
ブレーキ:カーボンディスクブレーキの使用禁止
サスペンション:アクティブサスペンションの使用禁止
燃料タンク容量:90リットル以下
ゼッケンカラー及び順位識別灯:緑
ヘッドライトカラー:黄色
LM-GTE AM(アマ)
基本的な車両レギュレーションはPROクラスと同じですが、1年落ちの車両でないと使用できません。
Ferrari 458ItariaやChevrolet CORVETTE C7-ZO6、Aston Martin Vantage V8が走ります。
ゼッケンカラー及び順位識別灯:橙色
GTEのPROクラスとAMクラスの違いはドライバーのランク付けによる違いがありますので、次の項目をご覧下さい。
ドライバーのクラス分け
WECシリーズ参戦ドライバーはFIAによるドライバーカテゴライゼーションが行われており、「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の4段階にランク付けされています。
ドライバーのランクに応じて参戦できるクラスが決まっていたり、チームの事情により参戦できないクラスがあったりします。
・最下級のブロンズドライバーはLMP1クラスに参戦できない。
・LMP2ではドライバー編成の中に必ず1名のブロンズドライバーを入れなければならない。
・LM-GTE AMではドライバー編成にプラチナないしはゴールドのドライバーを1名しか入れられない。
以上のような条件から、LM-GTEではPRO AMクラスに分けられることになります。
FIA Driver Categorisationって??
前述にもありますが、ドライバーカテゴライゼーションについて補足です。
そもそもFIAにカテゴライズされるためには国際B級以上のライセンス取得が前提となっております。
Platinum
・F1のスーパーライセンスを所持している。
・ル・マン24時間レースのプロカテゴリー(LMP1/LM-GTE PRO)で優勝経験がある。
・WECのプロカテゴリー(LMP1LM-GTE PRO)で優勝経験がある。
・ワークスドライバーで自動車メーカーから給料が支払われ、相応の結果を残している。
・国際F3000、CART/チャンプカー、インディカー、GP2、全てのFIA世界選手権、グランダムのドライバーポイントで年間トップ5の成績を残した。
・FIA F3/イギリスF3/ユーロF3(2011年まで)、もしくはメジャーなシングルシーターレースで年間トップ3に入った。
・ポルシェスーパーカップでチャンピオンを獲得した。
・アメリカン ル・マンシリーズのP1/GTのチャンピオンを獲得した。
※上記を満たさなくても、FIAよりプラチナと認定されることがあります。
Gold
・プラチナの条件を満たさないドライバー
・FIAが定める第2カテゴリーのシングルシーターレース(A1GP、GP3、ルノーV6、スーパーリーグ、ユーロカップFR2.0、インディライツ)で年間トップ3に入った。
・国内のシングルシーターレース(F3、FR2.0、アトランティック、ユーロV8シリーズ)で年間トップ3に入った。
・DTM、BTCC、スーパーGT、ポルシェスーパーカップで年間トップ3に入るか、国内ポルシェカレラカップでチャンピオンを獲得した。
・主要なGTレース(FIA GT、ブランパンGT、FIA-GT1、FIA-GT3、ADAC GTマスターズ、イギリスGT)か、スポーツカーレースのGTカテゴリー(ILMC、ALMS、ELMS)で勝利した。
※上記の条件を満たさなくても、FIAよりゴールドと認定されることがあります。
Silver
・30歳以下でプラチナ、ゴールドの条件を満たさないドライバー。
・国内選手権、もしくはインターナショナルシリーズで優勝経験がある。
・プロ以外のドライバーの為のシリーズ(フェラーリチャレンジ、マセラティトロフィー、ランボルギーニスーパートロフェオ、ポルシェGT3カップチャレンジ等)、自動車メーカーが運営するワンメイクシングルシーターレースで優勝した経験がある。
※上記の条件を満たさなくても、FIAよりシルバーと認定されることがあります。
Bronze
・30歳以上の時に初めてライセンスを発給され、シングルシーターレースの経験がないか、少ないドライバー。
・以前にシルバーとカテゴライズされていても、レースでタイトル、ポールポジション、優勝経験が30歳以上で無い。
・30歳以前で国際ライセンスを持っていても、1年以上か、年間5戦以上戦っていない。
以上が、ドライバーカテゴライゼーション4段階の内訳です。
簡単に言うと「これまでの成績が4段階評価される」ということですね。
自分のお目当てのドライバーがどのカテゴリか、チェックしてみると面白いかもしれませんよ?
まとめ
いかがだったでしょうか??
どのレースもクラス分けが分かりにくい部分があるので、参考にして頂ければと思います!!
ル・マン24時間レースも日本人や日本チームの参戦が多いので、別記事で紹介させて頂きます。
世界3大レースを締めくくるル・マン24時間レース、皆さんで楽しみましょう!!
ル・マン24時間レース公式HP ⇒ http://www.lemans.org/en/24-hours-of-le-mans/