2018年3月31日・4月1日の2日間、大阪にある舞洲スポーツアイランドの特設会場で、D1GP Rd.1&2が開催されました。一般的に想像するレースとは、イベントの流れも雰囲気も一味違うD1の世界で、エントラントはいったいどんな動きをし、どんな戦いをみせたのでしょうか?今回は、世界で活躍するドリフター”齋藤 太吾選手”率いるFAT FIVE RACINGに同行させてもらい、ROUND1の様子を密着レポートさせて頂きました。

©ChikaSakikawa

3月30日:搬入・ROUND1 予選

エントラントとしての、大会初日は3月30日。

埼玉県所沢市に拠点を構えるFATFIVE RACINGは、前日の深夜に埼玉県を出発し会場に向かいます。

©ChikaSakikawa

©ChikaSakikawa

そして、ローダー、トレーラー、スタッフ用移動車など、かなりの台数でAM9:00頃に舞洲に到着。

スタッフ、ドライバー含めて全員かなりの睡眠不足と長距離ドライブによる疲労困憊状態でピットの設営を開始します。

©ChikaSakikawa

©ChikaSakikawa

©ChikaSakikawa

また、そんなピット作りと並行して、公式車検やチームミーティング、そして走行組み分けの抽選やドライバーズブリーフィングなども行われるのでチームメンバーは全員大忙し。

ブリーフィングの様子 / ©ChikaSakikawa

走行順は抽選で決定します。/ ©ChikaSakikawa

休む間もなく着々と、開幕戦に参戦する準備が進められていきました。

©ChikaSakikawa

今回同行させて頂いたFATFIVE RACINGからのエントリーは2台。

チームオーナーでドライバーでもある齋藤 太吾選手が駆る『No.87 SUNOCO MONSTER CORVETTE Z06 GT3』と、畑中 真吾選手の『No.45 SUNOCO DUNLOP RYOJI CHASER』です。

畑中選手のチェイサーは、スムーズに公式車検を通過するも、齋藤選手のコルベットは中々車検を通過できず苦戦していました。

©ChikaSakikawa

そして、予選を通過するために何度も試行錯誤を重ね、何とか1回目の練習走行に間に合うという冷や冷やするアクシデントも!

そうして始まった1グループ15分のPractice1。

©ChikaSakikawa

©ChikaSakikawa

レースウィークの第1回目の走行という事で、各ドライバーはマシンチェックなどを行いながらのテスト走行をしていきます。

そしてマシンを調整しながら、少しずつ攻めていく体勢に。

©ChikaSakikawa

そうして練習走行が着々と進んでいく中、スタートして1つ目の大きなカーブを曲がり切れず、壁に激突するマシンが続々と出現。

「これ、練習走行だよね?」と疑いたくなるぐらい複数のマシンが大破していく、波乱の展開となりました。

©ChikaSakikawa

そんな大破したマシンの中には、今回同行させて頂いた齋藤選手のコルベットも!!!

この予想を超えた激しい展開は、開幕戦の1回目の走行という事で、マシン、タイヤ、ブレーキ、ミッションなど、色々とシェイクダウンであるチームも多い為、今までの感覚で攻めるとマシンやパーツが思っていた性能を発揮しなかったという各ドライバー、チームからすると『未知』の部分が多い事が大きな原因だそう。

そして、大破したマシンは各チームスタッフにより必死の復旧が図られます。

©ChikaSakikawa

もちろん齋藤選手のコルベットも、スタッフ総出で復旧を試みますが、マシンがCORVETTE Z06 GT3という特殊なクルマである為、代替パーツが用意できず修復を断念。

埼玉県にある拠点から、昨年まで使用していた1号機を持ってくる事を検討するも、練習走行を走ったマシンでのみ決勝を走れるというレギュレーションによりTカーの使用ができない為、ここでRd.1、2共にリタイヤせざるを得ない残念な結果となりました。

©ChikaSakikawa

また、FATFIVE RACINGからエントリーしているもう1台!

畑中選手のチェイサーも走行中にエンジンが止まってしまうなど、中々思うように練習走行が進まず、その原因を探りながら公式予選に向けてほとんど走れないまま復旧作業が続けられます。

©ChikaSakikawa

しかし、残念ながらエンジントラブルの原因が解明せず時間だけが過ぎていき、刻一刻と予選の予定時刻が近づいていきました。

そんな中、1回目の練習走行時のDOSS(D1 Original Scoring System)トラブルが発覚!

練習走行に参加した全マシンの判定データが全く取れていないという大会運営自体のトラブルにより、それ以降のタイムスケジュールが全て押すという、畑中選手にとっては不幸中の幸いとも言える流れに。

その結果、エンジントラブルの復旧が予選参加可能期限ギリギリのところで間に合い、見事9番手で決勝進出となります。

3月31日:ROUND1 単走/追走 決勝

大会2日目は、前日のタイムスケジュールがかなり押した事により、予選を行いきれなかったグループの公式予選からスタート。

そしてTansoFinal進出メンバーが確定し、全車チェック走行を終えると、遂に決勝が始まります。

TansoFinalの順位確定ルールは、まず1本目の走行で上位8名を決定し、9位以下は2本目の走行で決定!

その上位16名がTsuisoTournamentに進出できるのです。

©ChikaSakikawa

ちなみに畑中選手の単走結果は9位!

前日までのエンジントラブルを撥ね退け、見事1本目の走行結果で追走トーナメントへの進出を決める運と実力の強さを見せる結果となりました。

#45 畑中真吾(JZX100) vs #5 今前田隆敏(S14) / ©ChikaSakikawa

#3 野村謙(ER34) vs #45 畑中真吾(JZX100) / ©ChikaSakikawa

#45 畑中真吾(JZX100) vs #70 横井昌志(S15) / ©ChikaSakikawa

#45 畑中真吾(JZX100) vs #70 横井昌志(S15) / ©ChikaSakikawa

#35 川畑真人(R35) vs #45 畑中真吾(JZX100) / ©ChikaSakikawa

そして追走トーナメントでは、ベスト16、ベスト8、ベスト4、Finalと勝ち抜き、開幕戦WINNERの称号を手に!!

©ChikaSakikawa

そんなドリフトという競技で勝つためには、メカニックの技術とドライバーの運や実力だけでなく、重要になってくるのがスポッターと呼ばれる存在。

スポッターというのは競技の補助役としてドライバーに様々な情報を伝達する役割の人で、今回の大会でも上記Mapに青色で丸を付けた場所にスポッターエリアが設けられ、そこでは各ドライバーのスポッターが無線を通して他ドライバーの競技状況や競技時に注意するポイントなどを伝える光景が見られました。

また、スポッターには担当ドライバーのメンタルコントロールまでこなすという大きな役割もあり、2人の信頼関係も勝つためには必要なポイントとなるそう!

©ChikaSakikawa

©ChikaSakikawa

今回の優勝も、そんなドライバー、メカニック、スタッフ、スポッターの協力によるチーム力の強さで実現したものでした。

FAT FIVE RACINGドライバーはこの2人!

#87 齋藤 太吾 (さいとう だいご)

©ChikaSakikawa

名前:齋藤 太吾 (さいとう だいご)

出身地:埼玉県

マシン:SUNOCO MONSTER CORVETTE Z06 GT3

スペック:X245A / black / 800㎰ /GOOD RIDE

©ChikaSakikawa

ドリフト競技の経歴を簡単に教えてください

2004年にD1ライセンスを取得してD1初出場。

2008年D1シリーズ優勝。

2012年フォーミュラDアメリカシリーズ優勝が主な経歴です。

ドリフトを始めたきっかけは?

きっかけは峠です。

今ドリフトで目指しているところは?

結構いろんな国のドリフト文化を見るのが面白いので、色んな国に行って走りたいです。

現時点でのマシンの仕上がりは?

クルマはいい状態だと思うので、後はセッティングなど細かい調整をしないと・・・。

マシンにコルベットを選んだ理由は?

単純にカッコイイから。

性能というか、素質もいいな~と思ってたので!

自身のドリフトの注目ポイントは?

変わったクルマでやっていると思うので、クルマの違いなどを見せれたらな~と思います。

今年のD1での目標は?

開幕と2戦目を落としちゃったので・・・・まぁ・・・頑張ります。

#45 畑中 真吾 (はたなか しんご)

©ChikaSakikawa

名前:畑中 真吾 (はたなか しんご)

出身地:北海道

マシン:SUNOCO DUNLOP RYOJI CHASER

スペック:JZX100 / black / 1000㎰ /DUNLOP

©ChikaSakikawa

ドリフト競技の経歴を簡単に教えてください

18歳の時から2年間ドリフトをやってたのですが、1回辞めて、8年前にまたD1を見てもう1度やり始めて今に至ります。

ドリフトを始めたきっかけは?

友達がドリフトを始めたから、一緒にやりたいなと思って始めたんですが、どうせやるならD1を目指してやりたいな!と思って始めました。

今ドリフトで目指しているところは?

一番の目標は、海外で走りたいです。フォーミュラD USAとか、ロシアでもすごくドリフトが流行っているので、そういう所を目指して走ってます。

現時点でのマシンの仕上がりは?

マシンは元々速いクルマなんですが、今年からタイヤメーカーが変わって、もっともっと足回りのセットアップとかもしたいんですけど、ダンロップを履いたのがこのレースWEEKの金曜日で、テストとかもしてないので、変にセットアップを変えて迷宮に入ったら困るから、あまり触らずに今回は走った状態です。

まあ、悪くはないですね。

マシンにチェイサーを選んだ理由は?

元々このマークⅡチェイサーみたいな4ドアが好きなのと、これはたまたま、私をチームに入れてくれた(齋藤)太吾さんの一昨年のシリーズチャンピオン時のマシンなんですよ。

で、去年1年間借りて走っていて、今年もまた借りれる事になりました。

自身のドリフトの注目ポイントは?

別に・・・特にないです。

僕は単走がすごく得意なんですけど、カッコイイ単走をやると中々点数が出ないので、DOSSの採点基準に合わせた走りをしているので・・・。

ホントはもっともっと激しい単走がやりたいですね。

今年のD1での目標は?

シリーズチャンピオンです!

今年のD1の畑中選手的注目ポイントは?

太吾さんの2号機が走れれば、一番お客さん達は見たかったと思うんですが、クラッシュしちゃったので・・・。

まあ、ドリフトにクラッシュはつきものなので、次戦以降の太吾さんの復活したマシンに注目してもらうと楽しめると思います!

まとめ

©ChikaSakikawa

もくもくと立ち上がる白煙と、会場に響き渡るスキール音。

そして目の前でリアを滑らせながら猛スピードで走り抜けていくドリフトマシンや、大会を彩るRQのお姉さん達。

全てが派手で煌びやかに見えるD1という大会の裏側で、1台のマシンを最高の状態でパフォーマンスさせる為にはチームメンバーの涙と汗が滲むような努力の数々が隠されています。

今回のD1開幕戦では、そんなエントラントチームの動きに注目してレポートさせて頂きました。

次戦は今週末!4月14・15日のオートポリス戦!!

オートポリスは今年から追加された会場なので、今までに見た事もないD1が見れるかもしれません。

是非、実際に会場に行って、生のD1を楽しんでみてはいかがでしょうか?

次のページでは、D1開幕戦様子を写真でご紹介します。