2018年7月1日に、千葉県 茂原ツインサーキットで開催された全日本カート選手権に、Motorz編集部が取材へ行ってきました。ちょうど1ヶ月前に埼玉県の本庄サーキットで行われた同選手権に続いて2回目となった今回の取材では、数あるクラスの中でも9歳から13歳までのドライバーのみに参戦資格が与えられるジュニアカート選手権『FPジュニアカデットクラス』に注目してインタビュー。前回の取材では見えてこなかった、レーシングカートの奥深さをお届けします。
若武者たちがアツく火花を散らせ合う
前回の本庄サーキットでの取材でレーシングカートにすっかり魅了されてしまったMotorz編集部は、先月に引き続き今月も千葉県にある茂原ツインサーキットで行われた、全日本カート選手権へ取材に行く事に。
FIAで定められた国際規格でカート乗り日本一を争う『OKクラス』では、他カテゴリーで活躍する国内トップドライバーも参戦することから、本庄サーキットでは、そのバトルのレベルの高さやマシンの速度域は衝撃を受けてしまった訳です。
全日本カート選手権ではその他に『FS-125クラス』、地方カート選手権の『FP-3クラス』や、12歳から15歳のドライバーで争われるジュニアカート選手権『FPジュニアクラス』、そして9歳から13歳までが参加可能なエントリークラスの『FPジュニアカデットクラス』などがあり、これら合計5クラスのレースが1日で行われます。
ちなみに今回の会場となった茂原ツインサーキットでは、普段は西コースがカートコースとして使われていますが、今回は東コースが戦いの舞台となりました。
このようなクラス分けがあるものの、基本的にはトップドライバーからまだ年端のいかない”若武者”たちまで、同じコースで速さを競います。
そんな若武者たちは何の為に走り、何を考えているのでしょうか。
前回、本庄サーキットの帰りに感じたその疑問を晴らすべく、我々は再び全日本カート選手権へと赴きました。
“若武者”たちは何を考えているのだろうか?
15人の若武者たちが火花を散らす『FPジュニアカデットクラス』で、Motorz編集部が注目した3人の選手に質問してみる事に。
原田 暖人(はると)選手
XENON・RT&BAMZOから参戦していた原田選手は、現在11歳の小学6年生。
6歳の頃にお兄さんの影響でカートに乗り始め、既に5年のキャリアを持つという彼に3つの質問をブツけてみました。
Q1.走ることの何が楽しいですか?
路面の変化を感じられる所が好きです。
あとはライバルとバトルできることも楽しい。
カートを通じて友達というか、ライバルがたくさん増えたのも楽しいです。
Q2.走ることは怖くないですか?
前に友達が走行中に横転しちゃって、自分も乗るのが怖くなっちゃったことがあります。
それでも乗ることがやっぱり好きだし、走りたい気持ちが怖い気持ちよりも勝って、乗ったらやっぱり楽しかったです。
Q3.将来の夢はありますか?
お父さんがメカニックをやってくれているんですが、お父さんは普段、道路工事の仕事をしていて、お父さんのお手伝いがしたいです。
お父さんの仕事は道路の下の水や電線とかが見えるのが面白いです。
「”道路が大好き”で将来はお父さんと同じ仕事がしたい。」と語ってくれた心優しい原田選手ですが、レース中はアツい走りとバトルを魅せてくれました。
鈴木 悠太選手
B-MAX Racing Jrから参戦中の鈴木選手は、現在9歳。
今シーズンからジュニアカート選手権デビューのルーキーです。
Q1.レーシングカートを始めたキッカケを教えてください
元々、お父さんがハコ車でレースとかに出ていた影響でボクもクルマが好きだったので、「カートに乗ってみない?」ってお父さんに誘われたのがキッカケです。
Q2.走ることの何が楽しいですか?
やっぱりライバルとバトルしている時が1番楽しいです。
あとはライン取りを考えたりするのも楽しいです。
今日の茂原ツインサーキットはメインストレートが登っているので、立ち上がり重視の走り方を意識したのですが、自己評価は60点くらいの走りでした……。
Q3.走ることは怖くないですか?
怖くないです。全然楽しいです!
また、最後に鈴木選手のお父さんにも質問してみました。
Q.お子さんがモータースポーツを続けることについて、どうお考えですか?
もちろん危険は承知の上でやらせています。
ただ、それは野球やサッカーのような他のスポーツでも同じだと思うし、むしろ今のうちから運転技術が身につけば将来の安全に繋がるかもしれませんよね。
自分の影響もあって元々クルマ好きだったので、カートを続けているのも自然な流れだったのかな、と思っています。
佐藤 統(おさむ)選手
FLAX motorsportsから参戦する佐藤選手は、この茂原が地元だという現在11歳の小学5年生。
今回のレースは絶対に負けられない戦いだったと語ります。
Q1.レーシングカートを始めたキッカケを教えてください
マンガやアニメにもなっている『capeta(カペタ)』を見て興味を持って、そしたらお父さんが千葉市にあるインドアカート場の『ハーバーサーキット』へ連れて行ってくれて、乗ってみたらやっぱり楽しかったので、始めました。
Q2.走っていて楽しいこと/怖いことは何ですか?
やっぱり速くて、風が気持ちいいのが楽しいです。
普段、この茂原がホームコースなので今日は「負けられないぞ。」というプレッシャーみたいな怖さもありました。
レース中はバトルのスリルみたいな怖さもあるけど、それは楽しい方が勝っちゃいますね。
Q3.将来の夢はありますか?
やっぱりレーサーになりたいです。
具体的にF1とか目標はないけど、これからもモータースポーツを続けていきたいです。
見事、プレッシャーをはね退けて、優勝した佐藤選手。
ポールポジションからのスタートでしたが、レース序盤は2位3位4位……と数珠つなぎでライバルに追われる苦しい展開となりました。
しかし、ライバルの猛追に耐えてコンスタントにラップを刻み、レース後半は独走状態に。
ホームコースでの意地を見せ、今季初優勝となりました。
“茂原”で見えてきたこと
全国各地の”ミニサーキット”と呼ばれるサーキットで行われている全日本カート選手権ですが、そのサーキット毎に様々な工夫がされていて、それも特色のひとつとなっています。
今回の茂原では、上位入賞者を対象にレース直後にパレードランを開催。
パレードと言いつつもミニサーキットなので1周はさほど長くはありませんが、それでもどの選手もとても晴れやかな表情を見せていたのが印象的でした。
また、お昼の休憩時間にもドローンレースやラジコン飛行機の曲芸などのコンテンツが用意されていて、カデットクラスの選手たちは興味津々。
大会の運営は各サーキットに委ねられており、それぞれのサーキットで観客のみならず出場する選手までも飽きさせない努力をしている点が非常に好印象でした。
まとめ
前回の本庄サーキットでの取材を踏まえ、今回はFPジュニアカデットクラスにフォーカスして敢行した取材でしたが、前回とはまた違った景色が見えてきました。
まだまだ幼いとはいえカデットクラスの選手たちがレース中は生身むき出しの状態で時速80km/hでカッとんで行く姿は、他のクラスにも負けずとも劣らぬ迫力で、思わず息を呑んでしまうほど。
むしろ、若さ故の闘争心むき出しのバトルは、上位クラスよりも見応えがあるように感じます。
そんな大人顔負けのドライビングで素晴らしいレースを魅せてくれたFPジュニアカデットクラスの選手たちにすっかり感銘を受けてしまったわけなのですが、最後に心を”グッと”掴まれた決定打になったこぼれ話をひとつ。
最後の表彰台での出来事。
そこには司会の女性にレース後のインタビューを受け、シャンパンの開け方を説明されながら不慣れなシャンパンを開け、おっかなビックリしながらもシャンパンファイトで喜びを噛みしめる姿が。
その光景には、「また応援に来たいな。」と思わせる不思議な魅力がありました。
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