おもに北米市場でスタリオンやクライスラーのスポーツクーペを代替すべく三菱が開発した2ドアFFクーペ『エクリプス』。現在もクロスオーバーSUVにその名を残すエクリプスは北米市場も襲った2ドアクーペ不振に巻き込まれ、ついに2005年から2012年まで販売されていた4代目が最終型となりました。なお、歴代モデルは限定的ながら日本でも販売されていましたが、4代目のみは日本未発売モデルとなっています。
三菱最後のスポーツクーペ、4代目エクリプス
有機的デザインが日本でもカッコイイと評判になり、オープンモデルのスパイダーのみながら国内販売された3代目スパイダーのモデル末期、2004年のデトロイトショーで4代目エクリプスの原型にあたるコンセプトカー『コンセプト-E』が発表されました。
横開きのボンネットやトランクリッド、後輪をEブーストモーターで駆動するハイブリッドスポーツという点は後の市販型とだいぶ異なりましたが、歴代最強の3.8リッターV6エンジンで前輪を駆動する、滑らかな曲線に包まれたFFクーペという点は同じです。
2005年にモデルチェンジを迎えた4代目エクリプスは263馬力の3.8リッターV6エンジン(6G75)と162馬力の2.4リッター直4エンジン(4G69)の2種類を搭載。
2年遅れで伝統の2ドアオープンモデル『エクリプススパイダー』もラインナップされました。
厳選されたグレードのみながら日本でも販売された歴代エクリプスとは異なり、4代目は日本未発売。
クーペカブリオレ版コルトCZCが2006年に登場したものの短命に終わったのとは対照的に、クーペ不振の北米市場で2012年まで販売されました。
初期のブーレイ顔が特徴的
日本でも三菱車に広く採用され、『ブーレイ顔』などの異名をとるオリビエ・ブーレイのデザインを4代目エクリプスも採用。
フロントグリル中央に三菱マークつきの富士山型アクセントが特徴でした。
日本ではデザインそのものは好みによるとして、スポーツモデルでは冷却性能へ与える影響を懸念する意見もあり、ランサーエボリューションシリーズでは2003年のエボVIIIや2004年のエボVIIIMRで採用されたものの、2005年のエボIXでは廃止されています。
また、その頃登場した4代目エクリプスでも『ブーレイ顔』は採用されましたが、スポーツモデルとはいえ自然吸気エンジンではランサーエボリューションほどの問題は生じなかったのか、気になるところです。
もっとも4代目エクリプスも2009年モデルからはブーレイ顔が廃止され、スッキリとしたフロントマスクへと変更されています。
そして最終モデルでも価格の安い手軽な2ドアスポーツクーペとしてサイオンtcなどより優れたデザインと評価されていましたが、2012年モデルで販売を終了。
三菱最後の2ドアスポーツクーペは、歴史からフェードアウトしていきました。
USタイムアタックなどで好成績を上げた4代目
歴代モデルと同様に、北米のさまざまなレースや競技会で活躍した4代目エクリプス。
レーシングモディファイされた姿はなかなか勇ましく、実際FF部門ではかなりの好成績を収めたとされています。
ただし生産を終了してからまだ数年しか経過しておらず、過激なチューニングを受けて注目を浴びるエクリプスはまだ2代目や3代目がほとんど。
4代目エクリプスが安価なチューニングベース車として注目を浴びるのは、これからかもしれません。
主なスペックと中古車相場
三菱 エクリプス(4代目) Auto GT 2012年式
全長×全幅×全高(mm):4,583×1,834×1,351
ホイールベース(mm):2,576
車両重量(kg):1,637
エンジン仕様・型式:6G75 水冷V型6気筒SOHC24バルブ
総排気量(cc):3,828
最高出力:195kw(265ps)/5,750rpm
最大トルク:355N・m(36.2kgm)/4,500rpm
トランスミッション:5AT
駆動方式:FF
中古車相場:皆無
まとめ
2000年代以降の三菱は、相次ぐ不祥事、ダイムラー・クライスラーとの提携とわずか数年での解消、かつて技術提携を結んでいたヒュンダイに海外市場で逆転され…と七転び八起きどころか七転八倒。
北米の生産工場も閉鎖するなど大幅に事業を縮小し、ルノー・日産の連合入りして現在も命脈を保っている状況ですが、そんな中で4代目エクリプスは、三菱が独自開発・販売してきたスポーツクーペの最後にふさわしい存在感を示したモデルでした。
残念ながら日本での販売は実現しませんでしたが、まだ比較的新しい車なので、今後海外メディアなどで活躍を目にする機会が出てくるかもしれません。
ランサーエボリューションのようなラリー用4WDターボとともに、三菱のスポーツイメージを牽引したエクリプス。
おそらく2ドアクーペとしては三菱最後のモデルになるかと思いますが、その名は現在販売中のクロスオーバーSUV『エクリプスクロス』へ残されています。
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