2016年5月28・29日にMFJ全日本ロードレース選手権Rd.3がツインリンクもてぎで開催されました。開催クラスはJSB1000・J-GP2・J-GP3・ST600。今年初の全クラス同時開催!今回はレーシングチームのレースウィークの様子についてもお伝えします。
レースWEEK
みなさんは、レースWEEKという言葉を知っていますか?基本的な公式のレースは、2輪、4輪関係なくほとんどがそうだと思いますが、全日本ロードレース選手権も、一般的に土曜日公式予選、日曜日決勝という流れで行われます。しかし、その前日の金曜日に練習走行や公式車検が有り、レースに参戦しているチームは、マシンやピット設備の搬入も含め、木曜日からサーキットに入ります。
そして、木曜日の搬入に間に合うようにマシンを作りや荷造りをするので、チームにとってはほぼ一週間がレース日程となるのです。
もっと厳密に言うと、そのレースの2週間前ぐらいに事前テストが開催されるので、こういった公式のレースに参戦するには、1回のレースにつき、1週間半ぐらいのスケジュールで行動する事になります。
レースWEEKの流れを見てみよう
ここで、レースWEEKの流れを、私がチーム運営をお手伝いさせてもらっている、RS-ITOHにご協力頂いて、紹介していきたいと思います。
まずは、搬入&ピット設営
何も無いピットに、マシンや工具を使いやすい位置に設営していきます。
レースWEEK中の走行は、添付したタイムスケジュールで動くので、各クラスやライダー・チームの条件・天候など、色々な要因により走行時間が限られているので、マシンと工具の配置はかなり重要。特に、何台もエントリーしているチームは、メカニックも複数必要なので、どこに何があるかどのマシン・ライダー用の物なのかがすぐに分かるようにしておく事が大切です。
ちなみに、RS-ITOHでは、WillRaise Racing RS-ITOH:J-GP2 2台と、RS-ITOH:J-GP2 1台・ST600 4台の、合計7台エントリーしているので、ピットはギュウギュウ。なので、設営も大変です。
A.R.T合同走行(練習走行)
レースWEEKの金曜日はA.R.T合同走行(練習走行)。ほとんどのチームはこの日に、仕上げてきたマシンの細かいセッティングをします。
レースというのは、天候によって色々な要因が大きく左右されますが、それは練習走行の天気も同じ。雨の場合、タイヤをレイン用に変更しなくてはなりません。転倒のリスクも増加します。それでも走行する意味があるか。そして、予選や決勝の日の天気はどうなのか。などを考慮して、走行するかどうかをライダーごとに決断します。
今回のもてぎの練習走行はレイン(雨)。そして、予選、決勝の天気予報はドライ(晴れ)でした。RS-ITOHのライダー達は全員走行する事を選択。走行する事が決まると、タイヤをレイン用に履き替え、革ツナギの上からレーシングスーツ用の合羽を着用してコースに出ていきます。そして、ライダーがマシンに不具合を感じると、ピットインしてその不具合をメカニックに伝え、細かい部分のセッティングを変更し、決勝に向けてのマシンを作り上げていくのです。
公式予選
公式予選は各クラス決められた時間の中でタイムアタックし、ライダーのベストタイムを競います。今回のもてぎでは予選は35分間。クラスやチームの状況、予算などにより使用できるタイヤの数なども限られているので、どのタイヤで何Lapするのかなど、色々考慮した上で作戦を立て、タイムアタックをしていきます。そして、この予選結果で翌日の決勝レースのスターティンググリッドの順番が決まります。
ちなみに、RS-ITOHからエントリーしているライダー達の予選結果は、J-GP2 #11井筒仁康7位・#17石塚健11位・#39柴田陸樹15位
ST600 #20清末尚樹2位 #85松﨑克哉7位 #52岡村光矩8位 #76和田留佳15位でした。
JSB1000公式予選
今回のもてぎラウンドでは、SB1000クラスの公式予選のみ、初のTOP6サバイバル方式が採用されました。
Q1は全車が出走し、ここでの上位3名は、無条件でQ3へ進出できます。そしてQ1での上位4〜10名がQ2に進みます。Q2では1周毎に1名がノックアウトされ、最後まで残った3名がQ3へ進出できます。そしてQ1での上位3名とQ2で残った3名の合計6名でQ2と同じくノックアウト方式の予選で、ポールポジションから6番までの決勝グリッドが決定されました。
決勝レース
決勝レースはJ-GP3 20Lap、J-GP3 22Lap、JSB1000 23Lap 、ST600 18Lapで行われました。
ダイジェストで振り返る決勝レース
JSB1000
決勝当日は気温:28.1度/湿度29%で路面温度50度と、前日の予選日の気温:22.8度/湿度58%とは打って変って灼熱の1日。
JSB1000クラスがスタートし、ホールショットを取ったのは予選でポールを獲得した#1中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)。
レース序盤から絶好調の中須賀は、#87柳川明(TEAM GREEN)、#49渡辺一馬(F.C.C. TSR Honda)、#12津田、#26渡辺一樹(TEAM GREEN)、#7野左根航汰(YAMALUBE RACING TEAM)の4台が接戦を繰り広げる2番手集団に、約20秒の差をつけての独走状態でのポール・トゥ・ウィン!
9戦連続ポール・トゥ・ウィン記録を更新しました。
J-GP2
J-GP2決勝は路面温度の上昇による転倒続出という波乱の展開となった。
合計10台が転倒やマシントラブルによりリタイヤしていく中、前日の予選で4番手だった#94浦本修充(Team KAGAYAMA)が安定した走りでレースを制しました。
ST600
前日の予選で3番手タイムだった#2デチャ・クライサー(Yamaha Thailand Racing Team)が赤旗中の注意義務違反で失格となり3番手以下の順位が繰り上げられてのスタートとなったST600決勝。
ホールショットはポールポジションスタートの#65チャランポン・ポラマイ(Yamaha Thailand Racing Team)。
3番手スタートの#8岩戸 亮介(Team 高武 RSC)とテールtoノーズの接戦を抑え切り、ポール・トゥ・ウィン!3年振りの優勝を果たしたのでした。
J-GP3
ポールポジションからスタートした#36徳留真紀(CLUB PLUSONE)。
2番手以下を大きく引き離し、2位に17秒以上の大差をつけゴール!ポール・トゥ・ウィン!
そして、4年ぶりの優勝を飾りました。
まとめ
レースの2日間を迎えるために、試行錯誤し、何度も何度もマシンを分解して組み直し、限られた時間や条件の中でテストしマシンを作り上げていくレーシングチーム。
経験の差や実力不足で行き詰ると、仲間でもありライバルでもあるチームメイトで意見をぶつけ合い、新しいセットアップやライディングスタイルを模索する。その姿を見ていると、応援せずにはいられません。
今回のRS-ITOHの決勝結果は
J-GP2は3台とも転倒リタイア。
ST600、#20清末尚樹4位・#85松崎克哉6位・#52岡村光矩14位・#76和田留佳28位でした。
次戦は6月25日・26日のスポーツランドSUGO!全クラス開催で、JSB1000は120マイル耐久です!少しでも全日本ロードレースに興味を持ってもらえたら、是非!会場で生のロードレースを見にきてくださいね。絶対!楽しんで頂けると思います。
全日本ロードレース選手権 Rd.5 HP → http://www.superbike.jp/round/rd5.html
RS-ITOH HP → http://www.rs-itoh.com/