ホンダPCXとPCX150がフルモデルチェンジし、さらに9月には業界初となるハイブリッドモデルの登場が予定されています。新型フレームの採用やパワーと低燃費を両立させたeSPエンジンの搭載など、中身は従来より大幅に進化。さらにガソリンエンジン車よりもパワフルで低燃費のハイブリッドモデルは、二輪車業界において大きな注目を集めています。そんな、今回で三代目モデルになるPCXはどれほど良くなったのか、ライバル車との比較も含めて解説します。
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三代目モデルとなったホンダ PCX&PCX155が誕生
燃費の良さや税金などの維持費の安さから、通勤・通学・買い物で人気のモビリティである原付二種スクーターは、小型バイクの人気高騰とともに各バイクメーカーが開発に力を入れ、125ccクラスのスクーターでも高性能なエンジンや快適性、装備の充実が図られています。
そんな中、ホンダはスクーター『PCX』と『PCX150』をフルモデルチェンジし、2018年4月6日にPCX、4月20日にPCX150を発売しました。
今回のフルモデルチェンジで3代目モデルとなったこの2台は、スタイリングが変更されて新型フレームとエンジンを搭載。
キーを取り出すことなくエンジン始動ができる『Honda SMART Keyシステム』が採用されました。
そしてホンダはライバル車がどんどん進化していくなかで、今回のPCX/PCX150のフルモデルチェンジを行い、発売からわずか3週間の間に年間目標台数8,000台の9割以上となる7,200台の受注を達成。
今年の125ccクラス、126~250ccクラスのスクーター部門での大ヒットモデルを生み出したのです。
ホンダ PCX/PCX150の特徴
ヘッドライトには、フロントフェイスを覆うような大型のコンビネーションライトを装着し、ロービーム、ハイビーム、ウインカーすべてがLED化されました。
そしてロービーム点灯部には、ライト部を囲むように配置されたポジショニングランプが取り付けられ、日中の走行でもシャープで重厚感のあるボディを演出しています。
テールランプには『X』字型に光るデザインを採用し、フルLED化。
テールランプ、ブレーキランプ、方向指示器が全て収まったコンビネーションランプになっているため、デザイン性に優れていて後ろから見てもシャープな印象を感じさせます。
フルデジタルメーターやHonda SMART Key システムなど機能性は十分
メーターは、フルデジタル化され近未来的なデザインとなりました。
そして時計、平均燃費値、燃費計等を表示する機能的なメーターに!
また、新採用となった『Honda SMART Key システム』によってキーを取り出すことなくイグニッションのON/OFFとハンドルロックとハンドルロック解除も可能。
スクーターを停めている位置がわかるよう、キーのボタン操作でウインカーを点滅させたり、イモビライザー(電子照合)機能も備わっています。
フロントインナーボックスは500mLペットボトルが収まるように設計され、中にはスマートフォンなどが充電できるアクセサリーソケットを装備。
ラゲッジボックスは容量28Lを確保し、フルフェイスヘルメット一個加え、多少の荷物も収納可能。
ラゲッジスペースにおさまらないヘルメットを固定できるヘルメットホルダーも備わっており、タンデム走行時も問題はありません。
アイドリングストップ搭載により燃料消費、騒音、排出ガスを低減
PCX/PCX150は、先代モデルから継続してアイドリングストップシステムが標準装備されていて、ハンドル右側のスイッチでシステムの稼働を切り替えることが可能。
アイドリングストップ システムは停車時からエンジン停止までのタイミングを短縮し、より燃費の向上と静粛性に寄与しています。
普段から移動で積極的に使いたいスクーターだけに、低燃費に貢献するアイドリングストップ搭載は嬉しい機能です。
ホンダ PCX125とライバル車の比較
ホンダ PCX/ヤマハ NMAX/スズキ・スウィッシュをパワー&燃費で比較
ホンダ PCX | ヤマハ NMAX | スズキ・スウィッシュ | ||
---|---|---|---|---|
エンジン種類 | 水冷4サイクル単気筒OHC | 水冷4サイクル単気筒SOHC4バルブ | 空冷4サイクル単気筒SOHC2バルブ | |
排気量(cc) | 124 | 124 | 124 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 9.0[12]/8,500 | 9.0[12]/7,500 | 6.9[9.4]/7,000 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 12[1.2]/5,000 | 12[1.2]/7,250 | 10[1.0]/6,000 | |
燃費性能 | 国土交通省届出値(km/L):定地燃費値 | 54.6 (60km/h) 2名乗車 | 50.5 (60km/h) 2名乗車 | 51.0 (60km/h) 2名乗車 |
WMTCモード値 | 50.7 (クラス1) 1名乗車 | 43.6 (クラス1) 1名乗車 | 50.1 (クラス1) 1名乗車 |
PCXのエンジンには、ホンダが開発したスクーター用グローバルエンジン『eSP』の一部、仕様を変更したものを搭載。
PCXに合わせて中・高回転域での出力が向上され、低燃費、静粛性が高まりました。
ライバル車と比べれば、スズキ・スウィッシュよりはパワフルでヤマハ NMAXとパワーは同等。
PCXのほうが高回転式のエンジンになっています。
ホンダ PCX/ヤマハ NMAX/スズキ・スウィッシュを価格で比較
ホンダ PCX | ヤマハ NMAX | スズキ・スウィッシュ | |
---|---|---|---|
メーカー希望小売価格[消費税8%含む] | 373,680円 | 351,000円 | 318,600円 |
PCXはフルモデルチェンジで高性能になった分、価格は最も高額です。
それは、Honda SMART Key システムのようなキーを取り出さずにエンジンの始動ができる仕組みはPCXのみなど、このあたりの装備品で金額に差が出ていると思われます。
ホンダ PCX150とライバル車を比較
ホンダ PCX150&PCX150ABS/ヤマハ NMAX155ABSをパワー&燃費で比較
ホンダ PCX150/PCX150ABS | ヤマハ NMAX155ABS | ||
---|---|---|---|
エンジン種類 | 水冷4サイクル単気筒OHC | 水冷4サイクル単気筒SOHC4バルブ | |
排気量(cc) | 149 | 155 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 11[15]/8,500 | 11[15]/7,800 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 14[1.4]/6,500 | 14[1.4]/6,000 | |
燃費性能 | 国土交通省届出値(km/L):定地燃費値 | 52.9 (60km/h) 2名乗車 | 49.9 (60km/h) 2名乗車 |
WMTCモード値 | 46.0 (クラス2-1) 1名乗車 | 41.7 (クラス2、サブクラス2-1) 1名乗車 |
PCX150のライバルといえるモデルは、国産車であればヤマハ NMAX155ABS/マジェスティS/トリシティ155。ここではPCX150とNMAX155を比較してみます。
エンジンパワーは最高出力・最大トルクともに同等。
排気量5ccの違いはパワーにあまり差をもたらしていないようです。
それでも燃費性能ではWMTCモード値で4.3km/hもPCX150が優れているので、経済性を重視するのであれば断然PCX150が選ばれるでしょう。
ホンダ PCX150&PCX150ABS/ヤマハ NMAX155ABSを価格で比較
ホンダ PCX150 | ホンダ PCX150ABS | ヤマハ NMAX155ABS | |
---|---|---|---|
メーカー希望小売価格[消費税8%含む] | 373,680円 | 395,280円 | 378,000円 |
PCX150はABSの搭載で21,600円高くなりますが、NMAXは標準でABSが搭載されています。
また、ABSが装備されていないPCX150とNMAX155ABSにはあまり価格差がないため、この辺りのお買い得感はNMAX155ABSのほうがあるといえるでしょう。
ホンダ PCX HYBRIDが9月14日(金)に発売予定
ホンダは、量産二輪車で世界初となるハイブリッドシステムを採用した原付二種スクーター『PCXハイブリッド(PCX HYBRID)』を9月14日に発売します。
ベースにPCXを用いて、リチウムイオンバッテリーとACGスターター(アシストモーター)を搭載。
発進や加速でのモーターアシストを行います。
また、モーターのアシスト力には、快適な発進と適度なアシストで低燃費に寄与する『Dモード』と、アシスト力を高めたスポーティーな走行を可能とする『Sモード』の2モードを用意。ボタン一つで切り替えが可能です。
デザインは基本的にPCXと同等ですが、ヘッドライトなど灯火器類の発光色がハイブリッド車らしく、リファインしたデザインに!
エンジンパワーはPCXと変わりはありませんが、モーターのパワーによってPCX以上の加速性能と燃費性能を向上。
PCXハイブリッドの登場を皮切りに、今後はライバルメーカーからもハイブリッドスクーターが登場するかもしれません。
ホンダ PCX/PCX155/PCX HYBRIDのスペック
PCX | PCX150 | PCX HYBRID | ||
---|---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 1,925×745×1,105 | 1,925×745×1,105 | 1,925×745×1,105 | |
シート高(mm) | 765 | 765 | 765 | |
軸間(mm) | 1,315 | 1,315 | 1,315 | |
車両重量(kg) | 130 | 131 | 135 | |
燃料消費率(km/L) | 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) | 54.6(60)〈2名乗車時〉 | 52.9(60)〈2名乗車時〉 | 55.0(60)〈2名乗車時〉 |
WMTCモード値(クラス) | 50.7(クラス1)〈1名乗車時〉 | 46.0(クラス 2-1)〈1名乗車時〉 | 51.9(クラス 1)〈1名乗車時〉 | |
エンジン種類 | 水冷4サイクル単気筒OHC | 水冷4サイクル単気筒OHC | 水冷4サイクル単気筒OHC | |
総排気量(cc) | 124 | 149 | 125 | |
内径×行程(mm) | 52.4×57.9 | 57.3×57.9 | 52.4×57.9 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | エンジン | 9.0[12]/8,500 | 11[15]/8,500 | 9.0[12]/8,500 |
モーター | – | – | 1.4[1.9]/3,000 | |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | エンジン | 12[1.2]/5,000 | 14[1.4]/6,500 | 12[1.2]/5,000 |
モーター | – | – | 4.3[0.44]/3,000 | |
始動方式 | セルフ式 | セルフ式 | セルフ式 | |
燃料タンク容量(L) | 8.0 | 8.0 | 8.0 | |
変速機 | 無段変速式(Vマチック) | 無段変速式(Vマチック) | 無段変速式(Vマチック) | |
タイヤサイズ | 前 | 100/80-14M/C 48P | 100/80-14M/C 48P | 100/80-14M/C 48P |
後 | 120/70-14M/C 55P | 120/70-14M/C 55P | 120/70-14M/C 55P |
まとめ
ホンダはPCXハイブリッドの発売以降、さらに電動バイクモデルの『PCXエレクトリック』の発売も予定しています。
リチウムイオンバッテリーと定格0.98kWの強力モーターを搭載し、ホンダの開発陣は相当パワフルな走行性能であると断言。
新しいPCXシリーズの動向に、これからも目が離せれません。
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