BMWが、自社製のプロトタイプエンジンを搭載したカスタムバイク『Departed』と『Revival Birdcage』を発表!謎の新型ボクサー2気筒エンジンを、2組の凄腕カスタムビルダーに託して作り上げられたカスタムバイクは、まさに芸術品でした。そして、BMWが開発した新ボクサーツインエンジンの正体は!?新モデル発売予想も含めてご紹介します。
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発表は新型ツインエンジンのみ!車体製作は凄腕カスタムビルダー
BMWの2輪車部門を担当するBMW Motorradは、2台の異例すぎるカスタムバイクを2018年末から2019年春にかけてデビューさせました。
1台は、2018年12月2月に開催された日本最大のカスタムバイク&カスタムカーイベント『ヨコハマ ホットロッド カスタムショー(HRCS)』にて、日本人カスタムビルダー吉澤雄一氏と植田良和氏によって作り出された『Deperted(デパーテッド)』です。
そしてもう1台は、2019年4月12日にアメリカで開催されたハンドメイドバイクショー『Handbuilt Show(HBS)』内で発表された、Alan Stulberg(アラン・スタルバーグ)氏によって作り出された『Revival Birdcage(リバイバルバードケージ)』でした。
この2台のカスタムバイクには、BMWが現在開発中という水平対向の新型プロトタイプエンジンが搭載されており、BMWは新型エンジンを2組のカスタムビルダーに託してしまったのです!
開発中の新型エンジンのみを全くの他人であるカスタムビルダーに受け渡すなど、異例中の異例の出来事。
しかもそのエンジンをベースとしたカスタムバイクを、純正のラインナップより先に公開してしまったのです。
そのカスタムバイクの出来栄えは、まさに芸術品!ということで、ここからはデパーデットとリバイバルバードケージのディテールに迫っていきます。
CWZ制作のデパーテッド!作ったのは世界が認める滋賀の凄腕ビルダー
日本人のカスタムビルダーも、いまや世界のカスタムシーンを牽引する存在となっており、今回BMWから新型エンジンを託された吉澤雄一氏と植田良和氏もそのうちのひとりです。
両氏によって設立された滋賀県のカスタムファクトリー『Custom Works ZON(カスタム・ワーク・ゾン|以下:CWZ)』は、カスタムバイクシーンでは広く知られた存在です。
BMW関係者によると、新型ボクサーエンジンをカスタムビルダーがどう解釈するか、そしてそれを見た人たちがどう反応をするか知りたかったとのこと。
そして今回のプロジェクトは、BMW本社からの直々の発注で、BMWから納品された新エンジンを搭載したカスタムバイク製作が行われたそうです。
もちろん、発表までは完全シークレットで製作されました。
Forse 1927
Ernst Henne BMW Supercharged
compressore a palette (tipo Cozette). I motori avevano la distribuzione ad aste e bilancieri e l’impegno agonistico non è stato di particolare rilievo essendo limitato principalmente alle competizioni nazionali.. pic.twitter.com/LSWxxzct9W— Armando52 (@armandocecili52) 2019年2月26日
まず、デザインですが、デパーテッドは最高速を競うランドレーサーをモチーフに制作されました。
具体的には1920年代後半と1930年代の故・Ernst Henne(アーンスト・へニー)が最高速記録にチャレンジしたマシンをイメージされたと思われます。
デパーテッドには、エンジンとドライブシャフト、ファイナルケースがBMWから供給されましたが、それ以外のすべてはCWZ製一点もののハンドメイド。
もちろんシリンダーヘッドやエンジンフロントカバーもオリジナルで、印象的な大径ホイールはフロント21インチ、リア26インチの削り出しで製作されています。
全米No,1のカスタムビルダーにより作り上げられたリバイバルバードケージ
もう1台の『リバイバルバードケージ』を製作したアラン・スタルバーグ氏は、カスタムバイク製作とカスタムパーツ販売を行うショップ『Revival Cycles(リバイバルサイクル)』の創業者。
BMW Motorradのセールスおよびマーケティング担当で副社長のティモ・リーチ氏が「アメリカで最も注目されるカスタムビルダー」と言うほどの逸材であり、彼の元には、世界中からカスタムバイクのオーダーが舞い込む人気ビルダーです。
そんな人気ビルダーであるアラン・スタルバーグ氏を筆頭とするリバイバルサイクルのビルダー達に、BMWは新型エンジンを搭載したオリジナルカスタムバイクの製作を依頼。
リバイバルサイクルも、デパーテッドと同様に、1920年代後半から1930年代初期にかけてのアーンスト・へニーが乗った最高速レコードマシンをイメージした1台を仕上げました。
しかし、そのアプローチはデパーテッドとは全く異なり、フレームはチタンのパイプを何本も組み合わせたトラスフレームで、エンジンを前面に押し出すシンプルな仕上がり。
また、シルバーで統一されたヘッドカバーやエンジンカバーは、フレームのチタンカラーとマッチして、吸排気系のデザインも非常にシンプルです。
ちなみに、チタンフレームを作ったのは今回が初とのことでしたが、細いチタンパイプをこれほど精密に組み合わせたフレームの仕上がりには驚かされます。
新ボクサーエンジンを搭載した新型モデルはいつ発売するのか
2台のカッコよさに思わず惚れ惚れしてしまいますが、それより肝心なのは2台に共通して搭載された新型ボクサーエンジンの正体と、これを搭載した新型モデルがいつ登場するかです。
2台を見た感じ、大排気量の空冷ボクサーエンジンであることは間違いありません。
厳しくなる排ガスで大排気量空冷エンジンがどんどん消滅していくなか、排ガス規制Euro5をクリアできるのか興味深いところですが、BMW Motorrad副社長のティモ・リーチ氏曰く、「既にクリアできている」とのこと。
また、気になる排気量ですが、デパーテッドのシートに『R18』と書かれていたので、一部からは「1,800ccではないか」と噂されています。
実際にデパーテッドの走行動画を見ても重低音の図太いエンジンサウンドは、1,500~2,000ccぐらいの排気量はありそうな印象。
BMWは、2019年前半にこのエンジンを搭載したコンセプトモデルの発表を予定しており、2020年にはクルーザーセグメントの新型モデルを生産するとしています。
今回の2台の共通点である”1930年前後に活躍した最高速チャレンジバイク”から、車体全体を低くしタイトなセパレートハンドルを装着したモデルの登場も予想されています。
とにかく、このレトロな見た目の巨大なボクサーツインエンジンであれば、『R nine T』のようなBMW伝統のヘリテージモデルが期待できそうです。
まとめ
今回のカスタムバイクの発表では、新型エンジンに関する詳細は把握しきれませんでしたが、BMWのトレードマークである空冷ボクサーツインエンジンに関する吉報ということで、BMWファンにとっては何よりも嬉しい知らせではないでしょうか。
あとは、どんなバイクに搭載されるのか、気になる所ですが、先にカスタムバイクに搭載するという大胆なプロモーションで、これほどまでに興味をそそられるとは思ってもみず、「さすがBMWの広報」と感心してしまいます。
2台のカスタムバイクが新型モデルのキーポイントであるならば、発表の場に日本のカスタムイベントを選択したBMWにとって、日本市場は重要視されていると考えられます。
そうなると、彼らが考えるバイクとは、我々にとって案外身近なのかもしれません。
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