モータリゼーションのEV化が進み、バイクにも100%電気で走行するEVモデルが登場しています。しかし、電動バイクとそれに対応する二輪免許は、どのように区切られているのでしょうか。また税金や自賠責はガソリン車とどのように異なるのかを解説します。
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続々登場する電動バイク!操作できる二輪車免許は?
日本メーカーが生産する電動バイクのラインナップはまだまだ少数ですが、海外メーカーはハイパワーな電動バイクを続々と登場させています。
モータースポーツにおいても、電動バイクのみで競い合うMotoEやマン島 TT Zeroクラスが創設され、バイクにおける電動化は日が増すごとに進んでいます。
日本の免許制度上、乗れるバイクは排気量で区別されており、50cc以下は原付、125cc以下は小型限定普通自動二輪免許、400cc以下は普通自動二輪免許、そして排気量が無制限となるのが大型自動二輪免許です。
では、排気量の概念がない電動バイクは、どの免許が必要なのでしょうか。
中免以上なら何でもアリ
結論からいえば、普通自動二輪免許を取得していれば、どんなに大きな電動バイクでも操作可能です。
というのも、道路運送車両法では電動バイクに対して『大型二輪』という括りを設けてはおらず、モーターの定格出力が1kWを越えれば、軽二輪として扱われます。
電動バイクの定格出力とガソリン二輪車の排気量を照らし合わせると、0.6kW以下で50cc以下にあたる原付一種、0.6~1.0kWで50超125cc以下にあたる原付二種、1kW以上で126cc超250cc以下の軽二輪になります。
ということは、1kW以上の電動バイクでも250cc 扱いとなるため、車検が不要なのです。
しかも、海外製電動バイクを含め、ほとんどがクラッチ操作や変速操作が不要なモデルであるため、AT限定普通自動二輪車免許でも乗れてしまいます。
そうなると電動バイクは日本のライダーにとって、かなり自由度の高い乗り物ではないでしょうか。
12月1日以降は電動バイクでも大型自動二輪免許が適用に
しかしながら、電動バイクのおいしい話は今年までになりそうです。
警察庁は2019年7月22日に『道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令』を公開し、8月20日までパブリックコメントを募集していました。
この改正案には、以下のような内容が組み込まれています。
定格出力が20.00キロワットを超える原動機を有する自動二輪車の区分を、普通自動二輪車から大型自動二輪車に改めることとする(府令第2条関係)
引用:e-Gov
どういうことかというと、1kW以上を軽二輪としていたのを1~20kWに区切り、20kWを超える車両については大型自動二輪免許を必要とするという内容です。
では、車検制度を適応させるかといわれれば、それについては公にはされていません。
どんな電動バイクに大型自動二輪免許が必要か
現在、日本に輸入されているモデル、または今後輸入が見込まれる電動バイクについて、どのモデルに大型自動二輪免許が必要になるか割り出してみました。
モデル | 出力 | トランスミッション | 必要な免許 |
---|---|---|---|
BMW・C エボリューション(BMW・C evolution) | 35kW | AT | AT限定・大型自動二輪免許以上 |
ハーレーダビッドソン・ライブワイヤー(Harley-Davidson・LiveWire) | 55kW | AT | AT限定・大型自動二輪免許以上 |
キムコ・スーパーネオ(KYMCO・SUPER NEO) | 未発表 | クラッチ付MT | おそらく大型自動二輪免許以上 |
エネルジカ・エゴ(・EGO) | 110kW | AT | AT限定・大型自動二輪免許以上 |
エネルジカ・エヴォ(・EVO) | 80kW | AT | AT限定・大型自動二輪免許以上 |
ベスパ・Elettrica | 4kW | AT | AT限定・普通自動二輪免許 |
ホンダ・PCX ELECTRIC | 0.98kW | AT | AT限定・小型限定普通自動二輪免許 |
電動バイクの税金・自賠責保険は
税金 | ||
---|---|---|
定格出力 | 車種(ガソリン二輪車の排気量) | 軽自動車税 |
~600W | 原付(50cc) | 1,000円/年 |
601~799W | 原動機付二種 乙(51~90cc) | 1,200円/年 |
800~999W | 原動機付二種 甲(91~125cc) | 1,600円/年 |
1kW超 | 軽二輪(126cc~) | 2,400円/年 |
自賠責保険 | ||
---|---|---|
契約期間 | 掛金 | 年間相当 |
1年契約 | 7,280円 | 7,280円 |
2年契約 | 9,420円 | 4,710円 |
3年契約 | 11,520円 | 3,840円 |
4年契約 | 13,580円 | 3,395円 |
5年契約 | 15,600円 | 3,120円 |
電動バイクの税金と自賠責保険は、上記の通り。
従来のガソリン二輪車と変わりはありませんが、排気量でなく定格出力で税額が変わる点に注意してください。
まとめ
12月以降、1kW以上の電動バイクには、大型自動二輪免許が必要になりますが、2019年12月1日以降に普通自動二輪免許を取得した者のみが対象なのか、現在普通自動二輪免許を保持しているライダーも、1kW以上の電動バイクを運転するのに大型自動二輪免許が必要となるのか、また、軽二輪ではなくなるのであれば車検が必須となるのか、これらの課題については明らかにされていません。
これから、電動バイクに対する免許制度がどのようになるのか、注目です。
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