1995年にデビューした10代目クラウンは、先代のクラウンマジェスタに続き4ドアハードトップとセダンモノコックボディを採用。全車4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架サスペンション化され、4WDも設定されるなど大幅な変更が行われました。それでも内容的にはまだ保守派と言えて、伝統と革新の過渡期にあたるモデルです。
掲載日:2018/12/31
ついにモノコックボディ化、プラットフォームは7代目マークII
1995年8月にモデルチェンジし、10代目となったクラウンは今までのクラウンが頑固なまでに採用してきたペリメーターフレームを捨て、7代目マークII(X90系)とプラットフォームを共用するフルモノコックボディが採用されました。
そして、サスペンションも同じく4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架で4WDも設定可能。
4気筒ガソリンエンジンや2.5リッター6気筒ツインターボ搭載グレードがないのを除けばエンジンラインナップも同様で、『7代目マークIIの高級版』的な車です。
とはいえ上級モデルのクラウンマジェスタでは同時に、先代ではモデルチェンジが見送られたクラウンセダンもやや遅れて1995年12月に同じプラットフォーム、サスペンションに変更された事を考えると、バブル崩壊後のコストダウンでプラットフォーム統一化を図ったようにも見えます。
しかし、9代目クラウン前期型で批判された反省からデザインに重厚感を持たせるのにはかなり気を使ったようで、少なくとも外観からは『ホイールベースを50mm伸ばした程度でベースはマークII』とは気づきません。
また、車内の室内長は同等、室内幅・室内高がほんの10mmずつクラウン4ドアハードトップのゆとりがある程度ですが、外寸が一回り大きく、フロントグリルも大きくなったことで、同じ4ドアハードトップでもマークIIのスポーティ路線とはだいぶ印象が違います。
それよりペリメーターフレームをやめたことで100kg以上の軽量化を実現した効果は大きく、2JZ-GEもVVT-i化したおかげで、先代に比べて最上級グレード『ロイヤルサルーンG』同士では燃費が1.8km/リッターも良くなりました。
クラウンベースでは最後の法人向け『クラウンセダン』
なお、10代目クラウンとなってもバンとワゴンは8代目(S130系)が継続生産されていましたが、クラウンセダンは4ドアハードトップ同様にモデルチェンジされました。
また、法人タクシー用途こそコンフォートベースで登場した『クラウンコンフォート』に後を譲りましたが、公用車・社用車・個人タクシー向けにはまだまだクラウンセダンの需要はあったようで、フェンダーミラーがよく似合う保守的デザインのまま。
ある意味贅沢な部分で言えば3ナンバー用プラットフォームを使っていながら5ナンバーボディも設定されているところで、直列6気筒エンジンを搭載した4輪ダブルウィッシュボーンの5ナンバーサイズ小型FRセダンという意味では、後のプログレ(1998年発売)を連想させます。
そんなクラウンは次世代でサッシュ(窓枠)が付きつつもスタイリッシュな4ドアセダンになったので、10代目はクラウン最後の4ドアハードトップであると同時に、同じプラットフォームを使った法人ユースメインの『クラウンセダン』が存在した最後のモデルでした。
4ドアハードトップが1999年にモデルチェンジして以降も販売を続けた10代目クラウンセダンは、2001年8月にクラウンコンフォートの法人向け装備充実版『クラウンセダン』として再出発することになります。
主なスペックと中古車相場
トヨタ JZS155 クラウン ロイヤルサルーンG 1995年式
全長×全幅×全高(mm):4,820×1,760×1,425
ホイールベース(mm):2,780
車両重量(kg):1,490
エンジン仕様・型式:2JZ-GE 水冷直列6気筒DOHC24バルブ
総排気量(cc):2,997
最高出力:162kw(220ps)/5,600rpm
最大トルク:294N・m(30.0gm)/4,000rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FR
中古車相場:6.8~68万円
まとめ
9代目までは3代目以降に採用したペリメーターフレームを頑固に続ける伝統重視な保守的サルーン、11代目からはラグジュアリー系『ロイヤル』、スポーティ系『アスリート』の2本柱で突き進むクラウンにとって、10代目の時期はその中間の過渡期です。
ややスポーティな『ロイヤルツーリング』グレードもラインナップしたとはいえ、後の『アスリート』ほど豪快ではなく、さりとてモノコックボディでの軽量化はバカにできませんでした。
しかしやはりコストダウンの時期ゆえか、まだどこか突き抜けていないという印象。
それでも、バブル崩壊で景気は底無し沼、価値観が崩壊して新ジャンルの車に光が当たる一方、4ドアサルーンが急激に地位を低下していく中で、どうにか評価を落とさず11代目からの『ユーザー若返り計画』への橋渡し役を無事に勤め上げたのが、10代目クラウンだったのです。
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