かつて1962年にデビューし、デビュー当初からラリーで好成績を挙げたルノー「アルピーヌ A110」。現在は、この旧型と同名の新型A110が販売されています。「ラリーの概念を変えた」とも言われるこの名車について、振り返ってみましょう。
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アルピーヌ A110(旧)の栄光
アルピーヌ A110(旧)がデビューしたのは、1962年。
「アルピーヌ」は、戦後に登場したスポーツカーのカリスマ、ジャン・レデレが腕を磨いたアルプスに敬意を払って付けられた名前です。
鋼管バックボーンタイプのシャシーをベースに、FRPモノコックを被せて、軽量コンパクトなボディを実現。ルノーのR8から流用したサスペンションは、ラリーの悪路にも対応できるポテンシャルを秘めていました。
エンジンは同じくルノーR8から流用された1リッターの直列4気筒 OHV。シャシー後端に搭載されたこのOHVエンジンは、車重680kgのボディに138psを発揮し、後に1.3リッターから1.5リッター、1.6リッターと、ボアアップされていきました。
そして1968年からは各地のレースに出場し、この性能を最大限に活かすこととなります。
特に1973年から始まったWRCでは、1.8リッター搭載のグループ4仕様(当時は連続12ヶ月に500台生産という規定)で参戦し、モンテカルロで表彰台を独占。13戦中6度の優勝を収め、圧倒的な強さで初代WRCチャンピオンマシンの座に輝きました。
A110がWRC初代チャンピオンの座を勝ち取った1973年には、1971年に登場した後継機、A310のリア・サスペンションが組み込まれたエボリューションモデルも誕生。
生産終了から40年目の2017年には、同じ名を受け継いだ新型車 A110が発表され、今もなおその栄光は語り継がれています。
アルピーヌ A110(旧)が名車と呼ばれる理由
アルピーヌ A110(旧)が名車と呼ばれる理由は、「初代WRCチャンピオンに輝き、ラリー界に衝撃をもちらしたこと」にあります。
このA110が初代WRCで圧倒的な強さを誇った一番の要因は、FRPが採用された軽量コンパクトなボディで、この軽量ボディに当初搭載されていたエンジンは、前述通りの直列4気筒 OHV。
しかし最後までこのエンジンを載せていたわけではなく、レースデビュー前の1966年にゴルディーニエンジンへと換装され、そのポテンシャルを活かすことで各種レースで名を轟かせ、WRC初代チャンピオンにも輝きました。
また、1971年には「1600S グループ4」と呼ばれる競技用モデルが登場。この競技用モデルの販売、そして1973年のWRCでの栄光は、それまで市販車ベースがスタンダードだったラリーのスタイルを一変させることになります。
そしてより先鋭化されたラリーシーンは、やがて「ラリーを殺した」とまで言われた1974年のランチア・ストラトスのデビューへと繋がっていったのです。
つまり、「ラリーのスタイル変化をもたらした」という記念碑的な栄誉に輝いたことが、A110の名車たる所以なのです。
アルピーヌ A110(旧)の主要スペックと中古車価格
アルピーヌ A110(旧)の主要スペック
1972年式ALPINE RENAULT A110 1600S
全長 3850mm
全幅 1520mm
全高 1130mm
ホイールベース 2100mm
トレッド前/後 1311/1290mm
車両重量 680kg
乗員定員 2名
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1565cc
ボア×ストローク 77.0×84.0mm
圧縮比 10.25:1
最高出力 138ps/6000rpm
最大トルク 14.7kg-m/5000rpm
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション 前ダブルウィッシュボーンコイル
後スウィングアクスルセミトレーリングアームコイル
ブレーキ 前後ともディスク
タイヤ 前後とも165HR13出典:ラリーにスピードを与えたフランス製スポーツカー|アルピーヌ・ルノーA110 1600S Vol.2|NosWeb.jp
アルピーヌ A110(旧)の中古車価格
アルピーヌ A110(旧)の中古車価格は、車両本体価格「応相談」となっており、旧車ゆえか、走行距離不明の個体も存在しています。
まとめ
WRCの初代チャンピオンに輝き、ラリー界に衝撃をもたらしたアルピーヌ A110(旧)。
2017年には新型がデビューしましたが、WRCの伝説は他でもない旧型が刻み込んだものです。
その栄光の記憶を受け継いだ新型A110も新たな伝説を刻み、振り返った時に「名車だった!」と思える車になることを期待したいところです。
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