軽自動車規格のスポーツカー、オートザムAZ-1。他に類を見ないボディー形状にガルウィングの組み合わせで、目立つこと間違いなしの一台です。そんなAZ-1を、ご紹介します。
オートザム AZ-1
オートザムZA1は、マツダから1992年10月〜1995年9月まで販売されていた軽自動車で、型式はE-PG6SA。
ボディー形状はスポーツタイプの2ドアクーペで、エンジンを後部に積むMRレイアウトが採用されています。
トランスミッションは、5速MTのみ。
大きな特徴がドアの開き方にあり、通常のヒンジドアとは違い、上に跳ね上げる方式のガルウィングが採用されています。
スーパーカーに多く採用されるガルウィングを軽自動車に取り入れることで、他とは違った唯一無二の存在感が演出されました。
販売期間中には、マツダスピードのエアロパーツが装備されたマツダスピードバージョンや、M2のエアロパーツが装備されたM2-1015の特別仕様車も、登場しています。
エンジン
搭載されたエンジンは、アルトワークスにも使用されていたF6A型。
ターボチャージャーで過給され、パワーは軽自動車の規制値上限の64PSを発揮します。
鋭いステアリングフィール
一般的な車の、ステアリングを端から端まで切った時の回転数ロックツゥロックは3回転半と言われる中で、AZ-1は2.2回転という非常に機敏なステアリングフィールを持っており、究極のハンドリングマシーンと呼ばれることもあります。
しかし、その機敏なハンドリングフィールと足回りの設計により、コーナリング時の扱いが難しく、スピンしてしまう事も多かったようです。
開発時に苦労した安全性能
小さな車体の後部にエンジンを搭載するAZ-1は、衝突安全性能に不安がありました。
開発当初は、スペアタイアをフロント部分に収納するデザインになっていましたが、衝突実験を行った際に、そのスペアタイアがステアリングシャフトを押し込み、運転者に向かって突き刺さるといった恐ろしい結果が出たのです。
その対策として、スペアタイヤを運転席の後ろにある荷物置き部分に移動することで解決。
しかし、特殊なガルウィング型式のドアにより、車両が横転した時に、脱出が困難であるという指摘もありました。
そこでマツダは横転実験を繰り返し、実際に脱出可能であることを証明し、形状認可を受けたのです。
AZ550 Sports
AZ-1が誕生した裏には、1989年の第28回東京モーターショーに展示された、AZ550 Sportsという車両の存在があります。
それは、ガルウィングとリトラクタブルヘッドライトのTYPE A、ヒンジドアでクーペスタイルのTYPE B、ルマン24時間レースに出場した767をモチーフにしたTYPE Cの3タイプ。
市販化されたAZ-1は、TYPE Aが一番近いスタイルとなっています。
主要諸元
車両型式:E-PG6SA
乗車定員(人):2
全長×全幅×全高(mm):3295×1395×1150
車両重量(kg):720
エンジン型式:F6A
種類:直列3気筒DOHCターボ
総排気量(cc):657
最高出力(PS/rpm):64/6500
最大トルク(kgm/rpm):8.7/4000
中古車相場
AZ-1は、マニアックな車種だったことに加え、販売終了から年月が経過しているために、中古車市場での流通はかなり少なくなっています。
2021年3月現在は、150万円〜350万円の価格帯で販売されており、当時の新車価格が155万円だったことを考慮すると、希少価値が高くなっているようです。
まとめ
軽自動車の中でも、希少なスポーツカーであるAZ-1は、マニアックな車種であるだけあって、コアな層からの人気が集まりました。
しかしその正体は、後輪駆動、軽量コンパクトボディーで、走る楽しみを味わえる一台であることは間違いありません。