2019年7月10日、ベントレーは、ゼロエミッションの完全電動コンセプトカー「EXP 100 GT」を発表しました。この日はベントレーにとって創業100周年となる記念すべき日で、EXP 100 GTはベントレーというブランドが考える、2035年の高級グランドツアラーのあるべき姿を示したものとなっています。2035年という数字は荒唐無稽なものではなく、今からおよそ15年後には量産車への導入が可能であろう技術が至る所に散りばめられている点にも注目です。
もはや「癒し」のレベル。一歩先行く車内の快適性
EXP100GTは、完全な自律走行を行うクルマなので、ドライバーがステアリングを握る必要はありません。
その分重要になってくるのが、長距離移動でも疲れない為の快適性です。
EXP100GTには「ベントレー・パーソナルアシスタント」という名前の音声AIが搭載されており、乗客を様々な側面からアシストしてくれます。
AlexaやSiriといった音声ベースのAIと違う点は、キャビンに様々な種類のセンサーが埋め込まれているという点で、乗客の血圧や体の位置、目や頭の動き等の生体情報をモニタリングすることで、車内の照明や空調といった環境を最適な状態にキープすることか可能となっています。
ベントレークラスになると、もはや従来の「快適性」という言葉を超えて、乗っているだけで「癒し」とも言えるレベルの快適性が提供されるのです。
持続可能性を意識したマテリアル
「快適性」に加え、EXP 100 GTにとってもうひとつの重要なキーワードが「持続可能性」です。
近年のベントレーは超高級車から動物由来の皮革素材を排除する傾向にあり、このEXP 100 GTも例外ではありません。
一見普通のレザーのように見えるシート素材は、ワインの醸造プロセスにおいて産まれる特殊なオーガニック素材で構成されています。
また、外装用の塗料には、米を脱穀する過程で生まれる籾殻の灰を利用していたり、キャビンには5000年前の銅を染み込ませたリバーウッドと呼ばれる太古の倒木を用いるなど、独創的な素材使いが特徴です。
ハイテクや最先端とは一味違う着眼点がベントレーならではといったところではないでしょうか。
最高速度300km/hを誇るパワートレイン
4つのモーターによる最大トルクは1500Nmに達し、0-100加速は2.5秒、最高速度は300kmと、自動運転車としては規格外のパワーを誇ります。
最大航続距離は700kmで、バッテリーは2035年迄にはエネルギー効率が従来の5倍になっている想定とし、15分で80%の充電が可能とされています。
ちなみにベントレーは、2023年を目処に全モデルをハイブリット化することをアナウンスしています。
全幅2m超えの圧巻のエクステリアデザイン
ボディサイズは全長5.8mとかなり巨大で、ラグジュアリーGTとしての迫力と貫禄を感じさせます。
また、2枚のはね上げ式のドアは幅が2mもあり、2ドアクーペとして非常に伸びやかで美しいシルエットを実現し、フロントグリルには、600個ものLEDを埋め込んだマトリクスグリルを採用。
人が近づくとグリルからフライングBマスコットへと光が収束し、ボンネット中央を経て最終的にキャビン内へと光が降り注ぐという演出は、まるで車に生命が宿っているかのような神秘性を感じさせてくれます。
まとめ
これまで、超高級車というと、贅沢な天然素材を使ったインテリアや超ハイパワーのエンジンといったわかり易いスペックに注目が集まりがちでした。
しかし、内燃機関から電気エネルギーへのシフト、エシカルやSDGsといった持続可能性に関するキーワードの台頭などを考えると、2035年の未来にそういった従来のコンセプトはそぐわないでしょう。
いち早く時代の流れを察知し、コンセプトカーという形で業界に先手を打ったベントレー。
明確なコンセプトと戦略に基づいた超高級車達は、見識ある富裕層の心を捉えて離さないのではないでしょうか。
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