イタリアのスーパーカーメーカーと言えば、フェラーリとランボルギーニの名前が思い浮かぶ人がほとんどだと思います。しかし今回の主役はその2メーカーとは違う、異色のW16気筒エンジンを搭載した、唯一無二の個性的なイタリアンスーパーカー!!チゼータ社が唯一市販したモデル、『チゼータV16T』をご紹介します。
チゼータってどんなメーカー?
現在ではアメリカに本拠地をおくチゼータですが、そのルーツはイタリアにあります。
創始者はクラウディオ・ザンポーリ氏で、チゼータという社名は氏のイニシャルであるCとZのイタリア語読み「Ci・Zeta」に由来しています。
累計生産台数はわずか15台!
正式名称は「チゼータ モロダー V16T」。
モロダーとは1980年代前半にミュージシャンとして有名だったジョルジオ・モロダー氏に由来しており、氏はチゼータ創設時の共同出資者でした。
1988年にアメリカ・ビバリーヒルズで公開されると好評を得て、1992年から1台60万ドルという価格で生産がスタートします。
しかし、バブル景気の崩壊に伴うチゼータ社の倒産に伴い、V16Tの累計生産台数はわずか15台に留まりました。
他に類を見ないV型16気筒エンジン
V16T最大の特徴は、なんといってもミッドシップに横置きされたV型16気筒エンジンで、縦置きされたトランスミッションと合わせて上から見た時に「T」字に見えることが、車名である「V16T」の由来にもなっています。
ただでさえ気筒数が多く、排気量も6リッターを超えているため、リアセクションは全幅2mを超える大柄な車体となっていますが、最高速度は328km/h。
0-100km/h加速は4.2秒のカタログ値で、最高出力が550ps/8000rpm、最大トルクは55kgm/6000rpmと、当時としてはずば抜けたスペックでした。
本当はディアブロ用のデザインだった!?
スタイリングは、カウンタックを手掛けたことで有名なマルチェロ・ガンディーニが担当しています。
どことなくランボルギーニ感のあるデザインは、クライスラー傘下であった時の次期カウンタック、すなわちディアブロの没案のうちのひとつであったと言われています。
最も特徴的なのはそのリトラクタブル式のヘッドランプで、上下2段式で全てせりあがると4つの目玉が出てくる姿は中々に個性的と言えるでしょう。
ボディサイズは4440×2060×1115mm、ホイールベースは2960mm、車重は1700kgとヘビー級のスーパーカーに仕上がっています。
今でも受注生産が可能?
1994年に一度倒産したチゼータ社でしたが、創業者であるザンポーリ氏は、2003年にカリフォルニア州で「チゼータ オートモービル USA」を設立します。
そして驚くべきことに、生産に必要な当時の制作機械はすべて保存されているらしく、オーダーさえあれば今でもチゼータV16Tは生産可能であるとの事です。
まとめ
現在もオーダー可能なチゼータV16Tですが、2009年に排ガス規制や安全基準を満たしていないことが原因で、米国連邦当局からアメリカ国内での運転が禁止されています。
つくづく時代の流れに翻弄されてしまった不運なスーパーカーですが、現存する、しかも生産可能なV16エンジンのスーパーカーとして、今でも唯一無二の存在であることは間違いないでしょう。
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