ホンダを代表する「新型NSX」がついに日本国内での販売開始を発表。都内で行われた発表会には、ムービー・スチールカメラマンをはじめ、数百人にも及ぶメディアが集まり、その注目の高さが伺えた。発表会にはホンダの八郷隆弘社長が、新型NSXにかける思いを語った。

Photo by Tomohiro Yoshita

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初代NSXから26年、待ちに待った新型モデルがついに日本でも

初代NSXが発売されたのは1990年。その独特なフォルムと当時の国産車にはあまりなかっただけに、国内のみならず世界中にも大きな衝撃を与え、あっという間にホンダを代表するスーパースポーツカーであり、フラッグシップカーの一つとなった。

しかし、年々厳しくなっていく排ガス規制の影響で、2005年をもって生産終了。しばらくの間、沈黙が続いていたが、2012年にNSXコンセプトがお披露目され、今年から北米市場で販売を開始。そして満を持して日本にも「NSX」が帰ってきた。

本体価格は税込みで2370万円~。今日から購入の申し込み受付が開始され、2017年2月27日から発売が開始される。

“操る喜び”を追求することはホンダのDNAであり、永遠のテーマ

Photo by Tomohiro Yoshita

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最近の日本の自動車市場は、こういったスポーツカーよりもエコカーやファミリーカーなど快適性を求めたクルマが多い。その中で、スーパースポーツモデルを投入したホンダ。発表会に登場した八郷社長は、このNSXにかける思いを語った。

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「1990年、初代NSXを通して私たちは、“スーパースポーツを作りたい”“既存のクルマとは違う新たな価値を提供したい”という『夢』にチャレンジしました」

「当時私たちが感じていた『スーパースポーツの世界」は、いわばクルマそのものを中心としたモノづくりが主流になっていました」

「そこに人を中心としたモノづくりという考え方を注ぎ入れることで、世界トップクラスのハンドリング性能と快適性の実現を試み、それを高次元で両立することを実現しました」

「あの時から四半世紀以上が経過しました。時の流れの中で自動車の技術は日進月歩の成長を遂げ、ホンダもグローバルな企業へと成長しました」

「しかし、時代や環境がどう変わろうと、“操る喜び”をさらに追求したいという思いは、永遠に変わることのないホンダのテーマです」

「私たちがもつあらゆる力、資源を駆使して“もう一度スーパースポーツにチャレンジしたい”“そして新たな価値を提供したい”それが私たちの中で再び沸き上り、その思いを形にしたもの…それが、この新型NSXです」

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とは言っても、販売価格は2370万円。普通なら簡単に買えるものではない上、今回はアメリカ・オハイオ州に専用工場を設け、そこで全ての新型NSXを生産していくとのこと。開発も日米共同チームで構成されているなど、非常に大きなプロジェクトとなっている。

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やはり、採算性や経営面の部分も気になってしまうのだが、その辺について八郷社長は「ホンダは生活に役立つクルマ、操る喜びを追求するクルマ。この2つの商品を両輪で作ることがホンダのDNAであり、テーマだと考えています。その中でも、この新型NSXは“操る喜び”を究極に追求した1台です。やはり操る喜び、スーパースポーツをやることが我々のチャレンジにもなります。収益面等の話もありますが、それも含めて両輪でしっかりやることがホンダブランドのレベルアップにもつながると思っています」と説明した。

 

26年の時を経て、NSXはどう変わったのか?

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初代NSXから26年。確かに当時とは日本の自動車事情も大きく変わってしまい、こういったスーパースポーツに興味を持つ若者も少ないと言われ始めている。

そんな中で、代々受け継がれてきている「チャレンジする気持ち」を、この新型NSXに注ぎ込み、満を持して日本市場でも発売を発表した。

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実際に販売モデルの車両に近づいてみると、速さを追求するために、ボディラインは無駄なく洗練され、ドアノブも空気抵抗になるため、突起物は曲直少なくするデザインになっている。

ドライビングシートも、スーパースポーツらしい低いドライビングポジションになっているが、細かいところで快適性を意識したデザインになっている印象を受けた。

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そして、一番変わったのが、環境への配慮。心臓部であるエンジンは3.5リッターV6ツインターボエンジンが採用されているが、それを様々なシーンに適用した形でパフォーマンスを発揮させるために4つのドライブモードを搭載。

音の問題が重要視される街中を意識した「Quiet」モード。実際に発表会冒頭でも会場を走行するシーンがあったが、現行モデルのエコカーに近いくらい静かな走りをみせていた。

これに加えて高速道路などに適した「Sport」、ワインディングロードでアグレッシブに走りたい時の「Sport+」。そしてサーキット走行を想定した「Track」の計4つがある。

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スーパースポーツでありながら、環境への配慮もなされていることについて、開発責任者のテッド氏は「これからのスーパースポーツは、環境に対してはますます厳しいチャレンジを求められていくが、それを踏まえて我々は柔軟な施設・設備を用意した。このセグメントにおいては新型NSXがリーダーであることを理解しているし、これからも様々な環境要件を満たしていくリーダーシップを取っていきたいと思っている」とコメントしている。

まとめ

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ついに日本でも発売が発表された新型NSX。初年度の販売予定台数は100台とのこと。

国内販売の指揮をとる執行役員 日本本部長の寺谷公良氏は「NSXはホンダのブランドというものをもっと磨き上げて、輝かせていくためにも重要な商品。フィットなどの多くのお客様に選んでいただけるクルマをもっと売っていくためにも、このNSXでホンダブランドを輝かせていきたいです。1台1台の存在感、存在意義は大変大きいと思っていますので、この100台を大切に売っていきたいです」と語った。

街中で新型NSXを見かける機会は少なくとも来年以降になると思うが、実際に購入者の手に渡ったときに、クルマに対してどんな感想が返ってくるのか、今から非常に楽しみだ。