物心がついた頃から将来の夢はレーサー!幼い頃に見たドリフトに憧れ、寝る間も惜しんで資金作りとドリフトの練習に明け暮れた結果、アップガレージの正社員ドライバーの座をつかみ取った若手D1ドライバー”田口和也”。そのドリフトに賭ける熱い想いに迫ります。
田口和也 プロフィール
- 生年月日
- 1992/11/18
- 出身
- 生まれは鹿児島県、育ちは北海道、現在は東京都町田市在住
- 出身校
- 日本自動車大学校(カスタマイズ科)
- 愛車
- BMW(E90)・シルビア(S15)
- 主な功績
- 2011年 全日本学生ドリフト王座決定戦(東日本大会) – 優勝
2012年 全日本学生ドリフト王座決定戦(東日本大会) – 優勝
2013年 ノーネームヒーローズ in Kanto age2クラス – 3位
2014年 ドリフトマッスル チャレンジクラス – 準優勝
2014年 D1ストリートリーガル シリーズランキング – 24位
2015年 D1GP シリーズランキング – ランキング外
2015年 フォーミュラドリフトジャパン ポイントランキング – 8位
2016年 D1GP シリーズランキング – 37位
2016年 フォーミュラドリフトジャパン ポイントランキング – 4位- 出典:http://d1ms.upgarage.com/?page_id=23
現在は、TEAM UP GARAGEから、D1 GRAND PRIX・FORMULA DRIFT JAPANの2つのカテゴリーに参戦する田口選手。現在の体制でドリフト競技が出来るようになるまでは、大変な苦労があったそうです。
それは、特に資金面。どのモータースポーツに関しても参戦資金の壁はありますが、その中でもドリフトは特に若手から上がって来るのが難しい競技だと思います。
それでも、努力すれば叶う、気持ちを発信すれば叶うということを伝えたいと熱く語る田口選手は、どのように現在の場所に辿り着いたのでしょうか。
田口和也インタビュー
ドリフトの世界へ
ーーー ドリフトを始めたきっかけを教えてください。
僕は元々北海道出身で、父親も車がすごく好きで、父親の友達がドリフトをやっていたんです。それを見に行く機会があって、小学校4~5年でしたっけ。その時に乗せてもらったのがきっかけです。
それまではずっと、物心ついた時から僕はレーサーになるって言い続けていたんですけど、それをきっかけにドリフトの道に決まりました。
ーーー 最初のレーサーという夢は、どのカテゴリーのレーサーでしたか?
ずっと、幼稚園とかの文集みたいなのあるじゃないですか?そういうのには、F1レーサーF1レーサーって書いてました。
ーーー レーサーを目指すに当たり、最初に練習を始めたのはいくつの時ですか?
16歳の時かな?高校1,2年の頃なんで。
よく出入りしているというか、勝手に学校帰りに遊びに行っている車屋さんがあって。
そこにお願いをして、僕が自分の車を買うから、サーキットまで連れていって欲しいって言って、その車屋さんに僕が買った車を運転して行ってもらって、現地で運転を交代してドリフトをさせてもらってました。免許が無かったんで(笑)
ーーー ドリフトを始める時に買った最初の車は?
最初はTOYOTAのソアラでした。30系の30ソアラを先輩から5万円で買ってきて。
オートマで、特に何もされてないやつ。
それをお世話になってる車屋さんにアドバイスをもらいながら、全部自分でやって、ドリフトできるような仕様にしてドリフトしてました。
オートマのまま、デフだけ作って、2wayデフで。まあ、その時はデフロックだったと思うんですけど、そういったのに乗せ換えて、練習し始めました。
物心がついた頃から将来の夢はレーサー。その夢に向かってブレる事無く突き進み続けた田口選手は、免許の取れない16歳から半ば強引とも言える方法でドリフトの練習を始めます。その強い気持ちに、協力者が集う。それは現在の田口選手のチーム体制にも通じるものがあるのかもしれません。
そしてD1ドライバーへ
ーーー アップガレージに入社したきっかけは?
きっかけは、全日本学生ドリフト王座決定戦ってのがあって、ドリフトの甲子園みたいな、学生だけのドリフトの大会なんですけど。
それに2011年12年と2年連続出場して、2年連続東日本大会で優勝したんです。
その時アップガレージが若い選手とかモータースポーツ好きを応援するスポンサーをしていて、それで目をかけてくれて、内定をもらったっていう。中々ないパターンなんですけど。
表彰式の時にアップガレージの方から内定書と言う形でもらって、ここはなんていう企業なんだ!と思って。
まあ、アップガレージというと、クルマ好きには結構知名度もあって、そんな企業からこういった形で内定書をもらった事にスゴイ驚いた記憶は、今でもはっきり覚えています。
ーーー アップガレージに入社するまでのドリフト活動の資金はどうしていましたか?
3つアルバイトを掛け持っていて、とにかく寝ない事が多かったです。
コンビニのアルバイトと運送会社の朝3時からの仕分けとか・・・そんな事をやって、自分の時間とかほぼほぼ無かったですね。
食費とか削ってほとんど車にお金を使ってました。
学生だったので、普段は朝9時から夕方ぐらいまで授業があって、それ以外の時間をフルに使って資金をっていう感じでした。
ーーー 資金作りが大変だった時期、ドリフトを辞めようと思った事はありますか?
本当に寝ない日々がずーっとだったんですけど、辛いとか辞めたいって思った事は1回も無いですね。
ーーー 大会前や大事な時に必ずやる事は?
絶対にお気に入りの入浴剤を入れてお風呂につかります。シュワシュワするタイプの。
僕はドライバーであり、監督に近いこともやっていたり、かつ自分で整備とかもやってたりかつ、サラリーマンでもあるから、大会前になるとけっこうバタバタしてるんですよね。
で、中々思うように時間が取れなかったりだとか・・・アップガレージとしてやってますけど、大会の準備とかは色んな社員が手伝ってくれたりとか、たくさん好き勝手に使える時間がある訳ではないので、バタバタしている中で最終日出る前に、ゆっくり体を休めてって言うのは結構やってます。
元々、アップガレージという企業に憧れはあったが、そこで働くというイメージは全く持っていなかったと言う田口選手。しかし、若いモータースポーツ好きを育てたいと考えていたアップガレージは、そんな田口選手のやる気と才能を見逃しませんでした。
D1ドライバーとしてのこれからと、その先へ
ーーー 近い目標と最終目標は?
近い目標で言うと、今開幕前なんですけど、2カテゴリー出ていて、1つのカテゴリーは昨年シリーズ4位で、それを今年はシリーズチャンピオンとして終えたい。
そしてその近い目標が叶うと、ある1つの権利がもらえるんですけど、その今話した大会は元々はアメリカで行われていて、シリーズのランキングによって、そのアメリカのシリーズに出場する権利がもらえるんです。なので今年その権利をなんとかとって、すぐにでもアメリカの本場の大会に出たいというのが遠い目標です。
あと、スーパーGTとか見てたらすごいなーと思います。
谷口選手とかが代表格だと思うんですが、結構僕の個人的な意見ですけど、ドリフトはドリフト、グリップはグリップで同じ車を使った遊びでやってる人もいれば、レースもあるんですけど、結構距離が、お互いが、いやドリフトは・・・いやグリップが・・・というようなイメージがすごく強いので、その壁をモータースポーツの1つの枠として破れたらいいなというのは凄く思っています。
一昨年に、今TEAM UPGARAGE with BANDOHとしてスーパーGT300にアップガレージが参戦してるんですが、そこにメカニックとして同行した事があるんですけど、その時に非常に衝撃を受けました。
ドリフトも頑張ってモータースポーツに1つのカテゴリーとして確立させたいというので、選手も主催側も頑張ってはいるんですけど、まだまだ足りない部分はあって、日本の中で最高峰であるスーパーGTのエントラント側として参加させてもらった時に衝撃を受けた。
それは全てにおいてなんですけど、ドライバーの装備から全ての人の意識とか、まあ、かかってるお金も違いますし・・・。
そういった所で距離を感じつつも、ドリフトに持ち帰りたいと思った部分も非常に多く、参考にさせて頂いている部分は多いです。
ーーー 憧れのドライバーは?
アメリカの選手なんですけど、僕が出たいフォーミュラードリフトの カテゴリーで活躍している選手で、フレデリック=オズボーっていう選手がいて、その選手が、もちろん勝つ時も負ける時もあるんですけど、どちらにしても絶対に見てるお客さんを楽しませてくれるんですよ。
そういったところはドリフトの原点だな~という事で非常に憧れています。
ーーー 最後に今シーズンへの意気込みをお願いします。
去年は結構型にはまって、まとめてしまうラウンドとかもあったので、今年はそんな事なく自分の出来る限りの全力で暴れようと思います。
最終目標はアメリカで開催されている本場のフォーミュラードリフトで活躍する事。そして、ドリフトやグリップなどカテゴリーの枠を超えたモータースポーツの発展に貢献する事だと熱く語ってくれた田口選手。どんな質問をしても車を絡めた話題になってしまう所からも、クルマへの強い愛を感じ、それと同時に、実力はあるものの無名の若手だった田口選手と共に戦う事を選んだアップガレージの本気が伝わってくる気がしました。
2017年3月に茂原ツインサーキットで行ったテスト走行の模様(オンボード)をどうぞ。
まとめ
アップガレージの正社員D1ドライバーとして、普段は神奈川県横浜市青葉区にあるアップガレージ本店で接客業務をしている田口選手。
車、そしてドリフトやモータースポーツについて真剣に語ってくれる傍ら、好きな食べ物は「サーモンのお寿司!回転寿司ではサーモンばっかり15皿とか食べます。」と無邪気な一面も見せてくれました。
そんなTEAM UP GARAGEのメカニックやピットクルーとして休日返上で協力しているのは、田口選手の出身校であるNATS 日本自動車大学校の先生やOBで構成されているという、「タグチカズヤ被害者の会」だそうです。
メンバーは全員、田口選手の人柄や活動、そしてその熱い思いに共感し集まっているので、和気あいあいと真剣に活動している姿は、モータースポーツを心から楽しんでいる事を感じさせてくれました。
モータースポーツを続ける上での大きな関門の1つである資金面。D1GPのエントリーリストを見るとドライバー業のほかに、何か別の本業があったり、社長だったりします。
そんなドリフトの実情に、夢をあきらめてしまう若手選手が非常に多い今日この頃。しかしアップガレージのように、若いドライバーを育てたいと思っている企業やチームも多く存在するのです。
そんな、チャンスを掴み取り、自身でその道筋を示し続ける田口選手の今後の活躍に目が離せません。
そして、これからモータースポーツを目指す若者達の指針的存在であり続けて欲しいと思います。
TEAM UP GARAGE 公式HP(MOTORSPORTS GARAGE)
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