現在、海外では多くの日本人ドライバーが活躍していることをご存知でしょうか。前回は将来が期待される若手ドライバーを中心にご紹介しましたが、世界で活躍しているのは若手だけではないのです。そこで今回は世界で戦う個性豊かな日本人ドライバーのレース活動に迫ってみようと思います。
第1弾はコチラ:世界中で戦う日本人。今、海外で活躍する若手ドライバーを知っていますか?
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世界で活躍しているのは若手だけじゃない!?
世界には多くの日本人ドライバーが海外の様々なカテゴリーで活躍を見せています。
そのキャラクターは若手以上に豊富と言っても過言ではなく、ヨーロッパやアメリカで自身の掲げた目標に向かって挑戦を続けているのです。
国内ではすでに有名な選手だけでなく、レーサー以外の顔を持つ選手まで個性やその目標も人それぞれ!
では、どのような日本人ドライバーが世界で活躍しているのか、さっそく見てみましょう。
国内でも人気、ブランパン耐久選手権で王者に輝いた日本人
最初にご紹介するのは、スーパーGTなど国内レースでもお馴染みとなっている千代勝正です。
国内ではスーパーGTだけでなく全日本F3での活躍も知られていますが、海外ではどのような活動を行っているのでしょうか。
15歳という比較的遅めの年齢でキャリアをスタートさせた千代は、レーシングカートを経て国内フォーミュラであるFCJ(フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン)や全日本F3に参戦してきました。
2013年にマレーシア・メルデカ・耐久レースに出場してからは、海外での活動を広げていき、その翌年にはバサースト12時間耐久レースやニュルブルクリンク24時間レースという世界的なレースに参戦しています。
そんな彼が飛躍を遂げたのは2015年。バサースト12時間レースで優勝を飾ると、ブランパン耐久選手権ではシリーズチャンピオンに輝くという快挙を達成したのです。
また、この年は国内で参戦していたスーパーGT・300クラスでも王者に輝くなど大活躍の1年となりました。
今季もブランパンGT耐久選手権に並行して参戦しており、ポールリカール1000kmやスパ24時間といった世界的レースでの活躍に期待が懸っています。
小さな頃からNASCARを目指し、夢を叶えたドライバー
続いてご紹介するのは、子どもの頃からNASCARに参戦することを夢見てきた日本人ドライバー、古賀琢麻です。
幼稚園の頃にレーシングドライバーになることを志した彼は、その夢を実現させるために小学生のうちから新聞配達のアルバイトを開始し、レースに必要な資金を貯めて自分の力でレーシングカートを始めるという、異色のエピソードを持っています。
23歳の時に念願であったNASCARへの参戦を叶えると、出場したウィークリー・レーシング・シリーズでは最もアグレッシブなレースを見せた選手としてハードチャージャーアワードを受賞しました。
その後も引き続きNASCARへの挑戦を続けると、2005年にはグランド・ナショナル・ディビジョンにフル参戦を果たし、全米オールスター戦にも出場。
これまでキャリアの多くの時間をNASCARで過ごし、今季はNASCAR K&N PRO SERIESにフル参戦すると、先日行われた第6戦ではアジア人初となる5位入賞を達成。
今季序盤から素晴らしい走りを見せており、同シリーズでの表彰台獲得に加え優勝にも期待が高まっています。
日本人初となるヨーロッパのNASCARに挑む男
続いては同じくNASCARに参戦しているもう一人の日本人ドライバーをご紹介します。
今季からNASCARユーロシリーズに参戦を開始した三浦健光(みうら けんこう)です。
2002年に韓国F1800でレースキャリアを始めた三浦はフォーミュラを中心に活動を続け、アジアンF3やアジアン・フォーミュラ・ルノーなどのアジアを中心とした海外のレースで活躍してきました。
2009年以降はレース活動を一時中断していましたが、2014年にランボルギーニ・スーパートロフェオ・シリーズで復帰を果たすと、翌年には富士チャンピオンレースを経て、今季からNASCARユーロシリーズへの参戦を開始しました。
NASCARと言えば北米を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、こちらはヨーロッパを中心に転戦する2009年に創設されたばかりのシリーズです。
今季から参戦を始めた三浦は、このシリーズで戦う唯一の日本人であり、トヨタ・カムリをドライブするということもあって、その挑戦は大きな注目を集めています。
なぜなら、日本人として初めてNASCARユーロシリーズに参戦するのは三浦だけでなく、トヨタにとっても未知のシリーズへの挑戦だからです。
先日開催された第2戦ではトップ10まであと一歩に迫る11位に終わりましたが、今後の活躍に期待が持てる結果を残しています。
日本人ドライバーとメーカーがどのような活躍を見せられるのか、今後が楽しみなところです。
ドクターとレーサー、2つの顔を持つ男たち
ここまでは今後が期待される若手日本人ドライバーをご紹介してきましたが、世界で活躍する日本人ドライバーは若手だけではありません。
37歳でフォーミュラの世界へ足を踏み入れた石川 資章(いしかわ もとあき)は、ブランパン耐久選手権やイタリアGT選手権でフェラーリAFコルセをドライブしています。
そして、レーシングドライバーと医師という2つの顔を持つ彼は、現在50歳という年齢でヨーロッパのレースへ出場しているのです。
彼は37歳となった2004年にF4西日本選手権でフォーミュラの世界へ足を踏み入れると、国内でフォーミュラ・ドリームや全日本F3へ参戦してきました。
また、2011年からはフェラーリが開催するワンメイクレース、フェラーリ・チャレンジ・アジアパシフィックで4シーズンを戦い、2015年にはヴァレルンガ6時間レースにも参戦し、クラス優勝に加え総合2位という素晴らしい結果を収めたのです。
現在はブランパンGT選手権に参戦しており、元F1ドライバーのオリビエ・ベレッタ、ロレンツォ・ボンテッペリらとフェラーリ・488GTを駆り、シルバーストーンでは完走を果たしました。
今季はイタリアGT選手権にも参戦し、ブランパンGT選手権と同様にフェラーリ・488GT3のステアリングを握っています。
また、医師でありながら海外で戦う日本人ドライバーは彼だけではありません。
埼玉県さいたま市に歯科医院を構える小林賢二も、石川と同様に医師とレーシングドライバーという顔を持ち海外のレースで戦っています。
子どもの頃からモータースポーツに憧れていたという小林は31歳にして念願のレースデビューを果たすと、ポルシェ・カレラ・カップ・ジャパンやスーパーGT300クラスに出場し、活動の幅を積極的に広げていきました。
2013年にポルシェ・モービル1・スーパーカップに参戦すると、昨年はホッケンハイムとスパでスポット参戦で出場しています。
スパでは残念ながら予選落ちを喫してしまいましたが、その雪辱を晴らすべく今季は4月に開催された合同テストでのスキルアップを狙い、先日F1スペインGPのサポートレースとして開催された第1戦、第2戦では共に完走を果たしました。
彼が参戦するこのシリーズにはかつてレッドブルのF1リザーブドライバーを務めたミハエル・アマミューラーや、今後ワークス昇格を目指す若手ドライバーも多く、ハイレベルな戦いが繰り広げられています。
その厳しい戦いのなか今年50歳を迎えた小林は、憧れのアイルトン・セナが走っていたモナコでレースをするという目標に向かって、世界で優秀なドライバーとの戦いに挑戦を続けているのです。
まとめ
前回ご紹介した若手ドライバーたちだけでなく、これだけ多くの日本人ドライバーが世界で挑戦を続けています。
その理由は選手によって様々ですが、彼らを見て感じるのは人との戦い以上に自分の目標に向かって突き進むことを楽しんでいるのが特徴ではないでしょうか。
自分との戦いであれば世界に出る必要はあるの?と思われる方もいるかも知れませんが、彼らにとっては「憧れのシリーズに出場したい」「セナが走ったあのコースでレースがしたい」という理由だけで過酷なシリーズに挑戦する意味があるのです。
自分の目標のためだけに世界へ飛び出す彼らも、将来が期待される若手に負けないくらい応援しがいのあるドライバーと言えるのです。
第1弾はコチラ:世界中で戦う日本人。今、海外で活躍する若手ドライバーを知っていますか?
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