先週末、アメリカのサンディエゴで行われたレッドブル・エアレース第2戦。日本人パイロットとして唯一参戦している室屋義秀が、ライバルを寄せ付けない圧巻のフライトで自身2勝目を獲得しました。この一報は、日本国内でも大々的に報じられましたが、“優勝”という言葉以上に“強さ”が光った1戦でもありました。今回は、室屋の全フライトを細かく振り返っていこうと思います。

©︎Red Bull Content Pool

 

予選でペナルティを受けるも10番手タイムでラウンド・オブ・14へ

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まずは、決勝ラウンドへの進出者トップ14人を決める予選。公式練習の段階から速さをみせていた室屋だったが、計測中のゲート通過時に問題があり、2秒加算のペナルティを受けてしまう。それでも1分01秒384で10番手タイムを記録し、決勝ラウンド進出を果たしたのです。

 

ノーペナルティで59秒台を連発。ファイナル4へコマを進める

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14人で争われる決勝ラウンドは、最初の2フライトはトーナメント方式で、1対1の対決となる。室屋は予選5番手だったピーター・マクロードと対決し、予選ではペナルティを取られましたが、夜の間にチームが機体のセッティングをさらに煮詰めてくれたおかげで、さらに精度が上がったフライトを披露します。

一発勝負の緊迫感が漂う中で、59秒280をマーク。0.5秒差で勝利し、2回戦「ラウンド・オブ・8」へ進出したのです。

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続いてはマルティン・ソンカとの対決となります。

ここでも室屋は完璧なフライトを披露し、59秒271を記録。一方のソンカも59秒492と僅差の戦いとなったが、室屋の勝利。

今年初のなる最終ラウンド「ファイナル4」へ進出を果たしたのです。

 

ここ一番で室屋がベストフライトを披露!自身2勝目を獲得

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各対戦を勝ち上がった4人のパイロットで争われる決勝戦「ファイナル4」。室屋はそのトップバッターとして登場します。

そして、ここでもミスのないフライトを披露し、58秒529と決勝ラウンドでのベストタイムを叩き出します。

しかし、ここから強豪パイロットが続々登場。好タイムを出したと言っても、まだ優勝が決まったわけではなく、室屋はピットのモニターで戦況を見つめることになりました。

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王者マティアス・ドルダラー。途中までは室屋を上回るフライトをみせましたが、最後のターンでパイロンに触れてしまい痛恨の3秒ペナルティ。合計で1分1秒648でした。

3番手のカービー・チャンブリスは地元大会ということで、なんとしても勝利がほしいところ。ここでも最初のスプリットタイムで室屋を上回るものの、ゲート10の進入高度が規定より高く2秒加算ペナルティ。

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そしてファイナル4の最終フライトはピーター・ポドランセック。彼にとってキャリア初のファイナル進出だったが、室屋同様にスムーズなフライトを披露。ノーペナルティでフィニッシュしましたが、1分00秒454と、約2秒弱、トップタイムに届きませんでした。

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この結果、室屋が昨年の日本大会以来となるキャリア2勝目を記録。それが決まった瞬間、ガッツポーズをみせ、勝利を喜びました。

 

勢いをつけ、母国日本ラウンドへ

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昨年の初優勝以降、彼の活躍は日本のメディアでも積極的に取り上げられるようになり、これまで以上に日本からの注目・期待度も増した室屋。

しかし、それ以降はなかなか結果を出すことができず苦しい日々が続きました。

今年の開幕戦アブダビでもオーバーGのペナルティをとられ、無念の敗退。

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今回も、予選ではペナルティを取られてしまいましたが、しっかりと良い流れを維持します。

また予選でのフィードバックをもとにチームが機体のセッティングをさらに合わせ込んでくれたことが、決勝日の“スーパーフライト”につながったようでした。

これで、ポイントランキングでは一気に3位へ浮上した室屋。この流れで順調にポイントを稼いでいけば、年間王者の可能性も見えてきます。

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そして、次回は昨年感動に包まれた幕張での日本ラウンド。この勢いで、母国2連覇となるのでしょうか?

ここで、勝つことができればポイントランキングでも優位に立つだけでなく、このサンディエゴから作り出した「良い流れ」を確固たるものにできるのです。

彼にとっては、単なる母国ラウンドというだけでなく、2017シーズンの行方を左右する1戦となるのです。

 

まとめ

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注目の日本ラウンドは6月3~4日に幕張海浜公園で開催されます。

すでにテレビCMなどで大々的に告知されていますが、室屋にとっては大勝負の1戦。

ぜひ、現地に行って、応援してみてはいかがでしょうか。

 

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