ラリーのスペシャルステージだけを切り取ったような、オフロードのタイムアタック「ダートトライアル」。そこで戦う数々の車の中でも、定番と言える車を各クラスごとに紹介します。あなたの愛車や好きな車は、入っていますか!?

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入門クラス・PN1の主力はスズキZC32Sスイフトスポーツ

 

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改造制限がもっとも厳しいPN車両、その1,600cc以下・2WD(FFおよびFR)車で戦われるPN1クラスでは、ジムカーナ同様最新テンロク(1,600cc)コンパクトスポーツとして名高いスズキ スイフトスポーツが定番です。

現行の3代目ZC32Sが最多勢力で、今やPN1クラスの大半を占めており、特に前年度シリーズ上位に与えられるシードゼッケン(番号の頭に「0」がつく)はほぼZC32S。

 

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ただし、旧型の2代目ZC31Sスイフトスポーツもまだ一部で健在で全日本シリーズにも出場が見られるほか、ZC32S以前の主力マシンとして活躍後の払い下げも含め、多くの地区シリーズでは入門マシンとしてまだまだ現役です。

他にはホンダ フィットRS(GK5)やマツダ デミオ15MB(DJLFS)といった現行モデルが全日本ダートトライアルに出場しているほか、かつてZC31Sと主力の座を争ったそれらの先代モデルが地区シリーズ以下では見られることも。

 

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変わったところでは、2017年度全日本シリーズPN1クラスのシードゼッケン、児島 泰 選手がホンダZF2 CR-Zを使っています。

 

86 / BRZがPN2クラス定番で、ヴィッツGRMNターボがそうなれない理由

 

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1,600cc以上・2WD(FFおよびFR)車で戦われるPN2クラスは、これもジムカーナ同様に台数的には2リッターFRスポーツのトヨタ 86(ZN6) / スバル BRZ(ZC6)が定番です。

ただし優位に立つのは1.5リッターターボのトヨタ ヴィッツGRMNターボ(NCP131) で、同じ2WDならFRよりFF軽量マシンの方が有利という形があります。

 

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ヴィッツGRMNターボは152馬力で車重1,070kg。対する86 / BRZは後期型で207馬力なるも、車重はレーシングベースモデルでも1,240kg。

パワーウェイトレシオ(重量あたりの馬力)では86 / BRZが勝りますが、最大トルクはヴィッツの21.0kgm/4,000回転に対し、86 / BRZは21.6kgm/6,400~6,800回転と差が少ない上に、ヴィッツの方が低回転からトルクが出ています。

ただ、ヴィッツGRMNターボのように限定生産車でクラッシュなどで損耗すると補いがつきにくい車は、悪路を全開走行するダートトライアル競技の特性上、主力にはなりにくいかもしれません。

最新で強力な動力性能を持つFK2シビックタイプもいずれ登場するでしょうが、同じ理由で定番車にはなりにくいと思います。

 

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他にはマツダが誇るSKYACTIV-D1.5リッターディーゼルターボ搭載、マツダ デミオXD(DJ5FS)がガソリン車には無い大トルクで今後が期待されています。

 

昔も今も定番、N1クラスを中心に戦い続けるホンダDC2インテグラタイプR

 

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改造制限がPN車両より緩く、競技車両としてのJAF登録年度の制限も無いN車両では、昔からの定番車種が今でも主力となっています。

また、2WDのN車両で戦われるN1クラスは、登場時にFF最速と言われた1.8リッターVTECマシン、ホンダDC2インテグラタイプRが今でも多数派を占めています。

地区シリーズでもこれに4ドア版のDB8が加わるくらいでほぼ同様のラインナップ。

ダートトライアルでもジムカーナでも、DC2 / DB8初代インテグラタイプR抜きにはモータースポーツが成り立たない時代がもう少し続くのではないでしょうか。

 

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他には、やはりかつての主力、ホンダEK9シビックタイプRやEK4シビックSiR、三菱CJ4AミラージュサイボーグRSに日産JN15パルサーVZ-Rも少数ながら現役です。

 

どのカテゴリーでも定番、三菱 ランサーエボリューション

 

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これもジムカーナと同じ現象ですが、2リッター4WDターボが出走できるクラスでは全て新旧の三菱 ランサーエボリューション(以下「ランエボ」)がダートトライアルの定番車種となっています。

全日本シリーズではCZ4A(ランエボX)とCT9A(ランエボVII~IX)が半々といったところですが、CT9AはほとんどがランエボIXまたはIX MR。

名機4G63ターボに可変バルブ機構MIVECを組み込んだ最終発展型を組み込んだランエボIX系の戦闘力は高く、未だにランエボXに匹敵する戦闘力を持っています。

また、4WDのN車両で戦われるN2クラスのほか、ほぼ2002年以上のA車両そのまま、すなわちナンバー付き車両としてはかなり改造制限の緩いSA車両のSA2クラスや、ナンバー無し車両でより広範な改造が可能なSC2クラス、そして規則による安全基準を満たせばワンオフ車両ですら出走可能なD車両も含め、今は4WDの全てにおいて新旧ランエボが主力です。

 

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また、初代GC8から2台目GRBまで新旧インプレッサWRXも走っていますが、少数派です。

 

いずれ定番になるか?スバルVAB WRX STI

 

出典:http://mos.dunlop.co.jp/

 

現在は全日本ダートトライアルで鎌田 卓麻 選手がドライブするなど参戦例はわずかですが、ランエボXが2016年に生産を終了したことに伴い、今後台数を増やしていくと思われるのがスバルVAB WRX STIです。

最後のCT9AであるランエボIXも生産終了から10年を超え、部品供給を考えればいずれCT9Aユーザーは乗り換えを余儀なくされていくでしょう。

その時に2リッター4WDターボにこだわるならば、必然的にCZ4Aかそれに相当するマシンに乗るしか無く、そこで最新マシンとして生産を継続しているVABを選択するユーザーも出てくるかもしれません。

今後のダートトライアルがどういったクラス区分を採用するかにもよりますが、将来の定番車候補としてVABを挙げさせていただきます。

 

まとめ

 

ダートトライアル競技は凹凸の激しい悪路や、それが少ないフラットダートでも路面のミュー(摩擦)が少ないため、外から見る走りは勇壮な反面、クラッシュによる損耗率はどうしても高くなります。

そのため定番車となるためにはただ速いだけではなく「オカワリできる」すなわち入手が容易で安価という条件も必要なのです。

また、慣れたマシンの方が結果的にアクセルを踏み込め速く走れるという理由なのか、車種がほかの競技やレースと比べて非常に豊富です。

その傾向は改造可能範囲が広いクラスほど強く、もっとも改造範囲が広くワンオフマシンですら出走可能なDクラスでは、現行ミラージュベースのマシンも走っています。

ここで紹介した定番マシン以外にも多彩なマシンが見られるので、「いろいろなマシンが走る姿が見たい!」という人には、ダートトライアルを実際に見に行ってみるのもオススメです。

 

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