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アスリートからスターに。佐藤琢磨選手から見える”インディ500を制する”ということ。

第101回インディ500で日本人として初めて優勝を飾った佐藤琢磨選手。歓喜の瞬間から約2週間経った6月中旬に、1週間ほど凱旋帰国し、メディア向けの記者会見やファンイベント、さらにテレビ出演にスポンサーへの挨拶回りと多忙な日々を送っていました。日本でも大々的に報道された彼の快挙ですが、実際にアメリカの反応はどうだったのでしょうか?実際にインディ500に勝つとどういうことが起きたのか?記者会見での佐藤琢磨選手の話を中心にまとめてみました。

©︎INDY CAR

 

レースが終わった後でも続く、インディ500のイベント

 

©︎INDY CAR

 

基本的にレースが終わり、表彰式が終わったら、それらに関するイベントは全て終了とイメージしている方が多いと思います。しかし、インディ500は違います。

日曜日にレースが終わると、翌日は「インディ500ビクトリー・セレブレーション(通称:ビクトリー・バンケット)」と言って、レースを戦ったドライバーも登場してのセレモニー・パーティーが行われます。

もちろん、今回F1から飛び入り参加したフェルナンド・アロンソ選手も出席しました。

会場には、佐藤琢磨選手が乗った26号車のアンドレッティ・オートスポーツのマシンが登場。

そして、ステージに第101回インディ500優勝者として登壇した佐藤選手。なんと、そこで優勝賞金は245万8129ドル(約2億7500万円)ということが明かされ、本人も驚きの表情を見せていました。

 

©︎INDY CAR

 

さらに副賞として、凱旋帰国時にも彼が身につけていたチャンピオンリングや、ライバルのサインが入ったチェッカーフラッグ。さらにペースカー仕様のコルベットまでプレゼントされたのです。

 

©︎Tomohiro Yoshita

 

そして、日本に帰ってくると、ホンダから新型NSXをプレゼント。本人も開発に携わっていただけに、ガッツポーズで喜んでいました。

「一つのステータスとして、インディ500に勝った者にしか与えられないペースカーの仕様。一つの宝物として大事にとっておこうかなと思います」

 

優勝賞金は、実は全部自分のものではない?

 

©︎INDY CAR

 

インディ500優勝により、驚きの大金を手にすることになった佐藤選手ですが、実は全部彼のもの…という訳でないとのこと。

「細かい話をすると、(チームとの)契約でパーセンテージが決まっていて、あれは全部自分のものではないんですよね」

しかし、インディ500では順位ごとに賞金が得られる他、ファステストラップや、レース1周目をトップで帰ってきたドライバーなど、様々な項目に賞金が設けられています。

佐藤選手は、これがアメリカでは一つのステータスになっていると、語りました。

「もちろんお金のためだけにやっているわけではないけれど、僕たちも生活をしなければいけないし、それ以上にリスクも負っています。それだけの対価というのはいただかなければプロとしては…というのはありました」

 

©︎INDY CAR

 

「どのプロスポーツの中でも、モータースポーツは不透明な部分が多いです。そこは、さすがアメリカというか、非常に分かりやすいですね」

「バンケット(ビクトリー・セレブレーション)も全米で中継されて、そこで大金を得るわけなんですが、やっぱりそれが一つのステータスになっています」

「どんなスポーツをみても、賞金王だったりトップを行く選手が信じられないような賞金を獲得しています。羨ましい気持ちもありますが、飛び抜けているので、どんどん行ってほしいと思いますし、見てても楽しいですよね」

「それが、子どもたちの夢にもつながったり、スポーツを通じてやったことが、しっかりと認知されて対価として賞金を得るというのは素晴らしいシステムだと思います」

 

インディ500に勝つと、北米では有名人に!

 

©︎INDY CAR

 

さらに佐藤選手は、インディ500優勝直後のことや、様々なエピソードも話してくれました。

「北米におけるインディ500の認知度と格はすごいんだなと思いましたね。チェッカーフラッグを受けた瞬間から、僕の身体は、自分のものではなくなっていました(笑)」

あの歓喜のチェッカーフラッグ。その瞬間から、色々なところに引っ張りだこになっていくのです。

 

©︎INDY CAR

 

「そこからずっとメディア対応になって、記者会見が終わってから、15本から20本近くのライブインタビューが入っていて、夜の8時30分までレーシングスーツのままでいました。

その後もイベントは続いて、月曜日はバンケットがあって写真撮影があり、その日の夜中にインディカーが持つプライベートジェットに乗ってニューヨークへ移動しました。

翌日(火曜日)は7時前にホテルを出発して、11時間のメディアツアーをやりました。

そして、その日の夜のパーティーを終えてから、また夜中の便で移動というスケジュールでした」

 

©︎INDY CAR

 

「ニューヨークでは、ナスダックのオープンマーケットをやらせてもらったり、本当に光栄でしたし、インタビューもたくさんありました。でも、インディ500があって、そこで勝ったのが日本人だということを街の人たちがみんな知っているんですよね。たくさん声をかけられました」

「それから数日経ってデトロイトのレースに行く直前にレストランで食事をしていたのですが、通っていく人たちが『Congratulation!(おめでとう!)』と声をかけてくれるんです。さらにお店には何も言っていなかったんですが、デザートを頼んだら、ミルクが出てきました(笑)」

「アメリカの新聞では一面で取り上げられましたし、その効果も大きいんだなと感じましたね」

 

インディ500王者になったからこその初体験も?

 

©︎Tomohiro Yoshita

 

もちろん、日本に帰ってきてからも、インディ500で勝ったことの影響を感じたという佐藤選手。

本来なら優勝後すぐに凱旋帰国をしたいところでしたが、連戦でデトロイト、テキサスでレースがあったため6月12日(月)の帰国となりました。

そして、14時過ぎの成田空港の到着ロビーには多くのファンが詰めかけ、大歓声で迎えられました。もちろん、メディアもレース専門媒体はもちろん。テレビ局や新聞社などマスコミも集まり、即囲み取材となり、佐藤選手も終始驚きっぱなしでした。

「信じられなかったです。オリンピック選手とかサッカーW杯とかで凱旋帰国で成田空港で迎えられる、まさにあの光景をまさか自分が受けるとは思っても見なかったです。本当に嬉しかったですし、信じられない思いでいっぱいでした」

その後、13日(火)には青山にあるホンダ本社で記者会見を実施し、14日(水)にはファンイベントも開催。

早朝から入場整理券を配布しましたが、あっという間に予定枚数に達したとのこと。

また、夕方からのイベントはYouTubeでもライブ配信され、録画再生の回数も3万4000回を超えていました。

その他にも、NHKでのテレビ出演をはじめ、各局でも取り上げられ、新聞や一般のメディアにも多数掲載されています。

 

©︎Tomohiro Yoshita

 

さらに!

大阪の道頓堀の顔でもあるグリコの電光広告には、期間限定で佐藤選手のガッツポーズシーンも映し出されました。

実はグリコは彼のスポンサーでもあるため、今回のコラボが実現。渋谷の電光掲示板にも期間限定で登場していたとのことです。

 

インディ500で勝つこと…とは?

 

©︎INDY CAR

 

このレースに勝ったことによって、北米では有名人となっている琢磨選手。しかし、インディ500で勝つことこそが“アメリカン・ドリーム”だと、ファンイベントでその思いを披露しました。

「インディ500に勝つというのは、別格中の別格です。もちろん、勝つために、トップになるためにやっているのだけど、全てが揃っても勝てないレース。夢のまた夢のような話です。でも、本当に不可能ってないし、信じ続けるって凄いし、夢って本当に叶うんだなと改めて感じました。

「それを可能にしてくれたのは、アメリカン・モータースポーツであり、アメリカン・ドリームです」

「インディカーはモータースポーツの究極のエンターテイメント。レースの楽しさというのはこういうものなんだよ。AJフォイトレーシングで1台体制の中で、ペンスキー、アンドレッティ、ガナッシらの4台体制に立ち向かって勝てたんですよね」

 

©︎INDY CAR

 

「1台体制でも勝てる、最後尾からでも勝てる。これこそスポーツだなと思いました。だから夢の夢のように感じますが、不可能ではないんです。あそこのグリッドに並んだ33人全員に勝てる可能性をもたせてくれる、勝てそうな気にさせてくれる。それはインディカーの最大の魅力であり、インディ500を勝つことの難しさ。そして勝った時に信じられないくらい周りから讃えられる瞬間なんですよね」

「このレースって、全ての実力、パッケージ、レースのストラテジー、全部が完璧に揃って、なおかつ最後に誰が勝つか?というインディアナポリスのみが知っている、ちょっとした運みたいなのがあります。それを最後に微笑んでもらえたのは嬉しいです」

 

まとめ

 

今後の目標については、今季のシリーズチャンピオン獲得だと明言している佐藤選手。

最大の目標だったインディ500優勝は叶えられましたが、彼の挑戦はまだまだ続きます!

 

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Writer Introduction
Tomohiro Yoshita

フリーのモータースポーツジャーナリスト。サーキット取材は2011年からスタートし、最近ではSUPER GTスーパーフォーミュラを全戦取材。この他にもF1をはじめとする海外レースや、2輪レースもカバー。レースに関する記事だけでなく、サーキットに来場するファンに役立つ情報発信も展開しています。

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