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どの世界でも困難な世代交代を鮮やかに成功させた偉大なる2代目!トヨタ S40系クラウン

戦後、GHQによる乗用車生産解禁と同時に多数の習作を生み出していたトヨタが1955年にようやく発売したトヨタ初の純国産乗用車、初代クラウンは好評を得て現在は『名車』の仲間入りをしていますが、名車と言われるほど難しいのがモデルチェンジです。その命題に取り組んで見事成功、後のセンチュリーにつながるクラウンエイトも送り出したのが、2代目トヨペット クラウンRS40系でした。

2代目RS41トヨペット クラウン 出典:https://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0116_ToyopetCrownModelRS41.html

 

『偉大なる先駆者』の2代目はライバル揃い

2代目トヨペット クラウン 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/text/entering_the_automotive_business/chapter1/section1/item3.html

トヨペットSA(1947年)からトヨペット スーパーRH(1953年)まで、ボディは半ばコーチビルダーの手作業で製作していた戦後トヨタの習作乗用車を経て、初代トヨペット・クラウン(1955年)でようやくメーカー一貫生産の本格乗用車を生み出したトヨタ。

デビュー当初のライバルは海外メーカーのライセンス生産車を除けばプリンス セダン(1952年)くらいでしたが、1960年に入ると日産・セドリック、プリンス・グロリアといった強力なライバルが続々登場してきます。

そんな中、途中で排気量アップしたとはいえ基本的には現在より一回り小さい旧小型車(5ナンバー車)規格で作られていた初代クラウンもウカウカしておれず、初のモデルチェンジで1962年10月に2代目RS40系が発売されました。

新しい小型車規格に合わせてボディを大型化して全幅は早くも5ナンバー枠いっぱいの1,695mmに拡大されたほか、初代でノウハウを手に入れていた豪華なデラックス路線も健在。

また、商用車版マスターラインの乗用ステーションワゴンモデル、クラウンカスタムの初設定や、1965年11月のマイナーチェンジで歴代初の2L直6SOHCエンジンM型を搭載するなど、以降のクラウンのスタンダードが次第に確立されていきました。

 

第1回日本グランプリで大いにアピールした魅力

1963年第1回日本グランプリC-VIクラス優勝!多賀 弘明の2代目トヨペット・クラウン 出典:https://gazoo.com/article/car_history/140509_1.html

先駆者として後発のライバルに優位点をアピールする場に飢えていたトヨタにとって、2代目クラウンデビュー翌年の1963年、鈴鹿サーキットで開催された第1回日本グランプリはユーザーへ格好のアピールの場でした。

一応、各メーカーとも「グランプリへは積極的に関与しない」と紳士協定を結んでいましたが、フタを開ければトヨタはサスペンションなどを強化したマシンに腕利きの契約ドライバーを乗せたセミワークス体制で挑み、他メーカー、特にプリンスを唖然とさせます。

しかしレースは結果が全てで、トヨタ車は出場した3クラスで優勝。

パブリカ(初代)、コロナ(2代目)とともに2代目クラウンもツーリングカー最大排気量のC-VIクラスでいすゞ ベレルや日産 セドリックを押しのけ見事に優勝し、グランプリでの勝利を誇らしげに掲載した新聞広告は格好の宣伝材料になりました。

もちろん、単にちょっとイジった車とドライバーの腕だけで勝てるほどレースは甘くありませんが、先代のラダーフレームから高剛性のX型フレームへ変更、リアにリーフスプリングとはいえ5リンクサスペンションを採用するなど先駆者として有利な面もあります。

グランプリの方は翌1964年の第2回でプリンス勢の見事な逆襲を喰らいますが、クラウンそのものは1965年のM型直6エンジン追加、フロントディスクブレーキやツインキャブ装着でスポーティな『クラウンS』の登場などで、人気を不動のものにしていたのです。

 

センチュリーへと続く第1歩、クラウンエイト

トヨペット VG40 クラウンエイト 出典:https://gazoo.com/car/newcar/vehicle_info/Pages/detail.aspx?MAKER_CD=A&CARTYPE_CD=A12&GENERATION=-1&CARNAME=%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%88

人気の高級乗用車としてライバルに先行していた2代目クラウンですが、こと官公庁や大企業、富裕層などVIP向けのお抱え運転手付きショーファードリブンカーには、モデルチェンジ時点でまだ手をつけていませんでした。

それらの用途は未だに輸入大型高級車がメインで、何とか国産VIPカーを作りたいところでしたが、先陣を切った日産・セドリック スペシャル(1963年2月)に続き、トヨタも1964年4月にクラウンエイトを発売します。

基本的には2代目クラウンの大型版に新型の2.6L V8OHVエンジンV型を搭載したものでしたが、セドリック スペシャルやプリンス グランドグロリアがストレッチ(延長)ボディに直6エンジンを搭載したのみなのに比べ、V8エンジンと大幅に拡幅した全幅が特徴です。

特に、ホイールベースと全長を延長したとはいえ全幅だけは1,700mm以内と5ナンバーサイズに収めてお茶を濁したライバルに対し、現在の大型セダンにも匹敵する1,845mmまでワイド化したクラウンエイトの居住性は素晴らしいものでした。

皇族向けVIPカーこそ宮内庁と太いパイプを持つプリンス・グランドグロリアにさらわれましたが、クラウンエイトも総理大臣専用公用車に採用されるなど実績を積んでいきます。

ただし、ボディを大幅に拡大したとはいえデザインがひと目でわかるほど2代目クラウンそのままという点が大型高級車としての風格に欠けたという指摘もあり、後継車センチュリーはクラウンとは全く異なる、『日本のフラッグシップ』にふさわしい姿を目指しました。

 

主要スペックと中古車相場

2代目トヨペット クラウン 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60004715/

トヨタ RS41 クラウン デラックス 1962年式

全長×全幅×全高(mm):4,610×1,695×1,460

ホイールベース(mm):2,690

車両重量(kg):1,265

エンジン仕様・型式:3R 水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,897

最高出力:90ps/5,000rpm(グロス値)

最大トルク:14.5kgm/3,400rpm(同上)

トランスミッション:コラム式3MT

駆動方式:FR

中古車相場:138万~250万円(各型含む)

 

まとめ

創始者が優秀で偉大であるほど2代目に同じことを期待するのは難しい、というのはどの世界でも、人間に限らずあらゆる製品でも難しいものですが、2代目クラウンの開発者にも相当なプレッシャーがかかったものと思います。

しかし、「より斬新で、より大きく、より高性能で、より豪華に」をキャッチフレーズとした開発で、2代目クラウンというより新型車を開発したような変貌を遂げ、こうした守りでは無く攻めの姿勢が2代目クラウンの成功をもたらしました。

以降、その攻めの姿勢が時には致命的とも言える不評を得ることもあったものの、全体的にクラウンのモデルチェンジは毎回成功を収め、現在でも伝統の車名で新しい価値観をユーザーに提案し続けています。

その始まりが2代目クラウンだったと思えば、初代に次ぐ偉大な存在かもしれません。

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 その後はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっていました。

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