日野系のブリスカとトヨタ系のライトスタウトを統合した1t積みボンネットトラックとして出発したトヨタ・ハイラックスですが、3代目では1クラス上のスタウトと共通のボディを使った結果、それまでには無かったダブルキャブも設定。初の4WD車も登場して日本でも初期のRVブームに乗っかる形で、今でいう『SUV』としての人気を得るなど大きな転機となったモデルです。

 

3代目トヨタ ハイラックス / © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

仕事グルマから『日本生まれのアメリカ育ち』なレジャー用途を強調した3代目

 

3代目トヨタ ハイラックス。まだまだ仕事グルマだった日本でのハイラックスは当初ガソリンエンジンが2リッターの12Rのみだったが、スポーツトラックとして『SR5』グレードもラインナップした北米仕様では2.2リッターの20Rも搭載した。 / © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

1978年9月にモデルチェンジした3代目は、大きな丸目4灯式ヘッドライトとその間に横長のグリルを挟み、現代でもよく見かける『ちょっと昔のハイラックスの形』が完成したモデルでした。

日本でも一時期設定されていた2リッターの『ハイウェイ』モデルは設定されず、ガソリンエンジンは厳しい排ガス規制をクリアした1.6リッターの12R-Jのみとなったものの、フロアシフト2人乗り仕様は残されています。

エンジンについては後に2.2リッターディーゼルのL型が搭載されてトルク不足を補い、経済性も高めたものの、それ以上にハイラックスという車自体がこの3代目では大きく変わりました。

2代目まではあくまでシングルキャブにコラムシフト、ベンチシートで3人乗りの1t積みボンネットトラック、すなわち『はたらくくるま』で、カタログもカジュアルながら仕事グルマとしての優位点を強調してきましたが、3代目ハイラックス発売当初のカタログの表紙は『日本生まれのアメリカ育ち HILUX California』という文字の下に鮮やかなオレンジ色のハイラックスが登場。

ピックアップトラックを遊びに使うアメリカンなライフスタイルを持ち込む気マンマンという姿勢が前面に押し出されていました。

 

スタウトとのボディ共用でダブルキャブ車登場、4WDも追加して時代はRVブームへ

 

ハイラックスは3代目にして初のダブルキャブ車、4WD車を設定し、RVブームにも対応していった。 / © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

3代目ハイラックスの登場と同時期、1ランク上のボンネットトラック『スタウト』も実に19年ぶりのモデルチェンジを1979年に控えており、1年早く登場したハイラックスとキャビンは共用化されました。

車格や積載量の違いもあってスタウトがオーバーフェンダーつき、ハイラックスには無しという違いはありましたが、元々スタウトに存在したダブルキャブがボディ共用化によってハイラックスにも使えるようになり、1981年10月のマイナーチェンジで追加。

それ以前からシングルキャブの『スーパーデラックス』はキャビンが後方に90mm延長されたいわゆる『キングキャブ』仕様で、その分荷台は65mm短くなったものの快適性は大きく向上。

そこにダブルキャブが追加され、乗用車並の乗車人数も手に入れています。

 

3代目ハイラックスのフロアシフト車では内装で乗用車との見分けがもうつかない。そしてこれがRVブームに乗ったクロカン車の証だった。/ © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

それに先立つ1979年にはランドクルーザーのパワートレーンを流用され、2リッターガソリンエンジンの18R-Jと組み合わせた4WDモデルも登場。

後に4WDモデルはL型ディーゼルやダブルキャブとも組み合わせられるようになりますが、その頃の日本では初代三菱 パジェロを契機とした『RV(レクリエーショナル・ビークル。現在でいうSUV)』ブームが到来し、3代目ハイラックスはこの波に見事乗る事ができたのです。

RVらしい遊び用乗用車的な内外装を得て、この次世代から乗用バージョンをハイラックスサーフとして独立させて本格的にSUVとしての道を歩み始めますが、3代目ハイラックスはその先駆けとなりました。

 

主なスペックと中古車相場

 

3代目トヨタ ハイラックス ロングボデー3人乗りスーパーデラックス / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60015540/

 

トヨタ RN40 ハイラックス ロングボデー 3人乗りスーパーデラックス 1978年式

全長×全幅×全高(mm):4,690×1,610×1,560

ホイールベース(mm):2,800

車両重量(kg):1,085

エンジン仕様・型式:12R-J 水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):1,587

最高出力:59kw(80ps)/5,200rpm(※グロス値)

最大トルク:123N・m(12.5kgm)/3,000rpm(※同上)

トランスミッション:コラム4MT

駆動方式:FR

中古車相場:178万円(シングルキャブ4WD)

 

まとめ

 

3代目ハイラックスのロングボデーならバイクのトランポとしても悠々。日本でいえば軽トラのような感覚でアメリカで流行り、時代のハイラックスベースSUV『4ランナー』(日本名ハイラックスサーフ)につながっていく。 / © 1995-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

 

3代目ハイラックスが登場した1978年は、現在の視点から見れば『個人向け乗用車が多数世に出たモータリゼーション時代』、そして『オイルショックとマスキー法による厳しい低燃費・低排出ガスをクリアしなければいけなかった時代』が一段落した頃です。

それまでは何だかんだで自動車とはちょっとばかり高い財産であり、安い車でも新車でセダンを買って休日に家族でお出かけなどはまだまだ贅沢。

社用のライトバンを休日に自家用でも使わせてもらうのが当たり前という時代でした。

しかし、東京オリンピック直後の大不況やオイルショックという一時的低迷はありつつも日本経済は右肩上がりで、ようやく『一家に一台マイカー時代』が到来しつつあり、余裕のある中流以上の家庭ではセカンドカーや付加価値の高い車を欲しがり始めます。

そんな時代にダブルキャブや4WDを追加してきた3代目ハイラックスは、当時『新時代のマイカー』に見えたに違いありません。

世界有数の先進国として自信を得た日本国民が、力強くタフな車をこぞって求める時代はすぐそこまで来ていました。

 

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