1991年発売の5代目から4ドアセダンは『シビックフェリオ』を名乗るようになったシビックセダン。シビックとしては通算6代目となる2代目シビックフェリオは1995年に発売され、タイプRこそ設定されなかったものの最強バージョンのSiやスポーティ版Vi-RSといった、3ドアハッチバックとは違う独自のグレード展開をしていました。
時代の境目で後期から存在感が希薄になっていった、2代目シビックフェリオ
5代目でハッチバックやシャトルから独立したシビック4ドアセダンには、『シビックフェリオ』の名が与えられたまま1995年9月にモデルチェンジ。
2代目(通算6代目)シビックフェリオとしてデビューします。
そしてこの頃のホンダはオデッセイやステップワゴン、CR-Vといった『クリエイティブ ムーバー』シリーズのRVが出たばかりで、まだ現在のようなミニバン/SUV王国というわけではなく、まだまだシビックのように従来型のハッチバック車やセダンが主力。
さらにバブル崩壊の影響により、当時3チャンネル体制だった販売店を支えるためにラインナップの増加を迫られた事や、コンチェルトに続きシビックとはあくまで独立車種だった初代ドマー二の後継車をコストダウンのためシビックのデザイン違いとする必要にも迫られます。
そのため、ホンダプリモ店のみで販売していたシビックフェリオには、ホンダクリオ店向けの2代目『ドマーニ』、ホンダベルノ店向けの『インテグラSJ』といった兄弟車が作られ、事実上ホンダ全ディーラーで販売されるようになったのです。
しかしクリエイティブ ムーバーの成功でユーザーがミニバンやSUVに乗り換え、スポーツモデルもインテグラやシビックハッチバックの『タイプR』に流れていった結果、タイプRを除くシビックシリーズは急激に存在感を薄めていきました。
最後の高性能バージョンやスポーティグレードが設定されるも、タイプRは無し
先代ではハッチバック同様の高性能バージョン『SiR』グレードが設定されたシビックフェリオは、2代目でも『SiR』相当のB16A型DOHC VTECエンジン搭載車は設定されましたが、グレード名は『Si』とRが外れます。
また、モデルチェンジ当初はパワステもエアコンも無い軽量バージョンのレーシングベースグレード『Si』と、快適装備を追加した高性能・最上級グレード『Si・II』がラインナップされていましたが、1997年8月にSi・IIが『Si』へ改名されレーシングベースグレードは廃止。
これはハッチバックへ新たに初代『シビックタイプR』(EK9)が登場し、従来のシビックSiR(レーシングベースグレード)がその役目を終えて廃止された事に歩調を合わせた変更でした。
ちなみにシビックフェリオにはタイプRが設定されなかったので、この瞬間にシビックフェリオからレーシングイメージは消失し、Siも単なる高性能豪華グレードとなります。
代わりに1998年9月のマイナーチェンジで登場したのは、タイプR同様にフロントのホンダエンブレムをフロントグリルからボンネットへ移し、代わりに『RS』エンブレムが貼られたスポーティグレード『Vi-RS』。
フルエアロやSiのサスペンションが標準装備されましたが、グレード名を見ればわかるように中身はあくまで環境志向な1.5リッター3ステージSOHC VTECを搭載したD15Bエンジンで、初代シビックRSを思わせるスポーツイメージはあくまでグレード名と外見のみでした。
主なスペックと中古車相場
ホンダ EK4 シビックフェリオ Si 1995年式
全長×全幅×全高(mm):4,450×1,695×1,390
ホイールベース(mm):2,620
車両重量(kg):1,090
エンジン仕様・型式:B16A 水冷直列4気筒DOHC16バルブ VTEC
総排気量(cc):1,595
最高出力:125kw(170ps)/7,800rpm
最大トルク:157N・m(16.0kgm)/7,300rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:FF
中古車相場:15万~109万円
まとめ
先代より一回り大型化、4ドアセダンとしての快適性を増した2代目シビックフェリオでしたが、引き換えに重量、特に前後オーバーハングの増加は激しく、軽快な旋回性能を失ってスポーツ走行には少々厳しい車となります。
2代後のシビックタイプR(FD2)が4ドアセダンながらタイプRを成立させる代わり、サスペンションをギッチリ固めて快適性と引き換えに走行性能を向上させましたが、2代目シビックフェリオにはハッチバック版にタイプRがあったので、その必要性はありませんでした。
それでも新車販売当時の1.6リッタークラス4ドアセダンとしては別格の性能を誇りましたが、ミニバンやSUVといったRVブームの渦中ではもはやFF小型スポーツセダンは求められておらず、次の3代目シビックフェリオは普通のファミリーセダンとなります。
その結果、この2代目はシビックフェリオとして最後の『スポーツセダン』となりましたが、主役はあくまで低排出ガス・低燃費の環境志向グレードでした。
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