鈴鹿8時間耐久レースが、EWCシリーズの一戦であることをご存知ですか?EWCとは、バイクの世界耐久選手権であり、ライダーの技量だけでなく長時間全開走行をしても壊れない耐久性とピットワークなどのチーム力が重要となるレースです。そのうちの日本GPである鈴鹿8時間耐久レースには、日本人ライダーが多く参戦し世界各国で放送されるほど注目されます。また、その中にはEWCにレギュラー参戦している海外レーシングチームも多く存在して鈴鹿8耐の盛り上げに一役買っています。そんな鈴鹿8耐のも親する、EWCの詳細や注目どころなどご紹介します。
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EWCとは
EWCは世界耐久選手権(Endurance World Championship)のことであり、FIM(国際モーターサイクリスト連盟)が開催するバイクレースのひとつです。
MotoGP(ロードレース世界選手権)やWSBK(スーパーバイク世界選手権)に比べれば日本では知名度が低いかもしれませんが、EWCの歴史は古く、日本の4大メーカーも積極的に参戦している世界最高峰の耐久レースシリーズ戦です。
EWCの歴史
バイク耐久レースは1894年から公道を閉鎖して行われており、1922年にバイク耐久レースで最も有名なボルドール24時間耐久レースが開催されました。
その後、1951年からヴァルサージュ24時間レース(ベルギー)、1955年からスラクストン500マイル(イギリス)、1957年からバルセロナ24時間レース(スペイン)とモンツァ24時間レース(イタリア)など、大きな規模の耐久レースが行われるようになり、FIMが1960年にFIM耐久カップを立上げ、これらの耐久レースをFIM耐久カップのレースとしてシリーズ戦にしたのがEWCの始まりです。
FIM耐久カップの初年度は、スラクストン500マイル、ボルドール24時間、ヴァルサージュ24時間、モンジュイック24時間の4レースで行われました。
EWCの概要
EWCはフォーミュラEWC(Formula EWC)、スーパーストック(Superstock)、スーパーツイン(Supertwin)、エキスぺリメンタル(Experimental)の4クラス混走で行われ、2017~2018シーズンではフォーミュラEWCに19チーム、スーパーストックに14チーム、合計33チームがフル参戦する予定となっています。
開催期間は、2017年9月のボルドール24時間から2018年7月に行われる鈴鹿8耐までの全5戦で行い、レースの順位で各チームにポイントが与えられ、5戦通して最もポイントが多いチームにシリーズチャンピオンの栄冠が輝くのです。
2017~2018年シリーズのスケジュール
大会名 | 開催地 | 開催日 | 開催サーキット | |
---|---|---|---|---|
Rd.01 | Bol d’Or | フランス | 2017年9月16~17日 | ポールリカールサーキット |
Rd.02 | 24h MOTOS | フランス ル・マン | 2018年4月21~22日 | ブガッティサーキット |
Rd.03 | 8 HOURS SLOVAKIA RING | スロバキア | 2018年5月12日 | スロバキア リング サーキット |
Rd.04 | 8 Hours of Oschersleben | ドイツ | 2018年6月9日 | モートルシュポルト・アリーナ・オッシャースレーベン |
Rd.05 | 鈴鹿8時間耐久レース | 日本 | 2018年7月29日 | 鈴鹿サーキット |
MotoGPやWSBKとの違い
EWCは、WSBKや全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスのように市販車ベースの改造車で行われ、2017~2018年シーズンはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ、BMWの5メーカーのバイクが出走しています。
しかしMotoGPやWSBKとは違い、年を跨いでシリーズ戦が行われるためシーズン年の表記は「○○○○~○○○○年」と表記される事も特徴です。
EWCマシンレギュレーション
EWCは、フォーミュラEWCクラス(Formula EWC|略名:EWC)、スーパーストッククラス(Superstock|略名:SST)、スーパーツイン(Supertwin|略名:STW)、エキスぺリメンタル(Experimental|略名:EXP)の4クラスがあり、フル参戦のチームはEWCクラスとSSTクラスのみで、スポット参戦枠でSTWクラスやEWPクラスに参戦するチームも存在します。
EWCクラスは、排気量600cc以上1000ccの4ストローク4気筒エンジン、750cc以上1000ccの4ストローク3気筒エンジン、850cc以上1200 ccの4ストローク2気筒エンジンのいずれかを搭載したバイクで、最小車重は夜間走行がない場合170kg、夜間走行でランプを取り付ける場合は175kg。
また、ガソリンタンクの容量は24Lで、予選決勝を通した使用可能タイヤ本数は8時間レースで20本、12時間レースで27本、24時間レースで45本と決まっています。
改造範囲は広く、WSBKやJSB(全日本JSB1000クラス)のマシンとかなり近い性能です。
そしてSSTクラスは、排気量750cc以上1000ccで4ストローク4気筒または3気筒のエンジンか、850cc以上1200ccで4ストローク2気筒のエンジンを搭載し、夜間走行がない場合は市販車の乾燥重量からマイナス12kgまで、夜間走行でランプを取り付ける場合は市販車の乾燥重量からマイナス9kgまでの軽量化が認められて、EWCクラスより改造範囲が極端に狭くノーマルに近いマシンで争われます。
STWクラスは排気量750から1350ccまでの2気筒エンジンが搭載されたバイクでEWCクラスよりも改造範囲が広く、EXPクラスではさらに改造範囲が広く過給器やハイブリッドシステムの搭載も認められているクラスとなっています。
なぜ鈴鹿8耐がEWCの最終戦なのか?
EWCは比較的涼しい時期にヨーロッパのサーキットを中心にレースが行われますが、対照的に鈴鹿8耐は高温多湿な夏季の日本で行われ、マシンとライダー、チームにとってかなりの消耗戦となります。
しかし、日本4メーカーのお膝元であることや、メーカー直系のワークスチームも参戦し、MotoGPとWSBKのライダーの参戦もあるため、8時間もありながらスプリントレース並みのラップタイムで周回を重ねるのです。
そんな鈴鹿8耐は、世界中でTV放映が行われたことで注目が集まりました。
特にユーロスポーツチャンネルで放送した時の視聴者は多く、反響の大きさにEWC運営側が目を付け、EWCのクライマックスを締めくくるレースとして鈴鹿8耐が選ばれたのです。
EWCの注目マシン&ライダー
Honda Endurance Racing
Honda Endurance Racingは、今年でEWCに5年連続出場をしているチームです。
チームはホンダが運営するワークス体制に近く、マシンはCBR1000RR Fireblade SP2を使用。
ライダーはセバスティアン・ジンバート、グレゴリー・ルブラン、ヨニー・ヘルナンデスの3人で、チーム監督をジョニー・トゥエルヴツリーズが務めます。
SERT(スズキ・エンデュランス・レーシングチーム)
スズキはEWCでこれまで15回ものシリーズチャンピオンを獲得し、2015-2016年シーズンでもタイトルを獲得した強豪チームなので今シーズンもトップ争いに絡むことは確実でしょう。
SERTはスズキが全面サポートするワークス体制のチームであり、マシンはスズキGSX-1000Rを使用。
ライダーは、ヴィンセントフィリップ、エティエンヌマッソン、アレックス・カドリンの3人で、チーム監督をドミニク・メリアンデが務めます。
GMT94 Yamaha Official EWC Team
GMT94 Yamaha Official EWC Teamは、2016-2017年シーズンのチャンピオンで、9月に行われたボルドール24時間耐久レースでは優勝をおさめた今年のシリーズチャンピオン最有力候補です。
フランス・パリを拠点に1990年代から活動しているエンデュランスレースのヤマハオフィシャルチームで、マシンはYZF-R1を使用。
ライダーは、デビット・チェカ、マイク・ディ・メリオ、ニッコロ・カネパで、チーム監督はクリストファー・ギィオが務めます。
EWCを見るならここが見どころ!
EWCは耐久レースでありながらも、マシンやタイヤの性能が上がってきたことでスプリントレースのようなバトルがサーキットのあちらこちらで繰り広げられます。
MotoGPやWSBKでは見ることのない、給油やタイヤ交換のピットワーク、ヘッドランプを点灯してからのナイトレースなどは耐久レースならではで、1度は見て頂きたい見どころの1つです。
まとめ
EWCはMotoGPやWSBKとと同様にバイクレースの世界最高峰であり、世界中の耐久レーススペシャリストが長時間繰り広げる攻防は、MotoGPやWSBKとは違った迫力と魅力を兼ね備えます。
耐久レースといえばやっぱり鈴鹿8耐と思ってしまいがちですが、今シーズンから鈴鹿8耐以外のEWCレースもチェックしてみてはいかがでしょうか。
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