大学自動車部ってどんな団体なの?その実態に迫る短期連載企画。前編では自動車部のレース以外の活動などについてご紹介しましたが、後編では自動車部の主な活動でもある、全日本学生自動車連盟(通称:AJSAA)主催のもと開催されている、ジムカーナ・ダートトライアル・フィギュアなどの競技について詳しく紹介していきます。

 

出典:千葉工業大学体育会自動車部

 

 

ジムカーナ

 

出典:法政大学体育会自動車部

 

JAF主催により、全日本クラスの大会も開催されているジムカーナはスーパー耐久やスーパーGTと比べるとマイナー競技ですが、れっきとしたモータースポーツのひとつです。

各大学から男子3名 女子2名ずつ出場することができ、AJSAA主催の3種目の中では一番気軽に参加しやすい競技のため、支部大会と全日本大会においては最も参加大学数が多く、年々競争も激しくなっています。

また、5月にある関東大会は富士スピードウェイのジムカーナコースで開催される完全なパイロンジムカーナですが、8月の全日本大会は鈴鹿サーキット国際南コースで開催される本格的なコースジムカーナです。

さらに、支部大会と全日本大会のどちらにもJAFの全日本シリーズに出場している自動車部OB選手などがデモランナーとして来てくださるのですが、まれにそのタイムを学生が抜くということも!

ちなみにMotorzでは、以前に関東大会の取材を行っており、車両のレギュレーション等、さらに詳しい情報は合わせてこちらをご覧ください!

 

ダートトライアル

 

出典:法政大学体育会自動車部

 

こちらもJAFで全日本大会が開催されているため、モータースポーツに詳しい方には馴染み深い競技のひとつではないでしょうか。

AJSAAの関東支部大会は丸和オートランド那須で開催され、全日本大会は偶数年が広島のテクニックステージタカタ、奇数年が栃木の丸和オートランド那須で開催されます。

こちらも各大学で男子3名、女子2名ずつ出場することができ、競技のルールなどはJAF主催の大会とあまり変わりませんが、特徴的なのはその出場車両。

ジムカーナ以上に多彩なラインナップで、シビック・インテグラをはじめスターレット(EP82・EP91)、ジェミニなど思わず「まだ現役なの!?」と言ってしまいそうな車両が入賞争いをしています。

また、車両がクラッシュしてしまう事が多いのもこの競技の特徴です。

そのため、ダートトライアルで使用されるのは比較的壊れてもいい車。

V-TECを搭載しているためジムカーナで有利なインテグラやシビックよりも、スターレットなどの車両が使われることが多い傾向にあります。

そして、クラッシュすることが多いダートトライアルでは2人目のドライバーまで良いタイムを残せても3人目でクラッシュしてしまい、リタイアするという可能性も高く、そうなると3人の合計タイムが算出できないため、団体の順位が残せず、団体の総合杯獲得が不可能に。

いかに無事走り切って次のドライバーにつなげるか、次のドライバーの出走までに素早く修理をするかが団体戦で入賞する鍵となるのです。

 

フィギュア

 

出典:法政大学体育会自動車部

 

ジムカーナやダートトライアルは聞き覚えがあるかもしれませんが、このフィギュアは他の競技に比べると独特で、あまり馴染みがないかもしれません。

正式名称は「自動車運転競技選手権大会」といい、こちらも以前に特集した記事があるので、参考にしてみてくださいね。

 

あえて似たような競技を挙げるとすれば、教習所指導員による四輪の安全運転競技大会が近いかもしれません。

細かいルールやコース設定は違いますが、通常走行の運転技術を競い合う大会です。

競技車両は協賛企業のニッポンレンタカーから用意され、マツダ・デミオのようなコンパクトカーといすゞ・エルフのような小型トラックの2車種で行われます。

それぞれ車両のキレ角やホイールベース、全長や全幅などを体に叩き込み、コース上の線と紙缶を踏まずになめらかなステアリング操作と車両の位置を把握することによって、少ない手数と短い時間でミスなくコースを走り切ることを目指すのです。

コンパクトカーを扱う小型乗用の部と小型トラックを扱う小型貨物の部には、それぞれ男子2名、女子1名が出場可能。

非常に地味な印象かもしれませんが、ジムカーナやダートトライアル以上にドライバーの腕が問われる競技で、努力した分だけ上手くなれるのも、フィギュアの魅力です。

ちなみに、スポーツ走行は苦手でもフィギュアには自信があるといった部員も多数おり、また車両感覚や車両動作の基本が鍛えられるため、日常の運転にも役立つことが多いのも特徴となっています。

 

エコドライブなどその他の種目

 

出典:www.ajsaa.org/edc/category/race/

 

AJSAAが主催する全日本エコドライブチャンピオンシップは、支部大会は開催されず総合杯にも関係ない大会で、例年、全日本学生ジムカーナ選手権大会が開催された翌日に鈴鹿サーキット国際レーシングコースで行われます。

競技車両はトヨタ・日産・ホンダのエコカーが各メーカーから用意され、チャレンジ・サーキット・テクニカルの3カテゴリーでタイムと燃費を競う競技です。

コースのタイムと燃費の良さのそれぞれで順位をつけ、1位から多くのポイントが与えられるのですが、車両によってタイムと燃費のポイント配分が異なっており、どのように走るのかという戦略も重要!

AJSAAが主催の大会の中では唯一、一般の部があり、参加希望の方は同大会の事務局で、参加申し込みをして頂けます。

http://www.ajsaa.org/edc/

 

また、大手企業からの協賛もあり、各企業のブースや有名レーシングドライバーまで参加するので、かなり華やかなレースが展開される事に。

2017年は元F1ドライバーの片山右京氏や、千代勝正選手、ロニー・クインタレッリ選手、坪井翔選手などが参加しており、写真撮影会があったり気軽に会話することもできるので、大学自動車部に興味がなくてもモータースポーツファンの方に満足して頂ける内容となっています。

この大会は入場無料で、大会の走行開始は12時からですが、10時ごろから各ブースで展示やイベントが開催されています。

豪華ゲスト(?)の登場予定もありますので、ご興味がある方は是非お越しください!

また、各支部でも総合杯には関係しない独自の大会を開催。

関東支部では毎年10月上旬に長野県にある信州スポーツランドにて軽自動車6時間耐久レースを行っています。

このレースは、大会側から用意されたバイオエタノール配合燃料のみが使用可能というユニークなレギュレーションで、学生だけでなく、OBチームも参加するのが特徴です。

関西支部も大学自動車部ではここでしか行われていない競技『オートテスト』の大会を開いています。

ちなみにオートテストとはイギリス発祥のモータースポーツで、ジムカーナにバックギアや180°ターンセクションを加えたような競技です。

近年、JAFがスーパーの駐車場などを利用して開催しており、ライセンスやヘルメットなどのレーシング装備も必要なく、普段使用している車で気軽に参加できるのが特徴です。

出典:法政大学体育会自動車部

まとめ

前後篇に分けてお届けした大学自動車部の実態でしたが、いかがでしたでしょうか?

各大会で優勝することはもちろんですが、学生たちの悲願は各大会の順位に応じてもらえるポイントによって得られる総合杯を獲得することです。

団体と個人ともに総合杯を獲得するにはひとつの競技に特化するのではなく、全ての競技に強いチームにまとめ上げる必要があり、それが難しくも面白いところなのです。

 

そして、2018年2月24日にはツインリンクもてぎマルチコースで8時から関東の大学自動車部卒業生が「新人戦」を開催予定です。

この「新人戦」とは関東の大学自動車部の卒業生が主催する、各大学自動車部の1・2年生のみがエントリーできるジムカーナの大会で、毎年多くの部員が参加しており、豪華景品や各大学が所有する新人戦専用の面白い車が登場したりするお祭りのような大会です。

お時間のある方はぜひ覗きにに来てください!

Motorzではこれからも全国の大学自動車部の活動や大会のレポートをお届けしていきますので、お楽しみに!

 

イベント名:関東学生自動車部 新人戦2019

場所:ツインリンクもてぎ マルチコース

住所:〒321-3533 栃木県芳賀郡茂木町桧山

開催日時:2018年2月24日(土) 8時〜17時

入場料:無料(別途ツインリンクもてぎへの入場料・駐車料がかかります)

 

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