かつて日産の一般向け高級セダンで双璧をなしたセドリック / グロリア(通称セドグロ)。元々1966年に吸収合併したプリンスのラインナップだったグロリアと、完全に兄弟車となった初のセドリックが3代目230でした。そして、先代130後期から採用した保守的デザインを踏襲した結果、グロリアと共にクラウンから販売シェアを奪った傑作となったのです。
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クラウンに代わり保守層ユーザーのハートをガッチリつかんだ3代目230セドリック
1971年2月、兄弟車となった日産・セドリック(3代目) / グロリア(4代目)と宿命のライバル、トヨタ・クラウン(4代目)はこの月に揃ってモデルチェンジし、各車とも横一線に並ぶ販売合戦がスタートしました。
そんなセドリックとクラウンはともに先代デビュー時に少々ハジけたデザインの評価が今ひとつで、マイナーチェンジにより保守的なデザインへ回帰していましたが、そのモデルチェンジに際してのデザインはまさに対照的。
クラウンが再び個人ユーザー獲得のために先代前期よりも大幅に若返りを図り、通称『クジラ』と呼ばれるスピンドルシェイプを採用したデザインとなったのに対し、セドリックは先代130後期からのキープコンセプトとなり、直線的でメッキを多用した保守的なデザインで勝負!
その結果は高級セダンで圧倒的多数の保守層ユーザーにソッポを向かれたクラウンが撃沈し、クラウンから離れたユーザーを丸々取り込んだセドリック / グロリアの大勝利となりました。
そして、首位の座をクラウンから奪う大金星を挙げたのです。
通常のセダンのみならず、国産初のピラーレス4ドアハードトップも登場
保守層のハートをガッチリつかむのみならず、商品性を高めるための新機軸もしっかり投入していたのが、3代目230セドリックの特徴でした。
クラウンには少々遅れたものの、発売の8か月後には2.6リッター直列6気筒のL26エンジンを搭載した2600GXを追加。
そして翌年にはなんと、日本初のBピラーレス4ドアハードトップが追加されたのです。
また、クラウンに対抗したスペシャリティカー路線の2ドアハードトップだけでなく、4ドアセダン同様の使い勝手とスポーティ性を両立したピラーレス4ドアハードトップによって、本来クラウンが狙った個人ユーザー層もガッチリつかみ、『クジラ・クラウン』を撃沈しました。
保守的デザインでありながら革新的という4ドアピラーレスハードトップは、後のハイソカーブームで大きく開花する先駆けでもあり、個人ユーザーのほとんどが4ドアハードトップを購入したのです。
ストックカーレースで活躍
先代のように、サファリラリーには出場しなかった3代目230セドリックですが、ストックカーレースには引き続き参戦しました。
東名パワードなどのチューンを受けたハイパワーマシンが戦うストックカーレースは、セドリックやグロリア、クラウンといった国産高級車勢にアメ車も加わり、先代130に引き続き230セドリックも鈴木 誠一などがステアリングを握って大激闘を繰り広げたのです。
主なスペックと中古車相場
日産 230 セドリック ハードトップ2600GX 1971年式
全長×全幅×全高(mm):4,690×1,690×1,420
ホイールベース(mm):2,690
車両重量(kg):1,360
エンジン仕様・型式:L26 水冷直列6気筒OHC12バルブ
総排気量(cc):2,565
最高出力:103kw(140ps)/5,200rpm(※グロス値)
最大トルク:216N・m(22.0kgm)/4,000rpm(※同上)
トランスミッション:4MT
駆動方式:FR
中古車相場:52万~348万円
まとめ
トヨタ初の本格国産乗用車として登場以来、クラストップの販売台数を譲ることのなかった王者クラウンが、『クジラ』化して保守層に受け入れられなかった間隙をついたとはいえ、セドリックがグロリアとの累計販売台数でトップ奪回を果たした栄光のモデル。
またそれだけではなく、『反クラウン』のユーザーにとっての拠り所として、その後も長く個人ユーザーからの熱狂的支持を受ける原点となったのが3代目セドリックでした。
クラウンが時代とともにユーザーの若返りを図るなど『ブレ』があったのに対し、セドリックがグロリアとともに一貫して保守。
長いものに巻かれたくないユーザーにこそ好まれるのは、この3代目セドリックの栄光あってのことかもしれません。
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