アメリカの電動バイクメーカー『ライトニング モーターサイクル』から発売された『LS-218』が、世界最速の電動バイクとして注目を集めています。そんななか、昨年はLS-218を少しスペックダウンさせて、お手頃な価格設定にした『ライトニング ストライク』が登場。ストライクはLS-218よりロースペックではありますが、速さや航続距離では驚異的な数値をたたき出し、国産スーパースポーツの驚異的なライバルとなっています。

©2020 Lightning Motors

世界最速の電動バイク・ライトニングLS-218

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アメリカで、世界最速の電動バイクが登場したことを知っていますか。

電動バイクメーカー『ライトニング モーターサイクル』がボンネビル スピードウェイ2011に投入した電動バイクが、215mph(約346km/h)を記録し、世界最速記録を樹立。

また、2013年に開催されたパイクスピークでは、ライトニング スーパーバイクを駆るカーリン・ダン氏が2位以下に21秒の差をつける圧倒的な速さで優勝したことが、大きな話題となりました。

そんな、世界最速電動バイクが公道バージョンとして、発売されていたのです。

ライトニングとはどんなメーカー?

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ライトニング モーターサイクル(Lightning Motorcycles)は、リチャード・ハットフィールド氏(Richard Hatfield)が2006年に設立した電動バイクメーカーであり、アメリカ カリフォルニア州サンカルロスに拠点をおいています。

ハットフィールド氏は元々ポルシェのEVレーシングチームのエンジニアとして活躍した人物で、その後、リチウムイオン電池をバイクに搭載した電動バイクの開発に着手しました。

まず初めにヤマハ YZF-R1にモーターとバッテリーを搭載した電動バイクを製作し、最高出力60PS・最大トルク70Nm、最高速度は100mph(160km/h)を達成。

ライトニング設立後は競技用の電動バイクやソーラーパネルを利用したバイクなどを開発し、ボンネビルやパイクスピークでの活躍で注目を集めるようになります。

そして、現在は電動スーパースポーツバイクにおいて世界トップクラスの製品を生み出しています。

公道最速電動バイクは時速352キロ!

ライトニングは2014年に電動バイク『LS-218』を発売。このバイクはパイクスピーク2011を制したマシンの公道バージョンです。

モデル名のLS-218は、LSが”Land speed”、日本語で「地上最速」を意味し、218はボンネビルで記録した218.637mph(352km/h)を表しています。

パワートレインは、専用インバータを使って安定した回転が得られるIPM水冷モーターを採用し、10,500回転で最高出力200hp、最大トルク227Nmを発揮。最高速はボンネビル仕様と同様の、352km/hにまで達します。

200馬力はカワサキ・ZX-10RRと同等ですが、最大トルクはスーパーチャージャー搭載のH2Rの165Nmを遥かに超えてるため、加速はかなり強烈です。

レシプロエンジンとは異なり、停止状態からトップスピードまで瞬発的に最大出力とトルクを発揮できるため、猛烈な加速で300km/hまであっという間に到達します。

気になる価格は38,888ドル、日本円で約400万円。

カワサキH2カーボンが356万円、ドゥカティ・パニガーレV4Rが455万円と同クラスの価格設定ですが、世界最速の電動バイクとなれば400万円は妥当な価格でしょう。

LS-218よりもお手頃なストライク!だけど航続距離は最大320kmも!

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ライトニングの市販車第一号はLS-218で、2番目に市販されたのが昨年登場した『ストライク(Strike)』でした。

こちらはLS-218よりスペックを落とすことにより、価格を12,998ドル、日本円で約140万円から購入できる価格設定としたスーパースポーツバイクです。

これは日本や欧州のスーパースポーツバイクと同等の価格帯ですが、やはりモーターとバッテリーで走るため、レシプロエンジンとは乗っているフィーリングが全く異なります。

ストライクのスタンダードモデルは、モーターの最高出力が90hp、最大トルク244Nm、最高速度は217km/hを発揮。

スタンダードモデルからひとつ上のグレードに『ミッドレンジ』、最上級グレードに『カーボンエディション』が設定され、価格はミッドレンジで16,998ドル(182万円)、カーボンレンジで19,998ドル(215万円)です。

ちなみに、カーボンエディションの最高出力は120hp。最大トルクは244Nmまでアップされ、最高速度は241km/hを実現しています。

バッテリーは、スタンダードで蓄電容量10kWh、航続距離は高速道路で115km、市街地では160km走行可能です。

また、ミッドレンジとカーボンエディションでは蓄電容量15kWh、航続距離が高速道路170km・市街地240km、カーボンエディションでは蓄電容量20kWh、航続距離が高速道路240km、市街地320kmの走行が可能となります。

LS-218から比べれば、出力・トルク・最高速度が劣りますが、フル充電で320km走行できれば、ツーリングでも十分な距離。

充電は自宅のAC120Vで一晩ですが、レベル3の急速チャージャー充電にも対応しており、レベル3だと35分でフル充電できるため、実用性も十分です。

まとめ

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ハイパフォーマンス電動バイクの市場は、イタリアのエネルジカ エゴハーレーダビッドソン ライブワイヤーに驚かされたばかりにもかかわらず、さらなる速さを実現させたライトニングにはかなりの衝撃でした。

現在、短期間で電動自動車の大手メーカーへと成長したテスラモーターを皮切りに、アメリカ発のスタートアップメーカーが電動バイク市場で徐々にシェアを伸ばしています。

こうして、ライトニングをはじめとするはハイパフォーマンス電動バイクの登場が、二輪車業界のゼロエミッションを着実に進ませているのです。

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