アメリカの伝説的なモーターサイクルメーカー『インディアンモーターサイクル』は、本格派トラッカーモデルであるFTR1200およびFTR1200Sを発売しました。それはAMAを制したワークスマシン FTR750をイメージさせる本気のトラッカー仕様と思いきや、峠や高速道路、市街地もスイスイ走り抜けるオールラウンダーバイクに仕上がっていたのです。

© 2019 Indian Motorcycle

米インディアンモーターサイクルからトラッカーモデルFTR1200/S登場

かつて、ホンダからトラッカーシリーズ『FTR』が販売されていましたが、FTRとはフラット・トラッカー・レーシング(Flat Tracker Racing)を意味しています。

そして、インディアンモーターサイクル(以下:インディアン)から発表された新型モデルもホンダ同様、ズバリFTRの名を冠したFTR1200です!

見た目には、フラットトラッカーのエッセンスが散りばめられていて、公道を走るワークストラッカーレーサーのようです。

インディアンが公開している動画では、力強い1.2リッターVツインのエンジンサウンドで疾走する姿が紹介され、ただならぬバイクの様相が伺えます。

そんなFTR1200はワークスマシンFTR750をオマージュした、トラッカーモデルにおけるレーサーレプリカマシンなのです。

インディアンモーターサイクルとはどんなメーカー?

インディアン フォー / Photo by Triple-green

インディアンモーターサイクルは、1901年にアメリカ マサチューセッツ州で設立された、アメリカ最古のバイクメーカーです。

ハーレーと同様に、大排気量のVツインエンジン搭載モデルをメインで販売していましたが、1927年にエース モーター コーポレーションを買収したことをきっかけに、並列4気筒エンジンを縦置きにしたインディアン フォアを発売。

当時の二輪車開発においては、最前線を行くメーカーでした。

しかし、1959年になって会社が倒産し、その後も投資家による再建と倒産を繰り返すことに。

そして2006年7月20日に英国ロンドンのステリカンリミテッド社(STELLICAN LIMITED)が資本を投じ、現在のインディアン モーターサイクルがアメリカ ミネソタ州を拠点に設立されました。

インディアンモーターサイクルは、今も昔もハーレーとならびアメリカの代表的なバイクメーカーです。

見た目からトラッカー・レーサーFTR750の市販仕様?

© 2019 Indian Motorcycle

インディアンは2017年、64年ぶりにAMAに本格参戦し、ワークスマシンであるFTR750は参戦初年度に、いきなり個人・メーカーの両タイトルを獲得しました。

そんなFTR750の市販仕様がFTR1200と思われましたが、中身はフラット トラッカー レーサーのまんまということはなく、どちらかといえばロード走行向けに見受けられます。

排気量1,203ccは、トラッカーレーサーにしては大きすぎる程で、さらに水冷式のDOHC4バルブエンジンのため最高出力120馬力と、国産スポーツネイキッドバイク並のパワーを発揮。

レッドゾーンは8000rpmと高回転仕様ではなく、低回転域でのトルクを重視したセッテイングに。

そのため3,000~4,000rpmあたりになると、Vツインらしい鼓動感あるエンジンサウンドを奏で、洗練され過ぎず、やっぱりアメリカンモーターサイクルだなぁ~と思える独特の加速感。

フレームは、FTR750がクレードルフレームを採用しているのに対し、FTR1200はトリスフレームを採用。

ホイールベースを短縮させるため、スイングアームはクランクケース支持となり、シート下にガソリンタンクを配置して低重心化とマスの集中化がなされました。

タイヤは溝が浅めのダンロップ製ブロックタイヤを装着していますが、未舗装道路から市街地、ワイディングでも楽しめそうです。

FTR1200Sはハイテク電子デバイスが搭載

左:FTR1200、右:FTR1200S / © 2019 Indian Motorcycle

標準モデルのFTR1200と上級モデルの1200Sは、2台ともABSとクルーズコントロールが標準装備されています。

フロントフォークはΦ43mmの倒立式で、リアはストローク量150mmのピギーバック式を装着。

前後ともザックス製ですが、FTR1200Sはフルアジャスタブルにグレードアップされています。

また、FTR1200のメーターはアナログ式ですが、FTR1200Sは4.3インチのLCD式タッチスクリーンが搭載され、ブルートゥース接続で、スマホの音楽も聴く事が可能。

走行モードは『スポーツ』、『スタンダード』、『レイン』の3つが選択でき、スロットルレスポンスとトラクションコントロールの介入が変わる仕様です。

さらにFTR1200Sには、ウイリーコントロールやIMU(慣性計測装置)も装着され、ハイテクな電子制御をふんだんに搭載。

マフラーはFTR1200/FTR1200Sともにアクラポビッチ製を採用し、FTR1200S レーサーレプリカのみマフラーの仕様が異なります。

スペック&価格

左上:サンダーブラック(FTR1200)、右上:インディアンレッド / スチールグレー(FTR1200S)、左下:チタニウムメタリック / サンダーブラックパール(FTR1200S)、右下:レースレプリカ(FTR1200S) / © 2019 Indian Motorcycle

Indian FTR1200/FTR1200S
全長×全幅×全高(mm) 2,286×850×1,297
軸距(mm) 1,524
シート高(mm) 840
車両重量(kg) 230【FTR1200Sは235】
エンジン種類 4ストローク水冷60°V型2気筒DOHC4バルブ
総排気量(cm³) 1,203
ボア×ストローク(mm) 102×73.6
圧縮比 12.5:1
最高出力(kw[hp]/rpm) 89[120]/8,250
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 115.2[11.7]/6,000
変速機形式 6速
タンク容量(ℓ) 12.9
タイヤサイズ 120/70R19 60V
150/70R18 70V
モデル カラー メーカー希望小売価格(消費税込み)
Indian FTR1200 サンダーブラック ¥1,899,000-
Indian FTR1200S チタンメタリック/オーバーサンダーブラックパール ¥2,099,000-
インディアンレッド/スチールグレー ¥2,099,000-
レースレプリカ ¥2,364,000-

まとめ

© 2019 Indian Motorcycle

FTR1200を初めて見たとき、一番近いライバル車は、ハーレーダビッドソンXL1200 ROADSTERだと思いましたが、知れば知るほど、2台のベクトルは全く異なっています。

XL1200 ROADSTERはハーレーならではの空冷Vツインエンジンにビンテージ感と現代的なエッセンスが上手く調和し、ハーレーを存分に楽しむクルーザー。

一方、FTR1200はトラッカーモデルでありながらも、最新のテクノロジーを惜しみなく注ぎ込んだ、最新Vツインネイキッドスポーツ。

それでも、ブロックタイヤが装着してある程、度高さを確保した最低地上高には「どうぞダートも走ってください!」とマシンから訴えかけているように感じます。

そんなFTR1200は、見た目なインディアン ワークスレーサーの雰囲気ですが、実はオールマイティに走れるバイクです。

Motorzではメールマガジンを配信しています。

編集部の裏話が聞けたり、最新の自動車パーツ情報が入手できるかも!?

配信を希望する方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みください!