ホンダは新世代CBシリーズとなる『CB1000R』を発売しました。それは今まで欧州で販売されていた従来型CB1000R(SC60)の後継モデルであり、フルモデルチェンジにともなって日本での販売が決定。エンジンはCBR1000RRのものを搭載し、雰囲気はストリートをカッコ良く走るカフェレーサーとストリートファイターの融合。そんな新型CB1000Rは、どのようなバイクなのでしょうか。詳細をご紹介します。
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ホンダCBシリーズに新たなモデル出現!ホンダ新型CB1000Rが登場
昨年11月6日、ホンダはEICMA(ミラノショー)でフルチェンジした新型CB1000Rを発表し、2018年3月8日に国内発売を開始しました。
EICMAの前に行われた2017年東京モーターショーではコンセプトモデル『ネオスポーツカフェコンセプト』を公開しており、新型CB1000Rはそれを市販化した形。
今まで欧州市場で販売されていた従来型CB1000Rをフルモデルチェンジした新型として登場することになりました。
ちなみに、新型CB1000Rは2001年に登場したCB900ホーネット(SC48)が系統モデルとされており、CB1000Rの次期モデル登場がささやかれていた昨年、一部では『ホーネット』のサブネームが復活すると噂されていましたが、今回は実現していません。
なぜなら新型CB1000RはホンダCBR1000RRのエンジンをモノバックボーンに搭載したバイクで、先代モデルCB900ホーネットとコンセプトは変わっていませんが、開発の狙いは『魅せる、昂る、大人のためのEMOTIONAL SPORTS ROADSTER』であり、ジェントルな趣と最近流行のストリートファイター、そして定番カフェレーサーが融合された躍動感あるビジュアルで、ホーネットから脱却した新世代ホンダCBシリーズを思わせるスタイルに進化を遂げたからでした。
マスの集中化を狙いスタイリッシュさを向上
新型CB1000Rはマスの集中化を図り、マシンの上部から下部までで台形型のプロポーションを表現。
ハンドル・タンク・シート・エンジンシリンダーヘッドまでを上部にギュッと詰めながら下にいくほどワイド化されており、その証拠にCBR1000RRよりも軸間距離が5センチも長くなっています。
これはもちろん、運動性能の良さやライダーの操作しやすさに貢献した設計になっているのですが、そこに現在のデザイントレンドをうまく取り入れ、カッコ良く見せるために考え抜かれた最良のデザイン設計といえるのではないでしょうか。
カラーリングは『グラファイトブラック』、『キャンディークロモスフィアレッド』の2色が用意されています。
丸目ヘッドランプを現代版にアレンジ!テールランプは立体的な灯かりを表現
新型CB1000Rは、ホンダCBらしい丸目型ヘッドランプを継承しつつも、LEDを使用し現代的なアレンジがなされています。
ヘッドライトはコンパクトになりフロントフォークの間に納められており、コンセプトとされる『ネオ スポーツ カフェ』を思わせるデザインに!
そして、そのライトの縁を囲うようにLEDを並べ、ロービームとハイビームの間に『Honda』のプレートを配置。
テールランプはシートエンドに直接設置されており、ヘッドライトと同様にLEDが用いられ、レンズを2重構造にすることで立体的な光の形を演出するなど凝った仕様になっています。
急ブレーキを即座に後続車へ伝えるエマージェンストップシグナル
急ブレーキをした際は後続車へ即座に通知できるよう、エマージェンシーストップシグナルを採用。
50km/h以上で走行している際に急ブレーキ操作を行うと、システムが急ブレーキを感知し、ハザードランプを高速点滅させて事故の回避に貢献します。
特徴的なスイングアームマウントリアフェンダーを装着
新型CB1000Rのスイングアームはプロアーム化され、『スイングアームマウントリアフェンダー』と呼ばれるフェンダーを装着。
これは、ドゥカティの『ディアベル』や『スクランブラーアイコン』にも採用されており、欧州市場を意識したデザインとなっています。
コンパクトにまとめられた多機能型液晶メーター
メーターの大部分は液晶パネル化され、コンパクトでありながら多くの情報を凝縮して表示させてくれます。
『ETC』や『ギアポジション』など、あると嬉しい内容から『平均速度/燃費』、『ライディングモード』、『グリップヒーターレベル』といったかなり詳細な情報も!
その中で注目なのは『マルチカラーライン』。
『シフトアップ連動モード』、『燃費連動モード』、『ギアポジション連動モード』、『ライディングモード連動モード』 を8色のマルチカラーラインで表示し、直観的に車両の情報を見極めることができる仕様となっています。
CBR1000RRエンジンを出力・トルク特性を調整し搭載
エンジンはCBR1000RRと同様ですが、トルク性能をあげたセッティングがなされた事によりギアのローレシオ化が図られており、CBR1000RRと出力・トルク・ギア比で比べても、それほど高回転仕様でなく、街中やワイディングで扱いやすい特性に仕上げていることがわかります。
新型CB1000RとCBR1000RRの出力・トルク・ギア比を比較
新型CB1000R | CBR1000RR | ||
---|---|---|---|
最高出力(kW[PS]/rpm) | 107[145]/10,500 | 141[192]/13,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 104[10.6]/8,250 | 114[11.6]/11,000 | |
ギア比 | 1速 | 2.538 | 2.285 |
2速 | 1.941 | 1.777 | |
3速 | 1.578 | 1.500 | |
4速 | 1.363 | 1.333 | |
5速 | 1.217 | 1.214 | |
6速 | 1.115 | 1.137 | |
減速比 | 1次/2次 | 1.604/2.933 | 1.717/2.687 |
最新のスリッパークラッチを採用
新型CB1000Rのクラッチは、CBR1000RRと同じアルミカムアシストスリッパークラッチを採用し、シフトダウンで急激なエンジンブレーキがかからないように抑制することと、クラッチレバー操作の荷重軽減や良好な操作フィーリングを実現。
それに加えてクイックシフターが装備されており、クラッチレバーを握らなくてもシフトアップ/シフトダウンの操作が可能となりました。
新開発のフレームと新技術が詰まったサスペンションが搭載
フレームは新設計のモノバッグボーンフレームを搭載。
アルミダイキャスト製シートレールを装着したことで、マスの集中化に貢献しています。
また、サスペンションはフロントにショーワ製SFF-BP倒立フロントフォークと、リアには分離加圧式リアサスペンションを採用。
SFF(Separate Function front Fork)とは、左側フォークに減衰機構とスプリングを装備し、右側フォークにスプリングのみを装備して摺動抵抗の低減と車体の軽量化を図るしくみです。
そしてBPとは『Big Piston Front Fork構造』のことで、減衰機構はピストン径が拡大されていおり、安定感の高い減衰力を得ることができます。
また、リアの分離加圧式リアサスペンションは、ダンパー内のオイルと空気が混ざるのを防ぐことで減衰力を安定。
ブレーキにはCBR1000Rと同じTOKICO製のフロントキャリパーが装着され、ブレーキディスクのサイズはφ310mm。
リアブレーキには、2ポッドキャリパーとφ256mmブレーキディスクが装着されています。
新型CB1000Rには様々な制御システムが採用
リニアなアクセルレスポンを実現させるスロットルバイワイヤシステム
CB1000Rのアクセル部分には、スロットルバイワイヤシステム(TBW)が採用されています。
これはアクセルポジションセンサー(APS)がアクセル開度を読み取ってECUへ信号をおくり、その信号をスロットルバルブに到達させて制御する仕組みで、それにより従来のワイヤー式スロットルのようなフィーリングと、リニアなアクセルレスポンスを実現させました。
その場に応じた走行モードの選択が可能に
新型CB1000Rは走る場所や走行状況に応じたエンジン特性を実現させるために、走行モードを選択することが可能となっています。
走行モードは『SPORT』、『STANDARD』、『RAIN』と、ライダー自らの好みで設定できる『USER』から選択可能で、USERは、『パワーセレクター(P)』、『Honda セレクタブル トルク コントロール(T)』、『セレクタブルエンジンブレーキ(EB)』それぞれの各制御レベルを設定し、ライダー自ら組み合わることが可能。
ライダー自身の好みやクセなどに、バイクが細かく対応できる仕様となっています。
スペック・価格
車名・型式 | ホンダ・2BL-SC80 | |
全長×全幅×全高 (mm) | 2,120×790×1,090 | |
軸距 (mm) | 1,455 | |
最低地上高 (mm) | 138 | |
シート高 (mm) | 830 | |
車両重量 (kg) | 212 | |
乗車定員 (人) | 2 | |
最小回転半径(m) | 3.0 | |
エンジン型式・種類 | SC80E・水冷 4ストローク直列4気筒DOHC16バルブ | |
総排気量 (cc) | 998 | |
内径×行程 (mm) | 75.0×56.5 | |
圧縮比 | 11.6 | |
最高出力 (kW[PS]/rpm) | 107[145]/10,500 | |
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) | 104[10.6]/8,250 | |
燃料消費率(km/L) | 国土交通省届出値 定地燃費値(km/h) |
22.5(60)<2名乗車時> |
WMTCモード値(クラス) | 16.7(クラス3-2)<1名乗車時> | |
燃料タンク容量(L) | 16 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
タイヤ | 前:120/70ZR17M/C (58W) 後:190/55ZR17M/C (75W) |
|
メーカー希望小売価格(税込) | 1,636,200円 |
まとめ
ホンダCBシリーズの新たなジャンルとして登場した新型CB1000Rですが、ヤマハMT-10、カワサキZ900RSといったライバル車が多いカテゴリーに属すと考えられます。
また、国内市場では出遅れた感はありますが、高い知名度を誇る『ホーネット』というサブネームをあえて使わず、国内に持ち込んだのはそれだけの自信作という事かもしれません。
遂に国内にも持ち込まれたCB1000Rはバイク市場でどのような位置づけになるのでしょうか!これからが楽しみな1台です。
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