【シリーズ”原二”】では、125cc A/T免許取得の簡易化など原付二種(原二)を取り巻く環境が変化しつつある今だからこそ、マニュアルミッションで操る小さなスポーツバイクたちの魅力について紹介していきます。第4回目の今回ご紹介するのは、ホンダから発売されていた単気筒モデルのCB125JXです。

 

出典:http://www.motorcyclespecs.co.za/model/Honda/honda_cb125%2076.htm

CB125JXとは

 

出典:http://www.sevenseasmotors.com/1975-honda-cb125jx/

 

ホンダCB125JXは、1975年に発売された125ccロードスポーツです。

ベンリイCB90をベースに持つCB125は、CB125Sなどを先祖として生まれたモデルで、当時のホンダの資料によれば”中級機”という位置づけ。

デザイン的な特徴としては、前年に発売されたCB400Fourと当時流行の兆しがあったカフェレーサーの影響を感じさせ、それまでのモーターサイクルとは毛色の違うモダンなイメージとなっています。

 

CB125JXの魅力

 

出典:http://www.sevenseasmotors.com/1975-honda-cb125jx/

 

軽さは正義

 

CB125JXの魅力は、なんと言ってもシングルエンジンゆえの軽さでしょう。

このシリーズの第1回目でご紹介した2サイクルモデル、RD125でさえ乾燥重量は106kg~110kgであるのに対し、CB125JXはなんと95kg!

装備重量でも104kgしかありません。

 

 

モーターサイクルやクルマの世界では『軽さは正義』としばしば言われますが、まさにCB125JXの軽さは正義。

出力的には2サイクルエンジンに比べて不利な4サイクル小排気量単気筒エンジンが発する馬力はわずか14PSですが、この軽さのおかげで決してつまらないモデルとはならなかったのです。

 

入門機としての敷居の低さ

 

出典:http://www.sevenseasmotors.com/1975-honda-cb125jx/

 

この軽さと”ほどほどの”出力による扱いやすさ、単気筒ゆえのメンテナンスのし易さや、車両価格の安さは、モーターサイクル入門機やカスタムベースとしてうってつけで、当時、多くのライダーがCB125JXと共に育っていきました。

 

 

そして2サイクルのような気難しさのかけらもない扱いやすいエンジンを回しきり、少々プアなシャーシを丁寧に扱った時、CB125JXは思いもかけないポテンシャルを発揮したのです。

しかしそれは、あくまでも日常的な速度域の話であり、つまり、ちょっとしたカーブや峠道とCB125JXがあれば、そこはすぐに初心者ライダーにとっての練習場になりました。

 

井形マリとCB125JX

 

そんなCB125JXと共にサーキットで育ったライダーの一人に、女性で史上二番目に国際A級ライセンスを取得(一人目は小沼加代子選手)した、井形マリ選手がいます。

ホンダ社内チームのブルーヘルメット(通称:ブルヘル)に所属していた井形マリさんは、1978年にデビューして筑波選手権プロダクション125クラスで年間ランキング3位に。

この後、鈴鹿8時間耐久への参戦や市販レーサーでの全日本選手権参戦と、活躍の場を広げていきました。

そんな彼女もまた、CB125JXによって育てられたライダーと言えるでしょう。

余談ですが、当時はハイグリップタイヤなどは一般的ではなく、ダンロップから発売されたTT100GPというモデルが市販高性能タイヤの先駆けのような存在でした。

井形さんがこのタイヤを初めてサーキットで使った時、「私は魔法のタイヤを手に入れたと思った。」と語ったというエピソードが印象に残っています。

 

サーキットでの活躍

 

スペックからも分かるように、CB125JXは”とんでもなく高性能なモデル”ではありませんが、モーターサイクルライディングの基本を学ぶには最適と言える存在であり、本格的なレースモデルに乗る前の入門プロダクションレーサー(ほぼ無改造の市販車)としても人気を集めていくことになります。

信じられないかもしれませんが、筑波や鈴鹿といった本格的サーキットで開催されたプロダクションレースにおいて、CB125JXはスズキGP125(GT125の後継機で空冷2サイクル単気筒)などとデッドヒートを繰り広げ、時には勝利することさえあったのです!

下の動画は、井形マリさんのライディングではありませんがサーキットでのCB125JXの勇姿です。

 

 

CB125JXのスペック

機種名 CB125JX (1975)
全長×全幅×全高(mm) 1,880×750×1,050
軸間距離(mm) 1,205
乾燥重量(kg) 95
装備重量(kg) 104
エンジン種類 空冷4サイクル OHC 単気筒 2バルブ
総排気量(cc) 124
ボア×ストローク(mm) 56.5×49.5
圧縮比 9.4:1
燃料供給装置 キャブレター
最高出力(ps/rpm) 14/10,000
最大トルク(kg-m/rpm) 1.0/9,000
トランスミッション 常時噛合式5段リターン
始動方式 キックスターター
駆動方式 チェーン
燃料タンク容量(L) 9.5
ブレーキ形式 Fr. 機械式ディスクブレーキ
ブレーキ形式 Rr. 機械式リーディングトレーリング
タイヤサイズ Fr. 2.75-18 4PR
タイヤサイズ Rr. 3.00-17 4PR
発売当時価格(円)  163,000

 

CB125JXの中古車相場

 

\182,000~\230,000
– goo調べ 2018年6月現在 –

 

まとめ

 

モーターサイクルはスペックだけで語れるものではありませんし、それに頼って上達できる乗り物でもありません。

また、CB125JXは決してどこかが突出した性能を誇るモデルではありませんでしたが、初心者にとっては名コーチであり、ベテランライダーにとっても舐めてかかれる存在ではないという、いろいろな意味で『ライダーを育てる名入門機』であったと筆者は思います。

CB125JXの存在を知ったあなたが小排気量に興味を持つと共に、面白さに目覚めてくれることを願ってやみません。

 

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