1KTのマイナーチェンジモデル!2XT!

出典:https://www.yamaha-motor.co.jp/

TZR250は1988年にマイナーチェンジされ、型式も2XTへと変更されました。

外観の変更はほとんどありませんが、メッキシリンダーへの変更や、CDIのデジタル化などエンジンまわりを大幅に変更。

タイヤもラジアル化され、レーサーレプリカのさらなる完成形として仕上げられました。

しかし、1986年にホンダNSR250Rが販売開始。

翌年にはレースを席巻し始め、1988年にはNSR史上、最強最速の呼び声もある通称「88NSR」が販売開始されたことによって、バイクファンの間でNSR人気が爆発。

そんなタイミングで登場した2XTは中々人気が出ず販売終了。僅か1年半という短い期間のみの生産で、現存する車両は非常に少ないです。

しかし、ただでさえ完成度の高い1KTのさらなる完成形ということもあり、一部のマニアの間では高値で取引されることもある希少車となっています。

 

なお、中古相場価格は45万~65万程度となっています。

 

 

理想の追求?ヤマハの意地?後方排気の3MA

TZRの中でも最も特徴的な一台が2代目TZR250、型式3MA。後方排気、サンマとも呼ばれるこの車両です。

販売された1989年当時、レースブームの過熱からレーサーレプリカの進化競争が激しくなり、各メーカーが毎年のようにマイナーチェンジ、フルモデルチェンジを繰り返していました。

ライバル車であるホンダNSR250Rが、V型エンジンのトルクフルな特性を生かしレースで常勝組となり、ついでスズキRG250γもRGV250γへと進化。各社続々とV型エンジンにシフトしていきます。

そのような中ヤマハは、完成されていたパラレルツインエンジンを採用し、当時の市販レーサーTZ250が採用していた後方排気の技術を市販車にフィードバックします。

通常二輪車はエンジンの後方に吸気装置、前方に排気装置が配置されていますが、このTZRは前方から吸気して後方から排気するレイアウトを採用しています。

走行風が当たることを考えれば、理論上前方から吸気して後方へ排気することによって、吸排気効率があげられます。

また、2ストロークエンジンの出力特性に大きく影響するチャンバーを、理想的なストレートの形状にすることができ、メリットは大きいとされていました。

出典:http://www.bike-urious.com/1990-yamaha-tzr250sp/

 

そんなTZR250(3MA)ですが、車体も完全新設計のアルミデルタボックスフレームを採用し、フロントブレーキもダブルディスクに4ポットキャリパーを採用し、よりレーシーな車両へと進化。

全体のフォルムも美しく、ヤマハらしいとファンが多いのもうなずけます。

また、レースユーザーに向け、乾式クラッチやクロスミッション、リアホイールのワイド化、減衰力などの調整が可能なサスペンションを装備したSPも限定1000台で販売されたことからも、ヤマハの本気度の高さが伺えます。

とても独創的で魅力的な3MAでしたが、現実的には、タンク下とシート下をチャンバーが通るため、長時間乗るとタンクが熱せられたり、シートが熱くなるなどの影響や、吸気ポートが前方にあるため、その時の外気温、空気密度や風向きなどの影響を大きく受けることからのセッティングも難しさなど、レースシーンも含め、ライバル車のNSRへの対抗は難しいものがありました。

そういったことから、1991年にはV型エンジンの3XVへとその座を譲っていきます。

なお、2017年4月時点の中古相場価格は48~98万円程度です。

 

1989年式TZR250(3MA)のスペック

型式:3MA
全長:2040mm
全幅: 665mm
全高:1100mm
シート高:760mm
乾燥重量:136kg
燃料タンク容量:16L
タイヤサイズ:F110/70-17 R140/60-18
ブレーキ形式:ダブルディスク/ディスク
エンジン:水冷2ストローク・クランクケースリードバルブ 並列2気筒
排気量:249kg
最高出力:45/9500 (ps/rpm)
最高トルク:3.8/8000(kg-m/rpm)
変速比:6速
始動方式:キック

 

NSRへの挑戦!TZ250と同時開発された3XV

出典:https://www.yamaha-motor.co.jp/

1991年、ついにヤマハはライバル車、NSR250R、RGV250γに勝利すべく、パラレルツインエンジンを捨てV型エンジンを搭載したTZR250Rを発売しました。

前年のWGP250ccクラスチャンピオンマシンであるYZR250のレプリカとして登場したこのTZR250Rは、市販レーサーTZと同時開発され、レースで勝利するために創られた車両と言っても過言でありません。

事実、パーツの多くがTZ、TZRともに流用可能であり、標準モデルでさえも倒立フォーク、湾曲型のガルアームと呼ばれるスイングアームを装備していました。

元々ガルアームはチャンバーの容量や配置に自由度を持たせるために生まれたもので、ヤマハがレースで得たノウハウをそのまま、市販車に注ぎ込んだ市販車と言っても過言ではありません。

まさに勝利のためだけに創られた至極の一台です。

 

TZR250RS(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマハ・TZR#/)

同時にサーキットユースを主眼として作られたTZR250SPも500台限定で販売されました。

このm乾式クラッチやクロスミッション、TM36Φキャブレター、フルアジャスタブルショックなど、ほとんどSPクラスを走る為だけに作られた車両です。

面白いことに、書類上は二人乗りとなっているのですが、SPモデルにはタンデムシートカバーが付き、タンデムステップがついていない事も、サーキットユースをメインに考えられていた証拠の一つかもしれません。

1992年4月には標準装モデルに乾式クラッチとフルアジャスタブルショックを装備した、スタンダードモデルとSPモデルの中間に位置するTZR250RSがラインナップ。限定100台と希少モデルとなっています。

その後も、93年には規制にあわせてパワーダウンしたモデルが、94年には標準グレードの廃止や、SPを当時のレースレギュレーションにあわせて作り直すなど、数々のモデルが発売されます。

 

TZR250SPR(出典:https://www.yamaha-motor.co.jp/

そして1995年。レプリカブームも終わりを迎え、全モデルがTZR250SPR(3XVC)へと統合されます。

トリプルYPVSと呼ばれる3重の排気デバイスを装備し、2ストながら低回転域から高回転域までスムーズに使えるように。

さらにフレームも大幅に補強がなされています。

3XVの中では最重量となり、ノーマルでは最も遅いとされた車両ですが、ポテンシャルは非常に高く、各地のSPクラスで大活躍しました。

その性能は、発売から5年経った2000年の鈴鹿4時間耐久レースでも優勝したことが物語っています。

しかしながら、レプリカブームが去って行く中の販売で、ほぼレースユーザーしか購入しなかった為、現存する車両が非常に少なく、希少価値の高い1台となっています。

 

これ以降TZRはモデルチェンジされず、排ガス規制の問題で他の2ストロークエンジンの車両と同じく1999年に販売終了となりました。

現在の市場価格はTZR250Rが40万~85万 TZR250RSが49万~107万 TZR250R‐SPが50万~150万 TZR250SPRが70万~150万となっています。

 

1991年式TZR250(3XV)のスペック

※基本スペック()は馬力規制後 <>はSP

型式:3XV
全長:1960mm
全幅:680mm
全高:1075mm
シート高:780mm
乾燥重量:126kg<128kg>
燃料タンク容量:15L
タイヤサイズ:F110/70-17 150/60-17
ブレーキ形式:Fダブルディスク Rディスク
エンジン:水冷2サイクル90度V型2気筒クランクケースリードバルブ
排気量:249cc
最高出力:45ps/9500rpm (40ps/8500rpm) <40ps/9000rpm>
最高トルク:3.8kg・m/8000rpm (3.6kg・m/7000rpm)? <3.5kg・m/7500rpm>
変速機:6速
始動方式:キック式

 

まとめ

レースブームの到来とともに、開発され進化してきたTZR250。

今では考えられない開発費と最新テクノロジー、そしてメーカー、開発者の情熱が注ぎ込まれた至極の一台です。

スーパースポーツではなく、レーサーレプリカであるという事実。メーカーがすべてのテクノロジーを注ぎ込んだこだわりと意地、そして熱意が伝わってくる一台がこのTZRではないでしょうか。

それのみではなく、それにあこがれた大人や少年たち、当時レースが全盛期だったころ熱量や夢までが伝わってくるような車両なのかもしれません。

もし乗ることができるなら、当時憧れだったWGPライダー、エディー・ローソンやウェイン・レイニーを思い出しながら、ちょっとその気になってみるのもいいですね。

今の車両とは違う2ストならではの軽さと加速感は、また別次元の味わいです。

もし機会があれば、そんな時代を知らない若者たちにも、この一台を体験してもらいたいものですね。 

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