1982年に400ccスポーツバイクカテゴリーで彗星の如く登場したホンダ CBX400F。他の400cc4ストローク4気筒エンジン搭載のライバル車からは一線を画すスタイルと革新的な技術で400ccクラスナンバーワンの販売台数を記録し、現在は伝説として語り継がれるほどインパクトのある1台でした。あまりの人気に、社会問題になることも!!そんなホンダ・CBX400Fのデビュー当時から現在について、ご紹介します。

 

ホンダCBX400F

出典:http://www.honda.co.jp/motorcycle-graffiti/motogram/cb400/

 

ホンダが技術の粋をあつめて送り込んだCBX400F

 

ホンダCBX400F

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BBCBX400F

 

CBX400Fは、ホンダが1981年から1984年まで生産・販売したスポーツネイキッドバイクです。

CBX400Fが発売される前の1975年に、二輪免許は中型と大型に分けられ大型二輪免許を取得するための限定解除審査(いわるゆ一発試験)の取得は非常に難関となりました。

免許制度改正から、国内2輪車各メーカーは400cc以下の4ストローク4気筒を搭載したスポーツバイク開発に着手し、1979年にカワサキ・Z400FX、1980年6月にヤマハ・XJ400、1981年にスズキ・GSX400Fを発売。

2ストロークエンジン搭載車では、カワサキ・KH400、スズキ・GT380の人気が継続し、1980/1981年に登場したヤマハRZ250/350にいたっては爆発的な売れ行きとなりました。

そんな中ホンダは、1976年3月に408ccだったCB400Fourを399ccにマイナーチェンジし、1977年5月に2気筒エンジンのCB400ホークを発売。

しかし、人気は4ストローク4気筒DOHCエンジンを搭載したバイクに集中し、2ストローク搭載スポーツバイクも存在しなかったホンダは、ミドルクラスバイク市場で出遅れることになります。

そこでホンダは満を持して、1981年10月に行われた東京モーターショーで新型400ccスポーツバイク・CBX400Fを公開し、11月に発売したのです。

 

ホンダ・CBX400Fインテグラ/CBX550Fインテグラが登場

 

ホンダCBX400Fインテグラ

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BBCBX400F

 

ホンダは1982年7月1日に、他メーカーの4気筒ライバル車にはなかったフレームマウント型ハーフカウルとウインカー自動キャンセル機構を装備した『CBX400Fインテグラ』を登場させます。

また、CBX400Fの派生モデルで輸出車用のCBX550Fも生産していましたが、これにもフレームマウント型ハーフカウルを装備し、『CBX550Fインテグラ』として1982年9月28日に国内発売を開始しました。

 

ホンダ独自の最新技術を惜しみなく搭載した、ホンダの意欲作

 

CBX400Fが他のモデルと違った部分は、ホンダならではの最新技術を惜しみなく搭載したことで、ライバル車との大な差別化を図りました。

エンジンは、新開発の空冷4ストローク並列4気筒DOHCエンジンを搭載し、48馬力を発揮。

低回転から高回転まで一気に吹けあがるエンジンは、2スト乗りや大型バイク乗りでも欲しくなる加速感をを実現しています。

ブレーキは、世界初インボード・ベンチレーテッドディスク・ブレーキを採用し、『ブーメラン型コムスター』と呼ばれるユニークな形状のホイールとブレーキシステムは多くのファンを引き付けました。

また、コーナーリングの要となるサスペンションには、ソフトな乗り心地と高いスポーツ走行にも対応する『プロリンク・エアサスペンション』を搭載し、街乗り、峠、サーキットで優れた性能を発揮。

エキゾーストパイプは、1~3番シリンダーのエキゾーストパイプと、4番シリンダーからのエキゾーストパイプをエンジン前方でクロスさせる革新的なデザイン!

ハンドルやブレーキ・チェンジペダルはジュラルミン鍛造になっており、車両価格以上のオーバースペックで採算がとれるのか心配になるほどでしたが、この時代らしい豪華な作りといえます。

 

SS400クラスの誕生!400cc4ストロークバイクのレースが爆発的な人気に

 


CBX400Fが登場と時をおなじくして、ホンダはレース参戦の敷居を低くするために『SS400』クラスを創設。

こちらは、CBX400Fのワンメイクレースのようなクラスでした。

4ストローク400ccバイクが出場できる『TT-F3』クラスは、チューニング費用が高額になってしまいますが、SS400クラスはキットパーツを取り付けるだけのライトチューンで争われ、のちにTT-F3とSS400の混走で行われるレースも多くなる事に!

ホンダは、2輪モータースポーツ専門会社『HRC』を設立させる前に、市販車ベースのワークスマシン開発とプライベーターのためのパーツ供給部門『RSC』をホンダの社内組織で行っていました。

そんなRSCがSS400に参戦するためのキットパーツ『RS400R』を発売し、CBX400Fのライトチューンで参加できるSS400に多くのライダーが参戦を果たしたのです。

また、『バイクレースの甲子園』と呼ばれていた鈴鹿4時間耐久レースが、TT-F3とSS400の混走となったことで、400ccクラスのレースは爆発的な人気をみせ、1983年の鈴鹿4時間耐久レースでは280台のエントリーが集まるほどになりました。

ホンダCBX400Fは、400cc4ストロークバイクレースの人気の火つけ役となったのです。

 

ホンダCBX400Fのスペック

 

あったかいわあ☀ #CBX400F

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1981年モデル ホンダ・CBX400F
全長×全幅×全高(mm) 2,060×720×1,080
軸間距離(mm) 1,380
シート高(mm) 775
乾燥重量(kg) 189
乗車定員(名) 2
エンジン種類 空冷4ストローク並列4気筒DOHC16バルブ
排気量(cc) 399
ボア×ストローク(mm) 55×42
圧縮比 9.8:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 35.7[48]/10,500
最大トルク(N・m[kgf-m]/rpm) 33[3.4]/9,000
トランスミッション 6速MT
タイヤサイズ 前:3.60-18
後:4.10-18
燃費(km/L)※発売時のカタログ値 40.0 [60km/h走行時]
車両価格 470,000円

 

社会問題になるほど盗難が相次ぐCBX400F

 

CBX400Fの所有者は、常に愛車の盗難に気を付けていなければなりません。

発売終了後も絶大な人気は継続し、中古車市場では100~300万円、さらには500万円という値段で売買されていることもあり、価値は新車価格の10倍程にまで膨れ上がっています。

ここまで人気となった理由は、高性能なスペックと外観のカッコよさもさることながら、人気漫画『疾風伝説 特攻の拓』や『湘南純愛組!』の登場キャラクターの愛車として注目された事も一因で、特に『旧車族』・『街道レーサー』といった人々の間では、最上級のカスタムベース車とされており、需要が膨らんだことで、中古車相場価格が高騰したのです。

 

あまりにも盗まれるため盗難保険に加入拒否

 

CBX400Fは生産終了から30年過ぎても人気は衰えることなく、逆に希少なバイクになっていくにつれ、中古車で売却するときは信じられないぐらいの値段が付くことも!

そのため、盗難されるリスクも高くなっており、プロの窃盗団の標的になっています。

そして、いつしか最も盗難されやすいバイクとして認知されるようになり、ほとんどのバイク保険会社から盗難保険加入を拒否されるほどになりました。

 

走行中のライダーを恐喝し盗難、CBX400Fのオーナーは盗難の危険と隣り合わせ

 

このCBX400Fの盗難については、恐ろしい事件も起きています。

2016年5月8日に大阪府八尾市を通る近畿自動車道上り線で、CBX400Fで走行していた兵庫県姫路市の男性会社員(22)が、走行中の乗用車に無理やり停させられ、乗っていたCBX400Fを盗難される事件が起こりました。

犯人はバイクに対して無理やり幅寄せし路肩に停車させた後に、助手席から降りてきた男がCBX400Fに乗るライダーを恐喝。

バイクを奪ってそのまま走り去ったそうです。

この事件はニュースや新聞で報道されて社会問題となったので、記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。

SNS上では、CBX400Fの盗難にあったライダーから目撃談を募る投稿であふれており、バイクにさほど詳しくない方にも、『CBX400F=盗難』というイメージで認識されるようになりました。

それでもCBX400Fに熱い思いをもつ方は多く、今でも喉から手が出るほど欲しいという方も少なくありません。

しかし、ただでさえ希少かつ高額な上に、凶悪な窃盗団から守るためのセキュリティにお金を掛けなければならないという面を考えると、CBX400Fオーナーになるには相当な覚悟が必要なのかもしれません。

 

まとめ

 

 

CBX400Fのカルト的な人気は社会問題にまで発展してしまいますが、その実態は当時のホンダの技術が結集された高性能バイクである、ということを忘れてはいけません。

発売当時からライバルと一線を画すそのスタイルは、現代においても見劣りすることなく、むしろその輝きを増しているのではないでしょうか?

400cc4ストロークバイク人気に火をつけたCBX400Fのカッコよさは、もはや私たちの手で次の世代へ語りついでいく義務があるのかもしれません。

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