R32型のスカイラインGT-Rに搭載する為に開発された名エンジン『RB26』。そんなRB26がGT-R以外に、唯一搭載されたモデルが存在します。しかも、搭載されたのはクーペやセダンなどスポーツ系ボディではなく、快適性を重視したステーションワゴンでした。

掲載日:2019/08/16

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RB26が搭載された唯一のワゴン車

Photo by mangopulp2008

国内ツーリングカーレースで、圧倒的な速さを誇ったスカイラインGT-R。

特に”羊の皮を被った狼”伝説を継承した初代は、未だに語り継がれる名車です。

そんなスカイラインGT-RのBNR32型(1989年-1994年)から4代目BCNR33型(1995年-1998年)、5代目BNR34型(1999年-2002年)に搭載されたのが、今回の主役、RB26エンジンです。

スカイラインGT-Rへの搭載を前提とし、レースで勝つ為だけにわざわざ中途半端な2600ccという排気量で開発されたRB26でしたが、実はたった1台だけ、スカイライン以外の車種にも搭載されていたのです。

それは当時の日産が販売していたステーションワゴン『ステージア』。

正確には、オーテックジャパンが制作した特別仕様車、『ステージア オーテックバージョン260RS』でした。

RB26とは

RB26というエンジンは、正式には『RB26DETT』と呼ばれ、『Response Balance 2600cc DOHC Electronic Twin Turbo』の頭文字をとって名付けられた、2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジンです。

R32GT-Rは、レースに勝てる最高のツーリングカーを目的に開発され、2.6リッターという排気量は出場していた全日本ツーリングカー選手権 グループAのレギュレーションに適用するために設定されました。

出荷時の馬力は280PSですが、グループA出場車両は600PSまで発揮。

国内だけでなく、海外レースでも優勝を重ねました。

また、チューニング業界でもスカイラインGT-Rは、ベース車両として一番に注力されるモデルとなり、RB26で500馬力以上のエンジンチューンは当たり前。

これほどのハイパワーチューニングも受け入れるエンジン設計や耐久性から、スカイラインGT-Rのチューニング競争にまで発展し、中にはRB26を他車種にスワップしたチューニングカーも登場しています。

そんなスカイラインGT-Rは、日本のチューニングカーのレベルを引き上げた功績から、RB26は国産エンジンのなかで名機とされています。

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日産・ステージアとは

日産・WC34型ステージア / Photo by FotoSleuth

日産 ステージアは、1996年から2007年まで生産されたステーションワゴンです。

デビュー当初のWC34型は、スカイラインとベースが同じプラットフォームを使用していたため、駆動方式はFRまたは4WDを設定。

エンジンも当時のスカイラインクーペやセダンのRB型エンジンが採用され、GT-Rに搭載された電子制御トルクスプリット4WDシステム『ATTESA E-TS』も採用されました。

また、RB型エンジンにはRB26DETTも属し、他に2リッターのRB20E/20DE、2.5リッターのRB25DE/25DETも製造されています。

2001年のフルモデルチェンジに従い型式はM35型へと変更され、エンジンはV型6気筒の2.5リッターのVQ25DD/25DET、3リッターのVQ30DD、3.5リッターのVQ35DEに変更。

クロスカントリーモデルの『ステージアAR-X FOUR』も登場し、多くのユーザーから支持されていましたが、後継モデルは開発されることなく2007年に生産終了となりました。

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ステージアをR34型スカイラインGT-Rフェイスにカスタム / Photo by andreboeni

国産車のハイパフォーマンスワゴンモデルは、実は珍しいものでもなく、スバル インプレッサスポーツワゴンWRX STIや三菱 ランサーエボリューションワゴンといった国内馬力規制ギリギリの280PSに達するモデルがありました。

しかし、ステージア オーテック260RSだけはオーテックジャパンによりチューニングされた、トップ・オブ・ザ・ツーリングワゴン。

エンジンはR33型スカイラインGT-RのRB26を搭載し、さらには5速MTやリアメカニカルLSD、マフラーなど、パワートレインと駆動系はGT-Rのものを流用。

ステーションワゴンはGT-Rのようなクーペに比べて、どうしてもボディ剛性が落ちてしまうため、いたる所にボディ強化がなされ、ストラットタワーバーやフロントクロスバー、リアトリプルクロスバーといった通常のステージアにない補強部品も追加されています。

また、ブレーキにもGT-Rと同じブレンボ製ブレーキシステムが採用され、サスペンションもステージアとRB26の組み合わせに適したチューニングが施されました。

さらに、BBS製アルミ鍛造ホイールとブリヂストン ポテンザRE101タイヤが装着される豪華な仕様です。

外装は専用エアロパーツだけでなく、スーパーファインハードコートと呼ばれる!水弾きが良く傷つきにくい高級塗装が用いられました。

当時、R33型スカイラインGT-Rが488万円に対し、ステージア オーテック260RSは450万円と割安だったため、相当高いコストパフォーマンスとなります。

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スペック

日産・ステージア・オーテックバージョン260RS
形式 GF-WGNC34
全長×全幅×全高(mm) 4,880×1,755×1,510
ホイールベース(mm) 2,720
乗車定員(名) 5
車重(kg) 1,720
エンジン形式 RB26DETT
エンジン種類 直列6気筒DOHC24バルブターボ
排気量(cc) 2,568
最高出力(kW[PS]/rpm) 206[280]/6,800
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) 367.7[37.5]/4,400
駆動方式 4WD
トランスミッション 5速MT
タイヤサイズ 225/50R17 94V
225/50R17 94V
新車車両価格[税込] 4,465,000円
中古車相場 188~378万円
(参考:グーネット|2019年8月9日時点)

まとめ

Photo by FotoSleuth

ワゴンにRB26エンジンの組み合わせは、GT-R好き・RB好きにとって心が震え上がるほど魅力的で、マニアにとっては今でもほしいクルマです。

RB26のパフォーマンスを体感できるステーションワゴンでありながら、あまり乗られていないマイナー車という観点で見ても、誰ともかぶらない速いクルマというのがステージア・オーテック260RSの立ち位置でしょう。

そういえば、ここ最近の国産車ラインナップを見ていくと、これといったハイパフォーマンスステーションワゴン車は見当たりません。

GT-RのVR38DETTエンジンをステーションワゴンやSUVに載せた新モデルが出たら面白いかもっ!

やっちゃえ日産!!

 

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