ロータスによるもうひとつの参加型レース「LOTUS 111 CUP(ロータスワンイレヴンカップ)」をご存知ですか?2002年に筑波サーキットから始まったこのレースは、ドライビングスキルの向上を目的に掲げ、ひと味違うクラス分けなどによってたくさんのロータスオーナーに愛されています。今回は、そんな「LOTUS 111 CUP」についてご紹介します。
前回の記事「世界を代表するライトウェイトスポーツのバトル!ロータスカップジャパンをご存知ですか??」
http://motorz.jp/car/race/3324/
CONTENTS
「LOTUS 111 CUP」ってなんだ?
筑波サーキットを主軸に富士スピードウェイやツインリンクもてぎなど、関東のサーキットをメインに開催されているロータスによるワンメイクレースです。
参加型レースとして非常に盛り上がっており、参加台数は25~30台を超えるほど。
歴史も長く、2002年からの開催され今年で14年目。それだけロータスファンの皆様に愛されているレースということですね。
また冒頭でも紹介したように、目的は「ドライビングスキルの向上」
レース前には安全や走行マナーについてブリーフィングを行うことを徹底しているとのことです。
その他にも「順位に関係なく相手を尊敬しあえる精神を楽しんでください。」ともあり、英国車オーナーだけに、こういった紳士的な姿勢が愛される理由かもしれないですね。
ポイントで決めるクラス分け!チューニングカーも公平にレースが出来ます!
111カップでは、各クラス分けを以下のように定めています。
E0クラス…基本ポイント・加算ポイントに限らず、スーパーチャージャー付の全ての車両
参考タイム:筑波サーキット2000 1分2~5秒(ドライ)
E1クラス…基本ポイント+加算ポイントが59ポイント以上の車両
参考タイム:筑波サーキット2000 1分3~6秒(ドライ)
E2クラス…基本ポイント+加算ポイントが50~58ポイントの車両
参考タイム:筑波サーキット2000 1分4~8秒(ドライ)
E3クラス…基本ポイント+加算ポイントが49ポイント以下の車両
※エアロパーツの装着は全面禁止
参考タイム:筑波サーキット2000 1分6~10秒(ドライ)
入門クラス…ポイント制限無しの車両
なんと、111カップでは、エリーゼ、エクシージなど、各車体の性能ごとに「基本ポイント」が割り振られており、高性能なマシンほどポイントが多く振られています。
一部抜粋すると、エクシージSや211は最高ポイントの59ポイント、1ZZエンジン搭載のエリーゼは40ポイントなど。
これらのポイントをベースに、チューニングによって「加算ポイント」が定められており、エンジンの排気量アップによって15ポイント、シーケンシャルミッションの装着によって3ポイントなど、改造内容によって細かく決められております。
この「基本ポイント」と「加算ポイント」を足した数値によって、自分が参加するクラスが決まっていくというわけです。
つまり、1ZZエンジン搭載のエリーゼでも、物凄いチューニングをすればE1クラスになってしまう可能性もあります。
以下が、参考画像になります。
画像提供:http://111cup.elise-exige.net/
こういった細かい規定によって、性能差が極端に発生することを防ぎ、実力を均衡させることでエキサイトするバトルが多くみられるわけです。
この辺りのルール作りが、しっかりしているのでレースからチューニングまで楽しめるシリーズとなっているのが人気の秘訣となっていそうです。
紳士的なレースを実現する。ドライビングマナーについての注意徹底
「LOTUS111CUP」公式HPには、以下の記載があります。
http://111cup.elise-exige.net/index.html
Lotus 111 Cupは参加ドライバーとその車両の安全のため、接触、衝突、及びそれに至るおそれのある走行や無理な追い越し、威嚇行為を禁止しています。
通常のレースでも以下の該当行為は禁止事項です。
レース初心者の多くに、このような行為がレースの技だと思い違いをしてる人が多く存在します。
しかし Driving Manner を重んじる Lotus 111 Cupでは禁止事項ですので絶対に行わないで下さい。1.並走車両はもちろんのこと、後方車両の車体が一部分でも並走していると認められる場合は当該後方車両の走行スペースを空けて走行することを義務づける。
特に後方車両の車体前端部がBピラー以上前にある場合は、いかなる場合も当該後方車両の走行スペースを空けて走行することを義務づける。
2.急激な進路変更等による他車への威嚇及びそれに準ずる行為を禁止する。
3.前車がターンインする瞬間までに、前車のAピラー以上前へ車体前端部が到達しないような、無理なイン側からの追い越し行為を禁止する。上記の条件でなくとも他車の走行ライン(スペース)が確保されないような走行は禁止します。
これは他車がミスをしていたり、気づいていない場合に接触の危険があるからです。
違反行為をしなくても、抜かれないようにする方法はいくらでもあります(それが本来レーステクニックと呼ばれる技です)。
「自分は優先だ」等の自己中心的な走行はせず、相手の状況を認識できる余裕を持った走行を心がけて下さい。
またレース形式ですので、ブルー・フラッグが降られた車両は、すみやかに速い後続車両へラインを譲り追い越させる義務があります。
参加型レースにおいて、ここまでの記載を公式HPに行ったレースがあるでしょうか?
レースの開催において「ドライビングスキルの向上」を念頭に置いているということから、こういった観点についても非常にしっかりと説明が行われており、初心者でも安心して理念を理解しレースに参加できるように気配りがなされています。
また上記記載と併せて、コーナリング時のライン取りや、オーバーテイクの基本などを図解で解説しており、本当に紳士的なスタンスが随所に見えます。
こういった取り組みが、初心者への敷居を下げることにつながり、モータースポーツやクルマのファンを増やすことに繋がっているのではないかと思います。
ロータスがいっぱいのレース動画をご紹介!
当たり前ですが、どこを見てもロータスだらけ!
写真ではわかりにくかった、窓が何もない211のスゴさも少しわかるかも…?
こちらは車載映像!とにかくコーナリングスピードが速い!
キビキビと動く姿から、運動性能が高いことがうかがえますね。
主な走行車種
ロータス「111」カップ、という名前なこともあり、参加車両はやはりエリーゼが多いです。
これは、ロータス・エリーゼを輸入した際に、商標登録上の問題で開発ナンバーの「111」として輸入したことに由来しており各グレードも「111S」「111R」といった名前がつけられています。
ロータス・エリーゼ(111)
こちらがロータス・エリーゼで、1999年から2001年まで販売されたモデルです。
グレードにもよりますが、基本ポイントは一番高くて52ポイント。
この車体では、通常の111の他に、VVC搭載エンジンであったり、リヤスポイラーがつくなど、各部がスポーツに振られた111Sといったグレードがあります。
この頃の搭載エンジンはローバー製の1.8リッターNAエンジンでした。
ロータス・エリーゼ・フェイズ2(111/119)
2002年から2010年まで販売された、マイナーチェンジ後のフェイズ2。
以前の可愛らしいルックスとは大きく変わって、かなりシャープな表情に。
先代モデルと同様に、111や111Sはローバーエンジンを搭載していましたが、111RというグレードからはトヨタMR-Sと同じ2ZZエンジンを搭載して大幅に戦力アップ。
また、111R以降は、トヨタのエンジンを積むことによって形式番号が119へと変更され、名称も「エリーゼS」や「エリーゼR」など「エリーゼ」とつくようになりました。
このころに「エリーゼSC」というスーパーチャージャー搭載モデルも登場。
およそ900kgの車体に、220馬力というエンジンを搭載して、驚異的な運動性能を誇るモデルでした。
ロータス・エリーゼ・フェイズ3
2010年以降に発売された、さらなるモデルチェンジ後のフェイズ3。
こちらが現行車種にあたり、表情としてはフェイズ2よりは柔らかい印象があるものの、どこかスーパーカーな風貌をしています。
搭載エンジンは引き続きトヨタ製で1ZRという1.6リッターNAエンジンを搭載。
こちらはトヨタ・オーリスに搭載しているエンジンと同じもので、出力は136馬力となっています。
そして、フェイズ2と同じように「エリーゼS」というスーパーチャージャー搭載モデルもあり、エンジンはトヨタ製1.8リッター2ZRエンジン。
こちらも220馬力を発生しており、最新・最強のエリーゼとも言えます。
説明してきましたエリーゼフェイズ1、フェイズ2、フェイズ3、程度にもよりますが、およそ250万~800万と、かなり金額が開いた状態が中古相場価格のようです。
ロータス・エクシージ
タルガトップのエリーゼをクローズドボディとし、クーペとしたのが、こちらのエクシージ。
各部外装がカーボンパーツに変化していたり、出力もアップし、運動性能を上げられていることが特徴です。
その他にも、足回りなどは専用設計とされており、走るための性能がとにかく意識されています。
なお、こちらも表情はエリーゼの「フェイズ」とほぼ同じですが、「シリーズ」という名称で進化しており、写真は「シリーズ1」となります。
また、現行型では350馬力という大パワーのエクシージSも登場しており、とにかく早く走るために生まれてきたと言えるでしょう。
車両価格ですが、程度のいい車体を選ぶと、1000万前後の価格帯に落ち着くようです。
ロータス・211
余分なものは目いっぱい外したロータス211!
フロントウィンドウも外すほど徹底したレーシングカーですが、公道走行できるだけの保安部品がついていることも驚きで、このまま車検を通せばナンバーがついてしまいます!
NAでも190馬力程度のパワーが出ていますが、スーパーチャージャー搭載したモデルでは、255馬力を発生し、0-100km/hの加速をおよそ3.8秒で達成するほどのスペック!
いわゆる大出力のスーパーカーにも引けを取らない加速性能を兼ね備えた、レーシングマシンです。
価格相場は600万~850万程度とのこと。
ロータス・340R
レギュレーション上は参戦可能車種に名を連ねていますが、非常にレアな一台も併せてご紹介いたします。
オープンホイールとスポーツカーの中間のようなルックスのロータス340R。
その姿はロータス7を思い出すかも?
ルーフもドアも、走るために余分なものは一切無い、行動を走る純レーシングカーのようなマシンで、340台だけが生産されています。
エンジンは直列四気筒、1.8リッターエンジンで170馬力!
エクシージSの350馬力に比べると見劣りするかと思いますが、なんと車重が680キロ!!
恐ろしいほど軽いこのマシン、台数も少ないので参加する姿を観るのは難しいかもしれないですが、公式HPに参戦可能と書かれている以上、サーキットで大暴れしている姿を見てみたいですね!
ちなみに販売価格は850万円程度とのことです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
参加型レースも、ここまでわかりやすく初心者へと手引きしてくれれば、参加する人数が増えるんじゃないかと思わせてくれるようなロータス111カップ。
これからレースを始めようと思っている方、またはこれからロータスを購入しようかと考えている方、是非、サーキットに足を運んでみてはいかがでしょうか?
ドライビングスキルが上がるということは、速く走るだけではなく、街中を安全に走ることがよりスムーズにできるということ。
たくさんのロータスオーナーと一緒に、成長する楽しみが、そこにあるかもしれないですよ!
あわせて読みたい
世界を代表するライトウェイトスポーツのバトル!ロータスカップジャパンをご存知ですか??
【連載】ダウンフォースとともにあらんことを…EP2「大発見!グラウンドエフェクト」編
あの頃のF1マシンが今も走っていることをご存知ですか?個人とメーカーが所有している名マシンをご紹介します。
[amazonjs asin=”4777018547″ locale=”JP” title=”ロータス・エリーゼ・パーフェクトブック (NEKO MOOK)”]
Motorzではメールマガジンを始めました!
編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?
気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!