WECといえば、世界耐久選手権(通称 WEC)ですが、ライセンスも要らず、誰でも出れるもう一つのWEC JAPANがあることをご存知ですか?
中嶋一貴選手、小林可夢偉選手らが参戦していて、シリーズ戦の中にはあの「ル・マン24時間レース」も組み込まれている世界耐久選手権,通称 WEC(World Endurance Championship)。
誰もが憧れるこのレース、プロドライバーが参加を夢見てもシートに空きが無く、出場が叶わぬほどのWECですが、ライセンスも要らず、誰でも出れるもう一つのWECがあるのです!
今回はそんなもう一つのWECである「WORLD ECOLOGICAL CAR CHAMPIONSHIP」をご紹介します。
CONTENTS
WEC JAPANってなんだ?
本家WECといえば、6時間や12時間、24時間などの時間制限の中で、どれだけ多くの距離を走れるかの耐久レースによるシリーズ戦であることは皆さまご存知かと思います。
そのシリーズの中には、日本の「富士スピードウェイ」での6時間耐久レースも組み込まれていますね。
そして「WEC JAPAN」が行われるコースも同じ「富士スピードウェイ」!
しかも本家と、ほぼ変わらない5時間耐久レース!
これでライセンス不要!誰でも参加できるときたら、モータースポーツ好きは間違いなく燃えたぎっているかと思います。
さて、誰でも参加できる?「WEC」とはいったい何なのか。
参戦前に確認しておきましょう。
エコロジカルカーってなんだ?
WEC JAPAN公式サイトの冒頭には、こんな文章が書いてあります。
三輪車や椅子による人力車レースの最高峰 ”WEC Japan”
レースは、予選スーパーラップ+決勝4時間耐久レースで構成され一日タップリ遊べます。
仲間集めてBBQでもしながらマッタリした週末を楽しんでください!
お分かりいただけましたでしょうか?
そう、人力によって走るレースだからこそ「エコロジカルカー」なのです!
ソープボックスカーなんていう、動力の無い4輪レースもありますが、それに負けず劣らずで、市販の3輪車や、子供が乗って遊ぶ自動車など、極めつけはキャスターのついた椅子によるレースまであります!
そして、その乗り物による5時間耐久レース!跨って自分の足でペダルや地面を蹴って突き進む、ただひたすら、無心に5時間を走りぬくのがWEC JAPANです!
ちなみに、富士スピードウェイでの5時間耐久レースとお伝えしましたが、正しくは富士スピードウェイの「カートコース(逆走)」での5時間耐久レースになります。
本コースで開催した場合、セクター3が登れなくてレースにならない危険性がありますし、三輪車で登り切った場合、どこかの血管が千切れている可能性もあると思います。
ここまで読んで「小学生の遊びじゃないか!」とお思いの方々、違うんです。
このレース、クラス分けまで徹底されており、ガチンコの勝負がコース上で繰り広げられるのです。
次の項目では、そんな各クラスをご紹介いたします。
翌日の筋肉痛の運命を決めるクラス分け
WEC JAPANでは全てで5つのクラスに分かれており、各クラスごとの性能差や、改造範囲などが違います。
順番に説明していきましょう。
GT3(グレートチューニング三輪車)クラス
市販品や、自作の3輪車によるクラスで、改造も可能なため一番の激戦区!
ただし、3輪車という乗り物である以上、ペダルの回転とタイヤの回転は1対1でなければならないというレギュレーションがあります。
市販品を使用する場合、どう考えても子供用の三輪車は小さく、大人が乗るには適さないため、シートポジションの見直しを行う必要があるかと思われます。
ちなみに、昨年の2016年シリーズ第2戦の総合優勝はこのGT3クラスのマシンで、平均時速が22.9km/hという驚異的な速さを記録!
街中を走っているママチャリ程度なら余裕でオーバーテイクできる速度、恐ろしい3輪車です…!
GTC(グレートチューニングチェア)クラス
椅子であることが守られていればどんなものでも構わない!世界最速の椅子乗りを決めるこのクラス。
レギュレーションによって、キャスターが4つ以上あること、座面は地面から45センチ以下であることなどは決められていますが、それ以外はほぼ自由。
そういった観点から、オフィスにあるようなキャスターつきの椅子だけにとどまらず、カートのシートや、車用のバケットシートにキャスターを取り付けて参加するつわものもいます。
ただし、地面で足を蹴ってすすむ必要がある以上、どうしてもエビのように後ろ向きで進むこととなり、バケットシートだと後方が何も見えずに遅いかもしれない懸念があります。
なお、このクラスにはレンタルマシンもあるとのこと。
平均速度はおよそ12km/hと全クラスの中では一番遅い速度のようです。
SuperGT(スーパーグレートチューニング)クラス
ルールブックによると「4輪車でボディカウルを備えている「足けりタイプ」または「ペダル駆動タイプ」であること」という記載があります。
これだけシンプルなレースなのに小難しいなと思える説明ですが、簡単に言うと、子供が乗って進む車のおもちゃです。
このクラス、市販車両であっても、自作のマシンであってもOKですが、車体を真上から見た状態でタイヤがボディの一部または全景に隠れていなければならないというレギュレーションがあります。
つまり、WEC JAPANにおいてこのクラスは「最速のハコ車乗り」を決めるクラスといっても過言ではないでしょう!
お気に入りの愛車と同じ形のマシンに乗って、カートコースを駆け抜け、いい汗を流すのは爽快かもしれません。
なお、お子様のマシンを借りた場合、下手すると破壊して子供と奥さんに怒られる可能性があることを肝に銘じておいてください。
ちなみに、平均速度は17km/h程度とのことです。
SUPER FORMULAクラス
モータースポーツにおいて、いつの時代も最高峰にいるのがフォーミュラカー。
このクラスではオープンホイールであることが定められているほか、ペダル駆動(ギヤ比は自由)であること、ブレーキがついていなければならないことなど細かく決められており、完全自作マシンであることが特徴です。
平均速度では33km/hを超えるほどだとか!
人力最高峰のロードバイクをオーバーテイクすることも夢じゃないですね。
上記4クラスで争われるWEC JAPAN。
その他にも、各クラスごとに車両の大きさの規定が細かく定められているため、出場前に公式サイトからルールブックの確認をお忘れなく!
優勝者はステップアップのチャンスがもらえます
各クラスのシリーズチャンピオンには、富士スピードウェイで開催されている「スーパーママチャリGP」へ招待チームとして参加が可能とのこと。
新たな人力のカテゴリへのステップアップまで用意されているなんて、どれだけ器が大きいんでしょうか「WEC JAPAN」
これが日本最遅のレース動画だ!!
レインコンディションの中、爆走するエコロジカルカー!
こちらはGT3クラスの車載映像!ペダルの音が響き渡ります!
皆さま思い思いのマシンで駆け回っていますが、どちらの動画もGT3クラスの驚異的な速さが目立ちます。
そして、このカートコースですが、逆走だとホームストレートに4%程度の勾配がついているとのことで、毎周ここを登り切る驚異的なスタミナも必要になるかもしれません。
家族で楽しめるWEC JAPAN!
3輪車や椅子によるレースなど、誰もが幼少期に経験したことのある遊びのひとつですよね。
そして、脚力の差はあれど、ウェイトハンディを考えたら子供たちも絶対に早いはず!
自分の子供と3輪車で本気で勝負できる機会なんて、このレース以外にはなかなか無いのでは?
また、ピットでBBQなども可能になっており、複数の家族や仲間で集まって、待機中はBBQで英気を養って、コースに戻ったら本気モード!と、家族サービスを兼ねて日曜日を満喫できるかもしれません。
BBQと併せて、ピット内での飲酒も許されているそうですが、出場するレーサーと、帰り道のドライバーは絶対に飲酒厳禁ですよ!
2017年の開催日程
WEC JAPAN 2017 年間スケジュール
開幕戦 3月26日(日) (参加人数不足により第2戦へ延期)
第2戦 5月14日(日)
第3戦 8月20日(日)
最終戦 11月19日(日)
となっています。詳しくはコチラ
まとめ
もうひとつのWEC、いかがだったでしょうか?
この記事を読んでいるアナタも、世界一になるチャンスかもしれないですし、お気に入りのマシンを作って参加してみてはいかがでしょうか?
富士スピードウェイでは、こういった競技の他にも、参加型のイベントがたくさん用意されており、サーキットへ足を運ぶきっかけを作ってくれています。
気になるイベントがあったら、様子見だけでも足を運んでみたら楽しいかと思いますよ。
Motorz編集部でも、チームを作って参加する日がいつかくるんでしょうか…!?
あわせて読みたい
可愛いだけじゃない!世界一過酷?なのに、めちゃくちゃかわいいウサギのレースを知っていますか?
“もうNo Powerとは言わせない”…トヨタが2017年体制を発表!
[amazonjs asin=”B002KG8WA2″ locale=”JP” title=”メーカー組立完成品 エルゴヒューマン プロ Ergohuman Pro ハイタイプ エラストメリックメッシュ EHP-HAM KM-11 ブラック EHP-HAM-HB-KM-11″]
Motorzではメールマガジンを始めました!
編集部の裏話が聞けたり、月に一度は抽選でプレゼントがもらえるかも!?
気になった方は、Motorz記事「メールマガジン「MotorzNews」はじめました。」をお読みいただくか、以下のフォームからご登録をお願いします!