90年代後半から2000年代前半にかけて、数々の名作2シータースポーツを手掛けてきたイギリスの名門TVR。「スポーツカーというのは、馬力が高くて軽量であればそれでいい」という骨太すぎる思想に基づいた同社の名車、「グリフィス」の歴代モデルを紹介します。

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出典:https://www.rac.co.uk/drive/car-reviews/tvr/griffith/griffith-1992-2001/

かなりの”じゃじゃ馬”だった初代グリフィス

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出典:https://en.wikipedia.org/wiki/TVR_Griffith_200

事の発端は、ジャック・グリフィス氏率いるグリフィス・モーターズが自主的に開発を始めたマシンでした。

グランチュラ・マークIIIと呼ばれるTVR製のマシンに、フォード製4.7リッターV8OHVエンジンをそのまま搭載するという少々乱暴なこのマシンは、グリフィス200という名前で1963年からラインナップに加えられます。

そんな1960年代前半は、ACコブラの成功により、世界的にアメリカンスポーツカーが流行の兆しを見せていました。

それもあってか、ボンネットから隆起したパワーバルジや特徴的な3箇所のエアダクト等は、英国車でありながらもマッチョな雰囲気を感じとる事ができ、スタイリング面でも影響を受けているであろう事が見て取れます。

改良を施し、「グリフィス400」へと進化

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出典:http://www.classiccarweekly.net/2018/12/25/griffith-400/?doing_wp_cron=1582024892.1110010147094726562500

元々は1.3リッターエンジンを積んでいたグランチュラ マークIIIのシャーシに、ほとんど手を加えずに4.7リッターエンジンを搭載した結果、最高速度は225km/hという数値に達するも、操縦安定性はかなりピーキーで危険だったようです。

その後、1965年にグランチュラがマークIVへモデルチェンジするに伴い、このシャーシに改良を施した「グリフィス400」を発表。

それでも扱いづらいじゃじゃ馬である事は変わらず、発表から1年も経たない1965年に生産終了となりました。

四半世紀ぶりに復活した新生2代目

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出典:https://en.wikipedia.org/wiki/TVR_Griffith

1981年、経営者がピーター・ウィラーに代わると、TVRは復活の兆しを見せ始めます。

700台以上の生産数を記録したSシリーズのヒットに続き、1992年、新生グリフィスがデビュー。

鋼管チューブラーフレーム+FRPボディというフォーマットは踏襲しつつ、オープン2シーターとしての登場でした。

斬新なエクステリアデザイン

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出典:https://www.classicargarage.com/archives/tvr-griffith-500-1999

2代目グリフィスで特徴的なのは、その斬新なデザインです。

かなりのロングノーズ・ショートデッキであることに加え、ほとんどが曲線と曲面で構成されたオーガニックなボディシェイプは、その後タスカン等のTVR車へと続くアイデンティティとなっています。

また、全長3900mm×全幅1869mm×全高1194mmというボディサイズで車重は980kgと、ライトウェイトスポーツの名にふさわしい軽さでした。

アップデートを重ねて熟成の域へ

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出典:https://www.pinterest.jp/pin/324681454362119988/?lp=true

初めはローバー製の3.9リッターV8OHVエンジンを搭載していましたが、翌年1992年には4.3リッターがオプション設定されます。

最終的には1993年に5リッターまでサイズアップされ、最高出力345馬力、最高速度253km/hというスペックの仕様か「グリフィス500」として追加されます。

その後、実質的な後継車であるタスカンが1999年にデビューしたのに伴い、生産は終了となりました。

一時は2度目の復活も目前だったが…?

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出典:https://carbuzz.com/news/the-mustang-powered-tvr-griffith-is-delayed-again

2017年にTVRは、イギリスのグッドウッド リバイバルの会場で、グリフィスの2度目の復活を発表します。

ゴードン・マーレイが設計した車体に500馬力級のパワーを発生するコスワース製の5リッターV8エンジンを搭載し、1250kgという車重と相まって優れた加速性能を発揮。

0~96km/h加速は4秒以下で、最高速度322km/h以上というスペックを掲げ、2019年初頭の発売を予定していたものの、未だにアナウンスはありません。

これには、グリフィスを生産する予定だった新工場の改修の遅れが関係しているそうです。

ウェールズのラッソー工業団地内の工場で、量産が予定されていた新生グリフィスでしたが、ウェールズ政府は2018年にTVRの株式3%を買い取り、更に200万ポンドを貸し付けたことにより、プロジェクトそのものを欧州連合の出資に関する規定に従わせる必要が出てしまったのです。

TVR側は早急な作業の開始を希望しているようですが、政府が絡んでいることもあり、なかなか上手くいっていないようです。

まとめ

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出典:https://www.autocar.co.uk/car-news/industry/tvr-griffith-revisiting-all-time-classic-british-sports-car

ピーター・ウィラー時代のTVRにとって、Sシリーズからタスカンへの橋渡し役をしっかりこなしたグリフィスは重要なモデルであった事でしょう。

ライトウェイト2シータースポーツという同社の伝統を守りつつ、有機的で斬新なデザインを融合させることで、新生TVRのアイデンティティを確立させた1台と言っても過言ではありません。

日本での販売台数は少なく、中々見かけることはありませんが、クルマ好きなら1度は運転してみたいクルマのひとつではないでしょうか?

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