1980年前後に生産されていたトヨタ6代目クラウンは、5代目モデルから継続された部分がほとんどでしたが、当時の最新技術が装備され、高級車としての存在感を一気に引き立てる事に成功しています。そんな6代目クラウンとは、どんなクルマだったのでしょうか。振り返ってみましょう!
現代的なデザインへと変貌した6代目トヨタ・クラウン
6代目クラウン(S110型)は、5代目クラウンから継承したスクエアな印象のボディ形状が強調され、4ドアセダン、2/4ドアハードトップ、ステーションワゴン、バンの5種のボディラインナップが存在しました。
4ドアハードトップは『ピラードハードトップ』と呼ばれる、前後ドアのドアガラスを閉めた状態にすればセンターピラーを隠すことができる仕様を採用。
これが好評を博して、以降クラウンの標準スタイルとなりました。
ちなみに、1979年に登場した前期型のキャッチコピーは『日本の薫り』、『クラウンは人を語る』で、1981年にマイナーチェンジされた後期型では『ちょっと誇らしく』と謳われました。
オイルショックから落ち着きを取り戻した日本でトヨタがブランド回復を図る為に、クラウンを大人の上級モデルとして売り出そうとし、6代目クラウンには、かなり豪華なオプションが用意されました。
そして、直線を基調としたボディはモダンなデザインとされ、品格を感じさせる重厚感のあるフロントマスクとリヤビューになっています。
豪華なハイテク装備オプションを豊富に用意。6代目クラウンのメカニズムは?
6代目クラウンは、5代目モデルで搭載されたペリメーターフレームを継続採用。
ペリメーターフレームとはボディフロアの周囲を補強材によって囲った構造のフレームで、軽量な上にフロアの位置を下げて低重心にすることが可能です。
トランスミッションやサスペンションなどは、5代目モデルをそのまま継承しています。
また一方では、6代目から多くの装備が電子化され、電動スライドサンルーフ、クルーズコンピューター、フロントパワーシート、電子チューナー搭載オーディオがオプションとして用意されました。
そしてロイヤルサルーンには、完全自動空調の前後独立温度調節可能なマイコンオートエアコンや世界初となるリアコンフォートパワーシートが装備できるなどハイテク技術が多数搭載されました。
1981年8月にはマイナーチェンジされ、2.8リッター直列6気筒EFIエンジンは5M-EU型から5M-GEU型に換装。
クラウンで初めてエンジンがDOHC化されました。
また、フロントグリル、ヘッドライト、リアランプのデザインも意匠変更し、ヘッドライトはフォグランプが内蔵された異型2灯式に変更。
フロントマスクがせり出したデザインから『鬼面(鬼目)のクラウン』または『鬼(オニ)クラ』などとも呼ばれていました。
そして1982年8月には、L型2.2リッターディーゼルエンジンを2.4リッターまで排気量アップし、エンジン型式はAT車:2L-TE、MT車:2L-Tに変更されています。
6代目クラウンのスペック
セダン 2800EFI | セダン 2000EFI | |
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,860×1,715×1,435 | 4,690×1,690×1,435 |
ホイールベース(mm) | 2,690 | 2,690 |
車両重量(kg) | 1,430~1,490 | 1,380~1,395 |
乗車定員(人) | 5 | 5 |
エンジン型式 | 5M-EU | M-EU |
エンジン種類 | 直列6気筒DOHC | 直列4気筒SOHC |
内径×行程(mm) | 83.0×85.0 | 75.0×75.0 |
総排気量(cc) | 2,759 | 1,988 |
圧縮比 | 8.8 | 8.6 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 106[145]/5,000 | 91[125]/6,000 |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 230[23.5]/4,000 | 166[17.0]/4,400 |
燃料供給装置 | インジェクション | インジェクション |
トランスミッション | 4速AT | 4速AT、5速MT、4速MT |
10モード燃費(運輸省審査値)(km/ℓ) | 8.6 | 8.1 |
セダン 2000 | セダン ディーゼル2000 | |
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,690×1,715×1,435 | 4,690×1,690×1,435 |
ホイールベース(mm) | 2,690 | 2,690 |
車両重量(kg) | 1,335~1,375 | 1,340~1,390 |
乗車定員(人) | 5 | 5 |
エンジン型式 | M-U | L |
エンジン種類 | 直列6気筒SOHC | 直列4気筒SOHC |
内径×行程(mm) | 75.0×75.0 | 90.0×86.0 |
総排気量(cc) | 1,988 | 2,188 |
圧縮比 | 8.6 | 21.5 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 80[110]/5,600 | 52[72]/4,200 |
最大トルク(N・m[kg・m]/rpm) | 156[16.0]/3,800 | 142[14.5]/2,400 |
燃料供給装置 | キャブレター | 分配型燃料噴射ポンプ |
トランスミッション | 3速AT、4速MT | 4速AT、5速MT、4速MT |
10モード燃費(運輸省審査値)(km/ℓ) | 8.1 | – |
6代目クラウンの中古車相場
6代目クラウンの中古車価格相場は、前期モデル(1979~1980年)で59~138万円、後期モデル(1981~1983年)で45~158万円です。
その中で最も出回っているのは、2.0リッターエンジン搭載セダンのスーパーサルーンですが、最も人気が高いのは2.8リッターエンジン搭載のロイヤルサルーン。
旧車だけに状態はピンキリですが、良いものは100万円以上するため、プレミア価格で売り出されているものも多数あります。
自らレストアや修理ができる方なら、安価な中古車を直しながら乗ることもできますが、この手のクルマは国産旧車の専門店で購入し、故障やトラブルに備えることが重要です。
まとめ
1983年8月に6代目クラウンは販売終了となり、7代目クラウンへとバトンタッチされます。
そして7代目モデルは4ドアモデルのみとなったため、2ドアのクラウンは6代目が最後となりました。
6代目前期モデルは5代目から継続された部分が多かったのですが、現在の高級車に当然のように装備されているパワーシートやオートエアコンなどは6代目モデルからの採用です。
よって、快適性においてクラウンが現代的な高級車に一気に近づいたのは6代目モデルでした。
それまでの4代目/5代目モデルは、オイルショックや厳しくなった排ガス規制などにより、守りの体制だったのかもしれません。
しかし、それを払拭し、攻めの姿勢を貫いた6代目クラウンは、クラウンの歴史を変えた1台とも言えるのです。
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